パリ五輪・日本人メダリストの活躍と注目の戦いを総括(大会4日目)
日本時間の27日未明にパリ五輪が開幕し、日本人代表は連日のメダルラッシュを見せている。ここでは現地時間の7月29日。(日本時間29〜30日)大会4日目にメダルを手にした選手たちの活躍や、注目選手の戦いぶりを振り返ってみたい。※トップ画像出典/Getty Images
パリオリンピック大会4日目の7月29日(日本時間29〜30日)の日本チームは、金メダル2つ、銅メダル3つを獲得した。
柔道 女子57キロ級 舟久保 遥香 銅メダル
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1回戦でベロニカ・トニオロ(イタリア)と対戦、延長戦23秒に大外刈りで技ありを奪って2回戦進出を決めた舟久保遥香は、東京五輪48キロ級銅メダリストのダリア・ビロディド(ウクライナ)も延長戦の末に反則勝ちで勝利し、準々決勝へと駒を進めた。
だが、準々決勝では前回銀メダリストで地元の声援を味方につけるサラレオニー・シシケ(フランス)に開始9秒で1本負けし、敗者復活戦に回ることに。
マリツァ・ペリシッチ(セルビア)を抑え込みで1本勝ちして臨んだ3位決定戦では、リオ五輪金メダリストのラファエラ・シウバ(ブラジル)と対戦。両者が耐え忍び延長戦に突入した試合は、9分に差し掛かったタイミングで、シウバにヘッドダイビングの反則が認められて反則負け。この瞬間に舟久保の銅メダル獲得が決まった。
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なお金メダルは、長野県塩尻市出身で、妹のケリーとともに姉妹で五輪出場を決めた出口クリスタ。銀メダルには東京都出身で早稲田大学4年の許海実(韓国)が獲得。日本にゆかりのある3選手が表彰台に上がる結果となった。
柔道 男子73キロ級 橋本 壮市 銅メダル
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2回戦から登場した橋本は、マーク・フリストフ(ブルガリア)と対戦で試合を優位に進め、開始12秒に袖吊り込み腰で技ありを奪い、優勢勝ちで幸先の良い滑り出しを見せたが、延長に突入した準々決勝のジョアンバンジャマン・ガバ(フランス)との対戦で、3回目の指導(延長2分28秒)を受ける反則負けを喫し、敗者復活戦に回ることに。
エルデネバヤル・バザヤ(モンゴル)との敗者復活戦を相手の反則で勝ち上がった橋本は、3位決定戦でアキル・ジャコバ(コソボ)を相手に優勢勝ち。互いに2つの指導を受けたが、開始8秒の背負い投げで奪った技ありのポイントを活かして勝利を収め、銅メダルを獲得した。
32歳11ヶ月の橋本がメダルを獲得したことにより、これまで谷亮子が持っていた柔道史上最年長メダリストの記録も更新された。
スケートボード 男子ストリート 堀米雄斗 金メダル(2大会連続)
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女子ストリートで日本人選手が金・銀を独占したスケートボードは、男子ストリートが行われ、前回金メダリストの堀米雄斗、白井空良、小野寺吟雲の3選手が出場した。
コース内を45秒滑る2本の「ラン」と、1つの技を披露する5本の「ベストトリック」のうち、最もスコアの良い「ラン」1本と「ベストトリック」2本の合計点によって成績は決められる。
初の五輪出場を果たした世界ランク1位の小野寺吟雲は、予選から難易度の高いトリックに挑戦したが、2本の「ベストトリック」を残すことができずに14位(177.08)で、予選敗退に終わったが、前回予選敗退に終わった白井空良は3位(270.42)、前回王者の堀米は4位(270.18)で予選を通過し、上位8名による決勝進出を決めた。
前回王者の堀米は、決勝の2本の「ラン」を終えて4位。続く「ベストトリック」では3本連続失敗に終わり、最終5本目を残して7位と出遅れていたが…。
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最後に高難易度の「ノーリー・バックサイド270テールブラントスライド」を見事に決めて97.08の最高得点をマーク。合計281.14で見事に1位に躍り出ると、リードを守りきって連覇を成し遂げた。なお健闘した白井空良は4位に終わり、惜しくもメダルに及ばなかった。
馬術 総合馬術団体 銅メダル
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「馬場馬術」「クロスカントリー」「障害飛越」の3種目によって争われる総合馬術団体に、田中利幸、戸本一真、大岩義明の3選手が出場した。
なお、減点方式の総合点によって順位が決められるこの種目は、得点数の少ない方が上位となる。
日本は「障害飛越」が行われる競技最終日に体調不良によって馬を変更せざるを得ないアクシデントにより20点が加点され、それまでの3位から5位に順位を落としてのスタートを強いられたが、3選手の演技で順位を上げて、合計115.80点の3位でフィニッシュ。日本の馬術界としては1932年のバロン西以来、92年ぶりとなるメダルを獲得。全員が昭和生まれで、平均年齢が40歳を超えることから「初老ジャパン」と呼ばれる3人の功績に注目が集まっている。
体操 男子団体総合 金メダル (橋本大輝、萱和磨、谷川航、岡慎之助、杉野正尭)
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橋本大輝、萱和磨、谷川航、岡慎之助、杉野正尭の5名で挑んだ男子体操団体は、合計259.594点で、2位の中国を0.532点上回り、リオ五輪(2016年)以来2大会ぶりの金メダルを獲得した。
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エースの橋本大輝が2種目めのあん馬で落下するトラブルに見舞われた日本は、最終種目の鉄棒開始前には首位中国と3.267点差をつけられ、大きく遅れをとっていたが、中国1番手の肖若騰は13.433点で得点を伸ばせず、2番手の蘇煒徳は2度の落下。まさかのミスが続き、2位に転落した中国に代わって日本が首位に立つと、日本は橋本が鉄棒で安定した演技を見せて中国を逆転し、8年ぶりに五輪で金メダルを掴み取った。
フェンシング 女子サーブル 江村 美咲 3回戦敗退
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開幕式では旗手を務め、現在世界ランキング1位の江村には、日本人のサーブル選手として初のメダル獲得が期待されていたが、思わぬ形で苦戦を強いられた。
2回戦から登場した江村は、オレナ・クラバツカ(ウクライナ)と対戦し15対14で勝利を収めたが、3回戦では崔世彬(韓国)では序盤こそリードしたものの、試合途中に5連続ポイントを奪われるなどで失速。15対7の逆転負けで、まさかの幕切れとなった。
フェンシング 男子フルーレ 飯村一輝 4位
20歳で慶應義塾大学に在籍中の飯村一輝は、1回戦でアラーエルディン・アブエルカセム(エジプト)と、2回戦でアレクサンダー・マシアラス(アメリカ合衆国)を下して勝ち進むと、3回戦ではマキシム・ポティ(フランス)と対戦。ポティへの大声援が送られる中での接戦を15対14で制した飯村は、準決勝に駒を進めた。
だが準決勝では、東京五輪金メダリストの張家朗(香港)と対戦するも15対11で敗戦。続く3位決定戦では、ニック・イトキン(アメリカ)を相手に接戦を繰り広げたものの終盤に振り切られて12対15で敗戦。メダル獲得はならなかった。
なお世界ランキング5位の松山恭介は、3回戦でフィリッポ・マッキ(イタリア)に、8位の敷根崇裕はマキシム・ポティ(フランス)に敗れて2回戦敗退に終わった。
カヌー スラローム 男子カナディアンシングル 羽根田卓也 準決勝敗退(13位)
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リオ五輪銅メダリストで、5度目の五輪出場となる羽根田卓也が、予選を13位(96.82)で通過して準決勝進出を決めたものの、激流に押されたことによる2度のポールへの接触があり、4秒のペナルティを受けることに。全体13番目で上位12人に認められる決勝進出を逃すこととなった。