
圧巻の金メダルラッシュ!日本レスリングの強さを世界に示した瞬間 レスリング フリースタイル~プレイバックパリ五輪2024~
パリオリンピックのレスリングフリースタイルでは、女子53kg級の藤波朱理、女子57kg級の櫻井つぐみ、62kg級の元木咲良、76kg級の鏡優翔、男子57kg級の樋口黎、65kg級の清岡幸大郎がそれぞれ金メダルを獲得。日本勢のレスリングの強さを改めて世界に知らしめる金メダルラッシュを演じた。また、男子74kg級の高谷大地が銀メダル、女子68kg級の尾崎野乃香、50kg級の須崎優衣が銅メダルをそれぞれ獲得し、グレコローマンスタイルの2つの金メダルも合わせ、日本勢はレスリングで合計11個のメダル獲得となった。※メイン画像出典/Getty Images

パリ五輪“レスリング”をおさらい
レスリングは9mの円形マットの上で1対1で対戦する競技だ。相手の両肩を1秒間マットにつけるとフォールと判定され、その瞬間に勝利が決定する。もしくは技を繰り出すことでポイントを重ね、最終的に10点差をつけることで「テクニカルフォール」となり試合終了となる。レスリングの種目は二つに分けられ、その一つであるフリースタイルは、相手の全身に攻撃が可能で、腕や足を使って相手をホールドすることで得点を重ねていく競技だ。

試合は2ピリオド制で行われ、各ピリオドは3分、間に30秒の休憩が挟まれる。ポイントを稼ぐためには、タックルや投げ技、グラウンドでのホールドが重要となり、相手のバランスを崩すことで、試合を有利に進めていく。攻撃範囲が広く、自由度が高い競技なので、さまざまな技が高速で繰り出される展開の早さが醍醐味の一つだ。最後数十秒から相手の隙をついて懐に入り、ポイントを獲得して逆転することも珍しくない。技が見事に決まった瞬間は、客席から大きな拍手と歓声が沸き起こる。

パリ大会では、男子フリースタイル6階級(57kg級、65kg級 、74kg級、86kg級、97kg級、125kg級)と、女子フリースタイル6階級(50kg級、53kg級 、57kg級、62kg級、68kg級、76kg級)が実施された。
Playback: Hot moments from the Paris 2024 Olympics
過去6年以上無敗、パリ大会までに133連勝という戦績で本大会に臨んだ女子53kg級の藤波朱理選手は、順調に決勝まで勝ち上がると、決勝の舞台でも相手を10-0と圧倒。初めてのオリンピックでも臆することなく強さを見せつけて、弾けるような笑顔で金メダルを掲げた。
Playback Paris Olympics 2024 [Moments when Japanese athletes won medals]

準々決勝で敗れた相手が決勝に進出したため、敗者復活戦から3位決定戦に駒を進めていた女子65kg級の尾崎野乃香選手は、東京大会銀メダリストのブレッシング・オボルドゥドゥ選手(ナイジェリア)に3-0で勝利し銅メダルを獲得。本大会の女子レスリング日本勢のメダルラッシュの口火を切ってみせた。
連覇の期待を受けながら初戦敗退という結果となった女子50kg級の須崎優衣は、対戦相手の計量失敗により3位決定戦に出場することに。序盤から果敢に攻めて本来の実力を披露し、銅メダルをつかんだ。

女子53kg級の藤波は、世界ランキング1位のエクアドルのルシア ヤミレト・ジェペス グスマン選手と決勝で対戦。6-0で迎えた後半も鋭いタックルからポイントを奪うなど積極的に攻め続け、後半37秒に10対0のテクニカルスペリオリティで勝ち金メダルを獲得した。
男子57kg級の決勝でアメリカのスペンサー・リチャード・リー選手と対戦した樋口黎選手は、2ポイントのリードを許して迎えた後半、タックルから2ポイントを奪って追いつくと、終了間際に2ポイントを追加して4対2で逆転勝ち。ソウル大会以来36年ぶりの、レスリング男子の最軽量級での金メダルを獲得した。
女子57kg級の決勝で、世界ランク2位のアナスタシア・ニキータ選手(モルドバ)を迎えた櫻井つぐみ選手は、前半を4ポイントのリードで折り返すと、後半も持ち前のスタミナを生かして積極的な攻めを続け、6-0で勝利。日本勢にとって同階級で3大会連続となる金メダルをもたらした。

男子74kg決勝に登場した高谷大地選手は、ウズベキスタンのラザンベク・サラムベコビッチ・ジャマロフ選手と対戦。タックルを積極的に仕掛けるものの相手にかわされ、逆にバックを取られて2ポイントを奪われるという展開に。さらに回転させられるなど3ポイントを奪われて、そのままフォール負け。しかし、オリンピックの舞台での充実感が伝わるような笑顔で、銀メダルを掲げた。
準決勝で5ポイントをひっくり返す大逆転のすえに勝ち進んだ女子62kg級の元木咲良選手は、決勝で東京大会銅メダリストのウクライナのイリナ・コリアデンコ選手と相見えた。序盤に消極的なプレーのペナルティーとして1ポイントを取られるものの、低く素早いタックルからバックを取り、そのまま相手の足首を固めて体を回転させるアンクルホールドで3点差を付けて前半をリード。後半もさらに8ポイントを奪い、残り1分余りを残して12対1のテクニカルスペリオリティで勝って、初めてのオリンピックで金メダルを獲得した。

男子65kg級の清岡幸大郎選手は、決勝で世界ランキング2位で2022年の世界選手権の王者イランのラーマン・アムザードハリリ選手と対戦。開始1分50秒すぎに場外に出され1点を失いましたが、前半残り30秒ほどで得意のタックルから相手の背後を取って2ポイントを奪い逆転。そのまま寝技に持ち込んで次々と相手を回転させて、10対1と大きくリードを奪う。後半相手にポイントを返されるも、前半の大きな貯金を守り切り、10対3で勝って金メダルを獲得した。この階級での日本選手の金メダルは、東京大会に続いて2大会連続となる。
初のオリンピックで決勝の舞台に駒を進めた女子76kg級の鏡優翔選手は、アメリカのケネディ アレクシス・ブレイズ選手と対戦した。1対1で迎えた後半、互いに攻撃を仕掛け合う中、残り1分半を切ったところで持ち味の鋭いタックルを繰り出し2ポイントを奪い、その後はポイントを与えず3対1で勝って金メダルを獲得。日本選手がレスリング女子の最も重い階級で金メダルを獲得するのは初めてのこととなった。
Athletes that the King Gear editorial team noticed at the Paris Olympics 2024
レスリングフリースタイルで日本人にとってお馴染みの外国人選手といえば、女子57kg級のアメリカ代表、ヘレン・マルーリス選手の名前があがるだろう。2016年のリオ大会では吉田沙保里選手の4連覇を阻み、アメリカの女子レスリング界に初めての金メダルをもたらしたレジェンド。東京大会でも銅メダルを獲得している実力派だ。3大会連続のメダルをかけたパリ大会では準決勝で櫻井つぐみに敗れるものの、3位決定戦を制して3大会連続のメダルを獲得した。
【レスリング】パリ五輪の戦績
女子フリースタイル
★尾崎野乃香(68kg級)

・1回戦 対ソレイミアントニエタ・カラバジョエルナンデス:○10-0
・2回戦 対メーリム・ジュマナザロワ:●2-6
・敗者復活戦 対デルゲルマ・エンフサイハン:○6-0
・3位決定戦 対ブレッシング・オボルドゥドゥ:○3-0
★須崎優衣(50kg級)

・1回戦 対ビネシュ・ビネシュ:●2-3
・敗者復活戦:不戦勝
・3位決定戦 対オクサナ・リバチ:○10-0
★藤波朱理(53kg級)

・1回戦 対ドミニクオリビア・パリッシュ:○6-0
・準々決勝 対フラン・バトフヤグ:○8-2
・準決勝 対龐倩玉:○8-2
・決勝 対ルシアジャミレス・ジェペスグスマン:○10-0
★櫻井つぐみ(57kg級)

・1回戦 対ハナフェイ・テーラー:○6-1
・準々決勝 対ルイサエリザベス・バルベルデメレンドレス:○11-0
・準決勝 対ヘレン・マルーリス:○10-4
・決勝 対アナスタシア・ニキタ:○6-0
★元木咲良(62kg級)

・1回戦 対クリスタトゥンデ・インツェ:○4-0
・準々決勝 対アナポーラ・ゴディネスゴンザレス:○11-0
・準決勝 対グレースジェーコブ・ブレン:○7-7
・決勝 対イリーナ・コリアデンコ:○12-1
★鏡優翔(76kg級)

・1回戦 対ヘネシスロサンヘラ・レアスコバルデス:○2-0
・準々決勝 対ヤセミン・アダルイーイト:○3-0
・準決勝 対タチアナ・レンテリアレンテリア:○2-4
・決勝 対ケネディアレクシス・ブレーズ:○3-1
男子フリースタイル
★樋口黎(57kg級)

・1回戦:不戦勝
・準々決勝 対ダリアントイ・クルス:○12-2
・準決勝 対アマン・アマン:○10-0
・決勝 対スペンサーリチャード・リー:○4-2
★高谷大地(74kg級)

・2回戦 対ヘアンドリ・ガルソン カバジェロ:○10-0
・準々決勝 対ヘティク・ツァボロフ:○10-0
・準決勝 対カイル ダグラス・デイク:○20-12
・決勝 対ラザンベクサラムベコビッチ・ジャマロフ:●0-5
★清岡幸太郎(65kg級)

・1回戦 対マキシム・サクルタン:○10-0
・準々決勝 対セバスチャン・リベラ:○8-6
・準決勝 対トゥルガ・トゥムルオチル:○5-1
・決勝 対ラハマン・アムーザドハリリ:○10-3
*The information in this article is current as of the time of publication.
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