パリ五輪・日本人メダリストの活躍と注目の戦いを総括(大会17日目)
現地時間7月26日に開幕したパリ五輪も、8月11日の閉会式をもって17日間にわたる熱戦に幕が落とされた。ここでは8月12日(日本時間8月12〜13日)の大会17日目にメダルを手にした日本人選手たちの活躍や、注目選手の戦いぶりを振り返る。※トップ画像出典/Getty Images
大会17日には、レスリング男子フリースタイル65kg級の清岡幸大郎、レスリング女子76kg級の鏡優翔が金メダルを獲得した。
レスリング 男子フリースタイル65kg級 清岡幸大郎 金メダル
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レスリング男子フリースタイルの65kg級に清岡幸大郎が出場し、金メダルを獲得した。
1回戦でマクシム・サクルタン(モルドバ)と対戦した清岡は、高速タックルなどを交えた積極的な攻撃でポイントを重ね、第1ピリオド途中の2分57秒に10-0でテクニカルスペリオリティ勝ちし、幸先の良いスタートを切った。準々決勝では、昨年の世界選手権準優勝のセバスティアン・リベラ(プエルトリコ)と対戦した。序盤から果敢に攻めた清岡は第1ピリオドを6-2で終え、第2ピリオドではリベラの猛反撃に遭うものの2点差で振り切り、6-2で準決勝へと駒を進めた。
トゥルガ・トゥムル オチル(モンゴル)と対戦した準決勝では、相手のペースに飲まれ0-1とリードを許して第1ピリオドを終えたが、第2ピリオドの開始早々に連続得点で5ポイントを奪って逆転。そのリードを守りきって5-1で勝利し、決勝進出を決めた。
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決勝では、一昨年の世界選手権と今年4月のアジア選手権を制したラフマンムサ・アムザドハリリ(イラン)と対戦した。
清岡はアムザドハリリに場外に押し出されて先制を許すも、第1ピリオドの終盤に相手の両足の間に入り、4連続のローリングを繰り出して10ポイントを獲得。得意な形でポイントを奪った清岡は10-1で第1ピリオドを終えた。第2ピリオドでアムザドハリリにタックルを返されて2点を奪われたものの、そのリードを守り切り10-3で試合を終え、見事に金メダルを獲得した。
レスリング 女子76kg級 鏡優翔選手 金メダル
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レスリング女子76kg級に鏡優翔選手が出場し、金メダルを獲得した。
2024年3月に右肋骨の骨折、5月には右膝内側側副靱帯を損傷し、コンディションが心配された昨年の世界選手権女王の鏡は、1回戦でヘネシス・ロサンヘラ・レアスコバルデス(エクアドル)と対戦した。序盤は鏡のタックルを警戒する相手に攻撃の糸口が見出せない展開が続き、相手の消極的な姿勢により1点を先制したものの、追加点を奪えずに第1ピリオドを終えた。第2ピリオドでもカウンター狙いのレアスコバルデスに対して我慢の試合展開が続いたが、アクティビティ・タイムを課されると、相手の足を取って場外へ押し出して1点を追加。2ポイントのリードを守りきり、2-0で勝利して準々決勝進出を決めた。
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準々決勝でヤセミン・アダルイギト(トルコ)と顔を合わせた鏡は、序盤に相手のタックルで2ポイントを失う不運に見舞われたものの、アクティビティタイムに1点を奪い、第1ピリオドを1−0で折り返した。第2ピリオドでも果敢に攻めた鏡は、開始早々にアダルイギトのバックを取り2点を追加して3-0とし、このリードを守りきり準決勝へと駒を進めた。
タティアナ・レンテリアレンテリア(コロンビア)と対戦した準決勝では、第1ピリオドにタックルからのカウンターで先制を許し、0-2で試合を折り返す。第2ピリオド早々に鋭いタックルから相手のバックを取って同点に追いつくと、そこから相手を回転させて4ポイントを獲得。この後も反撃に耐えて4-2で勝利し、決勝進出を決めた。
決勝でケネディアレクシス・ブレーデス(アメリカ)と対戦した鏡は、相手の消極的な姿勢によるペナルティで1ポイントを先制したものの、すぐさまにタックルを決められて同点とされ、第1ピリオドを1−1で折り返した。両者決め手を欠く中で時間が進んだ第2ピリオドは、残り1分30秒を切ったタイミングで鏡の鋭いタックルが決まり、そのリードを守りきった鏡が3-1で勝利。鏡は最重量級の選手としては初の金メダルを獲得した。
陸上 女子マラソン 鈴木優花 6位
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パリ五輪の女子マラソンには、鈴木優花、前回東京五輪8位の一山麻緒、日本記録保持者の前田穂南の3選手が出場を予定していたが、2024年1月の大阪国際女子マラソンで2時間18分59秒の日本新記録を樹立した前田は、右大腿骨疲労骨折のため大会を欠場することとなった。
気温19度、湿度66%のコンディションの中91名の選手がスタートを切ったが、序盤は選手たちが大集団を形成したこともあり、最初の5kmを17分24秒というスローペースでレースは進んだ。日本の鈴木と一山も集団の中で並走していたが、15km手前付近で一山が脱落。15km地点で首位と46秒差の45位と、苦しい試合を強いられることとなった。
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15km地点でトップと14秒差の15位だった鈴木は、ここから16km付近で再び先頭集団に追いつくと、25km付近まではトロフィモワ(キルギス)、サルピーター(イスラエル)がリンドワーム(アメリカ)に次ぐ4位集団を並走。25km過ぎ4位の大集団がトップの3選手を飲み込む形で、18人の先頭集団を形成した。30km付近の急な上り坂で集団から一度離脱した鈴木だったが、坂を降り終えたタイミングで再び追いつき、鈴木を含む9選手が集団を形成した。
鈴木は35km付近まで先頭集団に必死に食らいついたものの、その後脱落。それでも最後まで我慢の走りを展開し、6位でフィニッシュ。自己ベストを7秒更新する2時間24分2秒でのゴールとなった。なお2大会連続出場の一山は、バネを生かしたスピードのある走りが鳴りを潜めて51位。2時間34分13秒でフィニッシュした。
順位
2位:ティグスト・アセファ(エチオピア)2:22:58
3位:ヘレン・オビリ(ケニア)2:23:10
6位:鈴木優花(日本)2:24:02
51位:一山麻緒(日本)2:34:13