笑顔の裏にある戦略と精密技術――カーリング女子日本代表候補・ロコ・ソラーレの「強さの秘密」

数センチの差が勝敗をわけるスキップ藤澤の“神業ショット”

北海道・北見市を拠点とするロコ・ソラーレは、藤澤五月、吉田知那美、鈴木夕湖、吉田夕梨花ら実力者を揃えるチーム。番組では、元プロ野球選手の杉谷拳士が現地を訪れ、彼女たちの強さの理由を探った。

まず注目されたのは、スキップ・藤澤五月の正確なショット技術。藤澤は、試合終盤の7投目と8投目に投げるスキップというポジションを担当している。複雑な状況で得点を決定するショットを打つため、より綿密なコントロールが求められるポジションだ。実際に藤澤の正確なショットを見せてもらうと、藤澤は「ダブルテイクアウト」と呼ばれる高度なテクニックに挑戦。1投で2つの相手ストーンを弾き出し、形勢を一気に逆転させるショットだ。

「当てどころの角度が1～2cm違うだけで、結果がまったく変わってしまうんです」そう語る藤澤は、数センチの誤差も許されないプレッシャーのなか、ストーンを的確に弾き出すことに成功。まさに“職人技”といえる正確さで、スタジオでも歓声が上がった。

“クレイジースイーパーズ”の連携力と、笑顔に秘めた覚悟

さらに注目すべきは、“クレイジースイーパーズ”の異名を持つ鈴木夕湖・吉田夕梨花のスイープコンビ。スイープとは氷上をブラシでこすり、ストーンの滑りを調整する重要な役割。ロコ・ソラーレは海外選手と比べて小柄ではあるものの、スイープの技術力では負けていない。

スイープには、「まっすぐ進めるスイープ」と「曲げるスイープ」があるという。吉田夕梨花は「まっすぐ進めるスイープ」を、鈴木夕湖は「曲げるスイープ」を、ショットに応じて瞬時に役割を交代することで、狙い通りの軌道にストーンを導いていくのだ。

そして、ロコ・ソラーレの強さを語るうえで欠かせないのが「チームの空気感」だ。試合中も常に笑顔を絶やさない。藤澤は、「試合中のムードメーカーはちな（吉田知那美）。私はつい真剣になってしまうタイプだけど、チームを盛り上げてくれる存在」と語る。どんな場面でも笑顔で前を向くその姿勢の裏には、苦しいときこそチーム全体の雰囲気を保つという強い意志があるのだ。

ロコ・ソラーレは4月8日からカナダで行われるプレイヤーズチャンピオンシップに出場予定。世界トップ12チームが集うこの大会で、彼女たちは“勝利”だけでなく、“観て楽しいカーリング”を目指している。「失敗を恐れずチャレンジして、ロコ・ソラーレらしいプレーで締めくくりたい」その言葉通り、笑顔の奥にある戦略と信念が、彼女たちの強さを支えている。

『ABEMAスポーツタイム#78』（2025年3月30日（日）配信）より
*The information in this article is current as of the time of publication.