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Overcoming adversity to reach the top once again! The challenges and future of Yuto Horimai, a leader in the skateboarding world.

堀米雄斗は、多くの挫折を経験しながらもパリ五輪出場を果たした。東京五輪後、競技レベルの向上により彼の地位は脅かされたが、その逆境を乗り越え、磨き上げた技術で再びトップに立った。「少し光が見えてきた」と語る堀米は、今後もスケートボード界をリードし続ける。ファッションや音楽、アート、映像など、多岐にわたる要素を融合させるスケートボードカルチャーの魅力を広めるため、彼の挑戦は続く。※トップ画像:出典/ Getty Images

IconIppei Ippei | 2024/06/25

6歳で始めたスケートボードの旅

 堀米雄斗は、スケーターだった父・亮太の影響を受け、6歳でスケートボードを始めた。「公園で遊ぶ延長で、スケートボードを続けていました。初めてボードに立って乗れたときの喜びは今でも忘れません」と幼少期を振り返る。彼にとってスケートボードは、ただの遊び以上のものになっていった。

15歳で年間総合王者に輝く

10代前半で選手として頭角を現し、15歳で迎えた2014年にはAJS(日本スケートボード協会)の年間総合王者に輝いた。国内の大会で圧倒的な強さを見せる彼の姿は、多くの人々を驚かせた。2017年には活動拠点をアメリカ・ロサンゼルスに移し、「日本のコンテストで勝てるようになってから、『アメリカでプロになる』という夢を叶えたいと思うようになった」と語る。

渡米とイチローからの刺激

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撮影/佐藤主祥

異国での生活を始めた当初、言葉や食生活など思わぬ苦労が多かった。しかし、堀米はメジャーリーガーのイチローの姿に励まされた。「常にレコードを乗り越えていこうとしている姿が素晴らしい。尊敬しています」と語り、競技は違えど同じアメリカでトップレベルで活躍する姿に感銘を受け、それが支えとなった。

世界最高峰のデビューと3連勝

渡米1年目で、世界最高峰の「ストリートリーグ・スケートボーディング」への挑戦権を獲得。初参戦のバルセロナ大会でいきなり3位に入賞し、日本人初の表彰台獲得という衝撃のデビューを果たす。翌18年シーズンでは、リーグ開幕戦のロンドン大会で初優勝を成し遂げ、そこから3連勝。瞬く間にトップ選手へと上り詰めた。

東京五輪での優勝とその後の活躍

 

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Source: Getty Images

 2021年の東京2020オリンピックで優勝し、2023年3月には「タンパ・プロ」で初優勝を飾るなど、堀米はスケートボード・ストリートのトップレベルで戦い続けている。オリンピック金メダル獲得後には生まれ育った江東区を表敬訪問し、「夢の島スケートボードパーク」の完成に尽力した。彼は「1年に1回ぐらい、いろんな場所でできたらすごくいいなと思います。自分のスケジュールもかなり詰め詰めなので、自分のできる範囲でやりたいと思います」とイベントで語った。

新しい技への挑戦とスケートボードの普及

 

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撮影/佐藤主祥

「大会では常に、これまでに誰もやったことも、見たこともないオリジナルのトリックで会場を沸かせたい」とトリックへの情熱を語る堀米。「新しいトリックができるまではつらい思いをすることも多いですが、完成したときは本当にうれしい。新しいことに挑戦するのはリスクもありますけど、どれだけ恐れずに取り組めるかが大事。それが自分のやり方です」と話す。彼はスケートボードの普及にも熱心で、「東京五輪をきっかけに、スケートボード界をもっと盛り上げていきたい」と述べる。

挫折と再起

堀米雄斗はパリ五輪出場を決めるまでの道のりで多くの挫折を経験した。東京五輪後には周囲の競技レベルが向上し、彼の地位も脅かされたが、その逆境を乗り越え、磨いてきた技で再びトップに立った。「少し光が見えてきた」と語る堀米は、今後もスケートボード界をリードし続ける。

スケートボードの文化を広める

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Source: Getty Images

スケートボードの文化や魅力を広めるため、堀米雄斗は挑戦を続ける。ファッションや音楽、アート、映像など、多岐にわたる要素を融合させるカルチャーとしてのスケートボードを発信し続ける。インタビューで「史上最高のスケーターは誰か」と尋ねられた際、彼は「史上最高のスケーターはいないと思います。一番とか、そういうのを決められないスポーツでもあると思うので」と答えた。

劣勢からの大逆転

スケートボード男子ストリート決勝で、堀米は苦手意識のある45秒間のランを2位で折り返し、迎えたベストトリックの3本目。270度横回転しながらレールに乗る技を決め、そこからさらにアレンジを加えて板の後端で滑り降りる技を完璧に決めた。劣勢からの大逆転で五輪代表の座を掴み取った。「自分でもびっくり」と繰り返した堀米は、パリ五輪出場を決めた。

パリ五輪に向けた堀米雄斗の挑戦

東京五輪後、スケートボード競技のレベルが急速に上がる中、堀米雄斗はさらに成長を続けてきた。逆境に強い彼はこれまで数々の困難を乗り越え、金メダルを手にした。その卓越した技術と挑戦し続ける姿勢は、スケートボード界全体に大きな影響を与え、多くの若手スケーターにとってインスピレーションの源となっている。パリ五輪でもその実力が期待される堀米雄斗の挑戦は、これからも続いていく。