Seibu's Matsuzaka Daisuke's retirement ceremony features impressive guests including Ichiro and Tsumabuki Satoshi
埼玉西武ライオンズは、本拠地のメットライフドームでファン感謝イベント「LIONS THANKS FESTA2021」を開催し、イベントの最後には、今シーズン限りで23年の現役生活に別れを告げた松坂大輔投手の引退セレモニーが行われた
KING GEAR Editorial Department
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2021/12/07
「ファンフェスタ」では、西武ライオンズのチームメートでもあり、同時期にメジャーリーグに挑戦した松井稼頭央ヘッドコーチとのトークショーも行われ、「松坂フィーバー」の想い出や、メジャーリーグで初対戦した時の印象などが語られた。
セレモニーの冒頭で流された、錚々たる面々からのメッセージVTRを見つめる松坂投手。
〈メッセージが紹介された方々〉
ビデオメッセージを松坂が見届けると、同じ“松坂世代”の俳優、妻夫木聡氏が登場。
「僕にとってヒーローであり夢であり、最大のライバルでした。引退を迎えることが、僕にとっても感慨深いものがある。あなたの努力を近くで見ていた僕にとっては、この日を迎えるということが正直とても悔しい。悔しい思いもいっぱいしたと思いますが、そんな姿を見せずに、自分や家族のため、そしてファンの皆さんのために最後まで戦い続けた松坂大輔を僕は誇りに思います。本当に23年間ありがとう」と語った妻夫木は松坂に花束を受け渡すと、がっちりと握手を交わした。
続けて登場したのは、1998年のドラフト会議で交渉権を引き当てた当時の指揮官、東尾修氏。自らの200勝のボールを手渡し、松坂の西武入団を手繰り寄せた恩師だ。
10月19日の引退会見でも、松坂は「自分自身が200勝して、(東尾さんに)お返ししたかった」と無念さを語ったが、この日のセレモニーでもボールについての話題が及んだ。
「あなたが私に対して、約束を果たせていないものがありますよね?あのボールの件ですよ。だから、また新たな約束をしてほしいです。今度帰ってくる時は、ライオンズのユニホームしか着ちゃダメだぞ!『守ります』と言ってください」と、勢いよく詰め寄る東尾に対し、戸惑いながら苦笑いする松坂。
「こればっかりは、僕が『やりたい』と言っても、戻って来られるわけではないんですが…。またライオンズに声を掛けてもらえるように、これからももっと野球を勉強して、戻って来られるように努力します」と応えると、スタンドにいるファンの大きな拍手が鳴り響いた。
西武球場前駅に設置された「Lトレイン」。師弟関係でもある二人の写真が並ぶ車両には、多くのメッセージが寄せられていた。
続けて「野球と一緒で物覚えが悪い。挨拶の場に立つと忘れちゃう」という松坂は、自身の心情を綴った文章に目を通しながら、ファンに向けて最後の挨拶に臨んだ。
続けて「野球と一緒で物覚えが悪い。挨拶の場に立つと忘れちゃう」という松坂は、自身の心情を綴った文章に目を通しながら、ファンに向けて最後の挨拶に臨んだ。
「野球を始めた時から応援していただいている方、ライオンズに入団してから応援していただいている方、怪我をしてから応援していただいている方、たくさんの方に支えてもらいました。本当に長い間ありがとうございました。僕の現役時代の原動力は、応援していただいている方に喜んでいただきたいという想いでした。
「One for All」、「 All for One 」という言葉を胸に刻んで、ここまで投げ続けてきました。もし少しでもファンの方が喜んでくれたり、勇気やパワーを贈ることができていたのなら、こんな姿になっても『まだまだ投げ続けたい』と思いながらやってきて、本当によかったと思う」。
これまで支えてくれた方々への感謝の想いを語った松坂は、松坂は、「ここまで来るなかでたくさんの方にたくさんの不満や迷惑をかけてきたことも事実です。改めて申し訳ありませんでした」と、近年は故障に悩まされる日々が続き、満足なパフォーマンスが見せられなかったことを謝罪。
「こんな僕に投げる場所を与えてくれたライオンズ、ホークス、ドラゴンズ、レッドソックス、インディアンス、メッツ、そして、いつも僕の気持ちを奮い立たせてくれたファンのみなさん、感謝しています。ありがとうございます」と、再び日米の所属球団やファンに向けた感謝の気持ちを述べた。
「小さい頃から投げること、打つことが大好きで、引退を決める直前までもっと投げたい、もっとみんなで勝ちたいと思っていた僕ですが、最後は投げられなくなるまで野球を続けてくることができて、本当に幸せでした」と、23年間の選手生活を締め括った。
「誰でもいつか辞める日が来ます。選手の時間は無限ではありません。悔いの残らないように、日々を過ごしてください」という現役選手に向けた松坂の言葉を噛み締めながら、セレモニーに参加する西武ナイン。チームの生え抜きで野手最年長の中村剛也(右)、栗山巧(右から2人目)らも、その様子を見守った。
セレモニーを終えた松坂がベンチに引き上げようとしていると、突然イチロ―氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)のスペシャルメッセージが大型ビジョンに映し出された。
「大輔、どんな言葉をかけていいのか、なかなか言葉が見つからないよ。僕にはこんなやり方しかできません。許せ、大輔」というコメントが流れると、一塁側からイチロー本人が花束を持ってサプライズで登場。スタジアムが騒然とするなか、幾多の名勝負を繰り広げてきた盟友から花束を渡された松坂の目には、涙が光っていた。
セレモニーを終え、松坂投手を迎える辻発彦監督。