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「お前は帰ってきてくれるか?」ジャイアンツの日本一を知るコーチ陣の熱い語らい
2024年ジャイアンツが4年ぶりのリーグ優勝を果たした。さかのぼって同年2月下旬、春季キャンプ中の沖縄某飲食店の個室に、ジャイアンツコーチ陣の錚々たる顔触れが集まった。彼らには「2012年ジャイアンツ最後の日本一を経験した優勝メンバー達」という共通点がある。栄光を知る元選手達が、王座奪回へのカギを熱く語り合っていた。※トップ画像出典/PhotoAC
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鍋を囲みつつ当時を知る6人が一堂に会す
ジャイアンツのコーチ陣5人が鍋を囲み、フランクな雰囲気で始まった“目指せ12年ぶり日本一!GIANTSコーチ座談会”。投手コーチ・内海哲也氏、投手チーフコーチ・杉内俊哉氏、バッテリーコーチ・實松一成氏、打撃コーチ・矢野謙次氏、外野守備兼走塁コーチ・亀井善行氏と、現役時代に2012年のジャイアンツ優勝に携わった名だたるメンバーだ。
「俺呼ばれてないんだけど」と、乾杯の挨拶のタイミングで現れたのは現千葉ロッテマリーンズ打撃コーチ、2012年から5年間ジャイアンツに在籍していた村田修一氏がゲストとして現れた。
今季よりジャイアンツのコーチに就任した内海に、阿部(慎之介)監督からどのような言葉で要請があったのかという質問に、「お前は帰ってきてくれるか?という直接電話をいただいて。もちろんやらせてください、と」と語った。同じく今季からコーチに就任した矢野に同じく尋ねると、「技術とかどうでもいいから、お前の元気と明るさを、力を俺に貸してくれと。ほぼ二つ返事で、はいと。電話で、やらせていただきますと」と、即決した監督からの要請の言葉をふり返った。
阿部監督から、こういう投手陣にして欲しいという要望はあったのかという問いに対しては、「(監督とは)2軍で一緒やってるから、監督とコーチで。監督の中ではそのままでやりたかったんじゃないかなって正直思うんですよ。あの時の雰囲気はすごい良かったから。自分の方針とか言いたいことっていうのはその一年間で監督に言ってきましたんで」と、2軍で育んだ監督との信頼関係を、杉内は語った。
続いて、同じく2軍で共に監督とコーチとして戦った實松に同様の質問を投げかけると「やっぱり監督が一番言うのは“キャッチャーはとりあえず失敗を恐れずチャレンジして欲しい。失敗をしない事ってまずないから。失敗を恐れず思った事、感じた事、新しい事にもどんどん取り組んでくれ”と」と、捕手出身の監督の言葉を一語一語再びかみしめるかのように語った。
錚々たるメンバーが語る巨人軍のキーマン
2024年に就任した第20代キャプテン岡本和真選手にも注目が集まる。阿部、坂本勇人氏から受け継いだジャイアンツキャプテンという重責はいかほどか計り知れない。
「まだ若いし、若いなりのキャプテンだから難しいとは思うけど、自分なりに考えてやってるんじゃないかなとは見える。背中で引っ張るタイプ」と亀井。ジャイアンツ時代の背番号を譲った村田は、数年越しに聞いた新キャプテンのバッティングの変化に驚いたという。「ボールが潰れてるんじゃないのって言う位バギーっと飛んでいくから」と、若き新鋭の伸びしろに驚いたというエピソードを語ってくれた。
「まだ若いし、若いなりのキャプテンだから難しいとは思うけど、自分なりに考えてやってるんじゃないかなとは見える。背中で引っ張るタイプ」と亀井。ジャイアンツ時代の背番号を譲った村田は、数年越しに聞いた新キャプテンのバッティングの変化に驚いたという。「ボールが潰れてるんじゃないのって言う位バギーっと飛んでいくから」と、若き新鋭の伸びしろに驚いたというエピソードを語ってくれた。
岡本の他にも、コーチ陣が注目する選手は多い。面白い選手として松原聖弥選手を挙げ、「正直今(2024年に)使わなかったらいつ使うんだ」と絶賛した。亀井自身の経験した活躍の時期や不遇の時期が似ているという。危機感を感じている年だから、すごく面白い年になるのではないかと自身に重ねて語った。
他にも実績を持つベテラン菅野智之投手の名前が挙がった。年齢が上がると練習でもキツくなるのは当然だ。しかしそこでしっかりと練習にも余念なく励む菅野の姿を見て、若手がどう思うか、が重要であるという。ベテランの士気を若手が感じとって全体としての活気に繋がることを期待している。
日本一奪還という悲願達成に欠かせないのは他球団からの移籍組だ。
何を隠そう、杉内と村田は共に2012年ジャイアンツに移籍し、日本一に大きく貢献した。活躍の陰にはチームメイトの力があったという。杉内も移籍直後に懸念していたのは、チームにどうやって馴染むかという事だったそうだ。その時に、内海を始めとしたチームメイトの手助けがあってこそジャイアンツの一員になれた、と当時を振り返った。
打撃コーチの矢野は、「楽しい。僕はバッターとして全員を成長させるためのサポートをして全員のレベルを上げる。阿部監督が迷っちゃうくらいの選手を一人でも多くたくさん…一緒にやって成長していくという風にやっています」と熱く語った。實松も、「キャッチャー一人一人色があっていいと思う。選手が思った事感じた事は全然やってもらっていい、思い切ってやってほしい」と選手に全面の信頼を寄せた。
開幕選手に選ばれた戸郷翔征選手を、1年目からコーチしていた杉内は「モノが違う。すぐ1軍に行ける」と感じたという。上半身だけを使った独特のピッチングフォームに関しても、戸郷を信じてあえて助言はしなかったという。戸郷の選手生命と共に、先見の明のある杉内の指導力が開花した瞬間ともいえるであろう。
コーチの目から見る選手は面白い。2025年シーズンの日本プロ野球がさらに楽しみだ。
「DAZN GIANTS 2024 -INSIDE- EPISODE 0 : 指導者たちが語る未来」より
※記事内の情報は放送当時の内容を元に編集して配信しています