Overcoming the COVID-19 pandemic with strong bonds! The source of the music that Kamen Joshi makes resonate in the face of adversity
コロナ禍によって、オフラインで得られる体験を付加価値に持つ産業は大きな打撃を受けた。スポーツ、音楽、芸能、観光…決して画面越しでは感じられない、その場でしか味わえない”ライブ感”こそが重要だと考える人も多いのではないだろうか。 そんな”ライブ”を特に大切にしているアイドルグループが仮面女子である。 コロナ禍で活動が制限され、グループ内でのクラスター発生も経験した彼女たちがいかにしてこの苦境を乗り越えてきたのか。4人のメンバーに話を聞いていく。
Sen big tree
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2021/11/30
左から小島夕佳、森下舞桜、月野もあ、木下友里
――まずはライブや、ファンとの触れ合いなど、最近の活動について教えてください。
森下:緊急事態宣言が解除されましたが、まだ「コロナ禍」は続いています。油断できない状況なので、私たちもアクリル板をお客さんの前に立ててライブをしたり、特典会をするときにも手袋をするなど、徹底した感染対策を行いながらファンの皆さんと触れ合うようにしています。
月野:特典会自体がなくなってしまうことも多くありました。最近は「チェキ会」でファンの皆さんと交流しているのですが、ビニールシート越しでしかもマスクをしながらだと、思うようなコミュニケーションができない場面があって…。声が聞き取りにくく、口元もマスクで隠れて見えない中での触れ合いで、スムーズに想いを感じ取れない悔しさを感じさせられることもありますね。
――コロナ禍では、無観客ライブを経験されました。感情に変化はありましたか?
Kojima:(観客が)いる、いないで、結構気持ち的にも変わるよね。(ファンが)いてくれた方が心強いですし、「もっと、カマしたろう!」という気持ちにもなるので…。
森下:新型コロナウイルスが流行る前には多くのライブをやっていましたが、だいぶ本数も減りました。(コロナ禍の時期に)新曲も増えたんですけど、まだファンのコールを聞いていないので、実際にどんな感じなのかなと。
Kojima:結構(新曲が)溜まっているよね。
月野:私たちのライブは、声を出すことが一番気持ちがいいので着席しながら、サイリウムのライトだけで応援してくださるお客様のもどかしい気持ちもわかります。「本当なら、もっと熱くなるのに…」という悔しさを感じながらライブをしていますね。
――視線、拍手などを通じたファンの皆さんの想いをどのように受け止めていますか?
森下:サイリウムや拍手などを使って、今出来る限りの応援をしてもらえていて、めちゃめちゃ嬉しかったですね。
月野:中にはジャニーズさんで使っているような名前の書かれたうちわを作って下さる方もいらっしゃって、ファンの方が色々と考えて、工夫してくれているみたいです。これまではほとんど見ることがなかった「もあちゃん」と書かれたうちわを見ると、すごいなと思います。
Kinoshita:ホワイトボードにメッセージを書いたり消したりしながら応援してくださる方もいたんですよ(笑) 嬉しかったです。
――演出の違いは?
Kinoshita:私達のライブではお馴染みの演出というのがあります。例えばゴムボートに乗ったメンバーが客席にいるファンに担がれるような形で歌う「ゴムボート航海」や、風でトイレットペーパーが出る「トイレットペーパーガン」を客席に向かって打つ演出をやっていたのですが、それも中止にしました。その代わりにステージの上だけで出来る演出を、新たに考えましたね。
月野:触れ合ったり、手を合わせたり、ハグするようなパフォーマンスはやめて、出来る限り接触は避けるようにしました。新型コロナウイルスの危険性が高かった時には、すれ違うことすらもやめてみたりして、まったくステージ上で動かず、立ち位置も変えない。試行錯誤しながらダンスパフォーマンスをしていた時期もありました。
Kojima:それがあったからこそ、もっと振りを揃えようと思いました。だからさらにパワーアップも出来た部分もあるのかな、と思います。
――曲の振り付けは、どのように覚えているのですか?
森下:振付師や卒業したメンバーが振りをつけてくれます。送ってもらった動画を見ながら、次の練習までに覚えてくる流れで進めています。期間は短いと1週間とかの時もありますね。
Kojima:練習で合わせる時は長いと9時間くらいかかります。「もう何時間やってるの?」「足浮腫むよ」とか言いながら…。
月野:10時間くらいやったこともあったよね?もはや泊まった方が良いかも、みたいな。
森下:朝の8時から22時までやっていたこともありましたね。
Kinoshita:合宿なんかすることもあったりして。
月野:合宿になると夜は無制限に続けられてしまうので、「寝なさい」と言われて渋々寝るみたいな感じです。「もう少しフォーメーションをまとめてから寝ますね」とか言って粘ってみたり。
Kojima:テスト勉強みたいだよね(笑)
――コロナ対策には十分気を使っていたにもかかわらず、グループ内でクラスターが発生するという経験もしています。
森下:ここまで大人数のグループはあまりないので、一人が(コロナを)罹ってしまうと、楽屋も狭いので、感染してしまう。予定されていた夏フェスも行けなくなってしまって、すごく悔しかったです。
Kinoshita:わたしたちの夏は消えました。仮面女子は夏の曲がたくさんあるのでやりたかったんですけどできなかったので、もう春夏秋冬ずっと夏の曲をやっていこうかなと(苦笑)。
月野:フェスに参加するために。わざわざ宿や新幹線を取ってきてくれたファンの方への申し訳ないという気持ちが大きくて…。メンバーとどうしようかという話し合いはしました。
――オンラインでの会議も大所帯になると大変ですよね。
Kinoshita:ズームでの会議は結構大変でしたね。会議には大阪にあるグループも含めて全メンバーが入ります。全部で30人くらいいるので、全員がマイクをオンにするとハウリングしてしまうんです。
だからまずはスタッフさんの話を聞き、言いたいことがある時には、「木下です」と挙手して順番に発言していました。
――皆さんの話しぶりから一丸となってコロナ禍を乗り越えようとしてきたチームワークを感じます。そうした絆の深さはどこから来るのでしょうか?
森下:元々仮面女子は特にライブが多いアイドルグループです。家族と同じくらいの時間をメンバーと一緒に過ごしているので、他の子のこともよくわかっているから絆が生まれているのかなと思います。
Kinoshita:(森下さん、小島さんは)二人はそれぞれ長野と新潟に実家があるので、そもそも帰れなくて…。東京に住んでいると、どんどんメンバーと過ごす時間が増えていきました。 森下:本当にお姉ちゃんみたいな感じです。 月野:一緒にいるのに、喧嘩とかもないです。
――魅力的なメンバーが揃っている分、コンプレックスやジェラシーを感じたりはしないですか?
Kojima:それぞれにいいところがあるので、それを生かそうという想いです。 木下:私の場合、ライブのリハーサル映像を見返して、「メンバーのみんなはかっこいいのに、自分はダメだ。みんなとは違う。」と正直落ち込んだ時期もあったんですけど…。
「みんなの良いところを盗んで、自分のものにしていこう」と、気持ちを切り替えてきました。
月野: 一人ひとりに尊敬できる部分があるから、そこに憧れる。もし、ダンスがうまいメンバーがいたら、絶対に足を引っ張らないようにしようと思います。メンバーが前向きに引っ張ってくれるからこそ、コンプレックスを感じるのではなく、ポジティブに捉えようとすることが大切だと思います。
【写真】長田慶
【取材協力】ヨコハマ・フットボール映画祭