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日本から世界へ!三好・吉冨ペア、ピックルボールの頂点を目指して2人が切り拓く新たな未来

2024年12月、東京・有明テニスの森で開催された「PJF Pickleball Championships 2024 in Japan」。その大会に三好健太選手と吉冨愛子選手が出場し、ミックスダブルスではペアを組んだ。日本を代表するピックルボール選手として、国内外で名を馳せる2人は、競技だけでなく、パートナーとして強い絆で支え合っている。2024年3月から世界各国を遠征しながら、スポンサー獲得や資金調達にも自ら尽力。国内でピックルボールを広める活動もしてきた。大会3日目にはエキシビジョンマッチのコート作りにも参加し、終了後の片付けも手伝うなど、2人のピックルボールへの深い愛情と情熱が感じられた大会だった。※トップ画:撮影/松川李香(ヒゲ企画)

Icon img 9605 1  1Nana Takahashi | 2024/12/26

日本のピックルボール界が前進!

三好と吉冨のピックルボールのプロ活動は2024年3月にスタートした。主に海外でのピックルボール大会に出場してきたため、二人とも応援してくださる方々の前でプレーができたことに喜びの声をあげていた。三好は今年の2月頃にハワイを訪れた際にこの大会について知り、出場することを決め、3月からプロとして歩み始めた。吉冨は出場理由として、有明テニスの森(ハードコート)での開催と海外選手出場の2つを挙げていた。彼女のプロテニスの経験からコートサーフェス、そして国内に留まらず、海外の選手とプレーすることがいかに重要かを教えてくれた。「今大会はこれからの日本のピックルボールを正しく前進させる大きな出来事になったと思っています」と力強く語ってくれた。

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Photography: Rika Matsukawa (Hige Kikaku)

国内初挑戦の舞台で見えた課題

三好・吉冨ペアはミックスダブルスに出場し、結果は3位だった。ピックルボールを始めてからずっとペアを組んでおり、日本での大会は初出場だったため、この結果に2人とも悔しさを滲ませていた。吉冨は「プレーも心も、お互いのパフォーマンスも上手く噛み合わなかった」と正直な思いを吐露した。同時に、今回の大会で多くの課題も見つけ、2025年に向けてすでに新たなスタートを切っていると前向きに語った。

三好のプレーは“動物的な感性の動き“、吉冨がそれをアシストするようなプレーをしていると自己分析している。試合を重ねるごとに新たな発見があり、その都度、次の試合に向けた戦い方を2人で話し合っているようだ。

印象的だったのは、試合に勝ったにもかかわらず、試合後に迫力のあるケンカをしていたことだ。私はこの1年で何度も2人のケンカを見てきたが、競技に関する話なるとその熱量は圧倒的に違った。試合結果に満足せず、納得いかないプレーについては徹底的に議論する。このような姿勢は、2人には指導者がおらず、お互いが選手兼コーチとして活動してきたからこそできることだと感じた。

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Photography: Rika Matsukawa (Hige Kikaku)

世界の舞台で感じた課題と成長

ピックルボールの本場アメリカをはじめ、世界各国の大会を周ってきた2人にとって、「寒さ」が大きな敵だったようだ。大会では1日に何試合もプレーするのだが、各試合の時間が決まっていないため、常に試合に臨めるようなコンディション作りが非常に難しかったと三好は語っていた。また世界で戦うためには「ハードコート」である必要性も教えてくれた。「ハードコート」とは、アスファルトやコンクリートなどの硬い素材の上にゴムやアクリルでコーティングされたコートのことをいう。国際基準の大会であり、普段2人が出場しているPPA Tourと似た環境だったため、海外選手もプレーをしやすかったのではないだろうか。

大会は有明テニスの森で行われたのだが、ここは元々テニスコートだ。この場所にピックルボールコートを手作業で設営し、三好と吉冨もその設営を手伝っていた。選手が気持ちよくプレーできるように、コートを1面ずつ数センチのズレもないように丁寧に作り上げ、片付けもテニスコートを借りている立場として、テニスコートを傷付けないよう慎重に行った。日本を代表し世界で活躍している選手が、こうして大会をサポートしていたのだ。さらに、吉冨は海外会場の雰囲気についても教えてくれた。海外では会場に音楽が流れており、今後日本でも会場の理解が深まり、もっとお祭りのような賑やかな雰囲気になったら嬉しいと話していた。

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Photography: Rika Matsukawa (Hige Kikaku)

ピックルボールの未来を切り開く2人の挑戦

今後の課題について、三好と吉冨は共に「環境作り」が重要だと答えた。世界の選手たちは、質の高い練習を当たり前のようにできる環境で仲間を作り、スキルを磨いている。一方、日本での練習はコート作りから始まるため、練習場所が常に確保できる環境が整えば、より効率的に練習を進められるだろう。

三好は2024年に開催された「MLPA(メジャーリーグピックルボールオーストラリア)」に日本人初として出場し、2025年にはその大会のキャプテンに任命されたことが先日発表された。これも快挙だ。また三好と吉冨は2025年1月にインドで開催される「World Pickleball League」というプロリーグのドラフトに選ばれた。2人で世界の舞台に挑戦し続ける三好と吉冨。今後もさらなる活躍が期待されるだろう。

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Photo by author

国際色豊かな大会で感じた社交的な楽しさ

この大会には海外からの参加者も多く、会場では日本語よりも英語がよく使われていた。会場内を歩いていると、目が合った人と自然に笑顔を交わしたり、軽い挨拶をしたり。日本で開催されているとはいえ、まるで海外にいるような雰囲気を感じた瞬間もあった。それが、この競技の魅力なのだろう。「ピックルボール」は、知らない人ともすぐに親しくなれる社交的なスポーツで、孤独感を感じることなく楽しめる。私は観客として行っていたが、それを改めて実感させられる大会であったと感じた。

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前人未踏の“プロピックルボール選手”という道を選んだ“三好健太”の挑戦とは

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“ひとり”じゃない、パートナーとふたりで成し遂げる“プロピックルボール選手”への道

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