
藤浪・小笠原・青柳ーーメジャーでくすぶる日本人選手は復活できるのか?
日本での盛大な開幕シリーズで幕を開けた今季のメジャーリーグ。ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希、シカゴ・カブスの今永昇太、鈴木誠也に加えて、今季よりボルティモア・オリオールズに入団した菅野智之も好調をキープ。その一方で、ワシントン・ナショナルズの小笠原慎之介、シアトル・マリナーズ傘下の藤浪晋太郎、フィラデルフィア・フィリーズ傘下の青柳晃洋が苦戦を強いられている。果たして彼らはメジャーリーグで結果を残すことができるのか?ここまでの成績や本人の課題を踏まえつつ、今後を予想する。※トップ画像出典/Pixabay(トップ画像はイメージです)

故障者入りをした小笠原慎之介は崖っぷち
中日ドラゴンズの左腕エースとして、150キロ超えのストレートを軸にカーブやチェンジアップで打者を翻弄してきた小笠原慎之介。ポスティング制度を使ってワシントン・ナショナルズとメジャー契約を果たしたが、開幕間もないながら早くも正念場を迎えている。
オープン戦では5試合12イニングで1勝3敗、防御率11.25と全く結果を残せず、開幕をマイナーリーグで迎えることに。カブス・今永昇太のように回転数が多く伸び上がるようなボール軌道でないため、日本で通用していた高めのストレートを痛打させられる場面が目立った。また、得意のチェンジアップを見極められることも多く本来の投球スタイルを発揮できず、本人も焦っただろう。
マイナーデビューしてからは、初登板を6回5安打1失点にまとめて勝利を挙げるものの、2戦目では4回9安打7失点の大乱調。3試合登板で1勝1敗、防御率4.80とメジャー昇格のアピールをできず。特にストレートは140キロ台前半となかなか数字が出ず、力で押す投球ができていない。4月17日には負傷者リストに入ることが発表。脇腹を痛めるアクシデントが発生し、復帰には1カ月以上かかると見られており、リハビリ組に合流して復帰を目指している。
そんな小笠原に悲しい噂が出ている。DFA(メジャー40人枠から外れる措置)の対象になる可能性があると言われているのだ。そうなると、今季のメジャー昇格がかなり厳しい状況に立たされてしまう。なんとか早急に復帰しマイナーで結果を残さなければならないが、ストレートやチェンジアップの精度向上など、課題も山積み。小笠原は持ち前のガッツでこのピンチを脱することができるのか。
威力あるボールを投げるも、制球難が続く藤浪晋太郎
最速165キロのストレートを武器に阪神タイガース時代は高卒1年目から3年連続2ケタ勝利をマークした剛腕・藤浪晋太郎。しかし、シアトル・マリナーズ傘下のタコマ・レイニアーズに所属する現在は、なかなかメジャー昇格の活路を見出せていない。
メジャー移籍直後から、日本時代も苦戦していたコントロールミスを続けて、失点を重ねている藤浪。今季もその悪癖は治っていない。4月22日の登板では四球や暴投を連発。3者連続を含む4四球に3暴投、3失点を喫して降板した。また、4月27日の登板でも1回20球を投げて3安打1失点。この日は、コントロールのつかないストレートをほとんど使わないスタイルに切り替えて変化球を多投したが、結果は出なかった。ここまで(4月30日現在)防御率12.38と最悪のシーズンを過ごしている。
そんな藤浪に復活の可能性はあるのか。今季もリリースポイントが安定せずストレートはもちろん、スプリットやスイーパーといった変化球のコントロールも大きく乱れるケースが多くなってきた。何度もフォーム修正に取り組んできているが改善しないところを鑑みると、メンタル面の弱さが藤浪をノーコンにさせているとしか考えられない。「打てるものなら打ってみろ」という開き直りの気持ちを持って投げるしかなさそうだが…。
粘りの投球を見せてメジャー昇格も近そうな青柳晃洋
阪神タイガース時代は最優秀防御率や2年連続最多勝など、数多くのタイトルを獲得してきたサイドスロー右腕・青柳晃洋。メジャー移籍を志願し、フィラデルフィア・フィリーズとマイナー契約を結んだ。当初、プロ野球関係者や現地メディアの評価は低く「すぐ日本に戻るだろう」と言われていたが、現在はマイナーで結果を出し始めている。
マイナー契約ながら招待選手として春季キャンプに参加。夢のメジャー昇格を目指していたが、オープン戦4試合の登板で3回4失点、防御率12.00と打ち込まれた青柳。しかし、ここで青柳は腐らずマイナーで結果を残し続けることを決意。マイナーデビュー戦こそ1失点したものの、以降は7試合連続無失点と好投し、防御率1.13をマークしている。(4月30日現在)課題とされている制球難はまだ克服されていないが徐々にばらつきも減ってきており、シンカーやチェンジアップ、スイーパーなど多彩な変化球で空振りを奪える点が評価されている。特に右打者を得意としており、中継ぎとして重宝されそうだ。
最も評価が低かった変則右腕がメジャー昇格し、タイガース時代のような圧巻のピッチングを披露する日も近いかもしれない。