Opening of MLB at Corona War, where difficulties await. The anguish of the field that US media told.
In the United States, new coronavirus infections are increasing daily. Meanwhile, the Major League (MLB) started on July 23. It's an unusual season where all 60 games are played with irregular rules, with only confrontation between teams in the same district, but this year's challenges were even more difficult.
Yoshinori Sawa
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2020/07/28
コロナ感染が拡大する中で、MLBは7月23日からシーズンの開幕を決定した。全米のメディア、ファンは選手や関係者への感染予防対策に注目した。どのチームもまずは本拠地でサマー・キャンプを始め、シーズンスケジュールも順次発表された。
しかし、MLB全体が開幕に向けて動き出した矢先、MLBの中で唯一カナダに本拠地を置くトロント・ブルージェイズはカナダ政府による方針で地元での試合が出来なくなった。これが最初の難題だった。ブルージェイズは開幕1週間前にも関わらず代替地探しに奔走した。
開幕してからもMLBは問題に直面する。7月27日に予定されていたマイアミ・マーリンズとボルティモア・オリオールズの試合が当日に中止になった。
マーリンズの選手やコーチから新型コロナの陽性反応が確認されたからだ。前日にマーリンズと試合を行った、フィラデルフィア・フィリーズも大事をとって、予定していたニューヨーク・ヤンキースとの試合中止を決めた。
このような状況下でのシーズンで米球界関係者はどのような影響を受けているのだろうか。筆者は現地のリアルな声を届けたく、米メディアに取材を行った。
米スポーツ局「FOXスポーツ・ウエスト」でエンゼルスの実況を務め、ビッグフライ・ギア(Big Fly Gear)というオリジナルブランドを展開している、ビクター・ロハス氏(以下、ロハス氏)と、「オレンジカウンティ・レジスター」でエンゼルスの番記者を務めるジェフ・フレッチャー氏(以下、フレッチャー氏)が心境を語ってくれたが、そこには想像していた以上の困難が待ち構えていた。
3月中旬、アメリカでの急速な感染拡大を受けて、MLBは開幕延期と当時行われていたキャンプの打ち切りを決めた。それまでチームに帯同して取材を続けていた彼らは当時の様子をこう語る。
取材ができない日々の中、ロハス氏は、「私は、友人でカンザスシティ・ロイヤルズの実況を務める、ジョエル・ゴールドバーグ氏とともに野球トークを行う『ビッグ・フライ・ベースボール・ショー(Big Fly Baseball Show)』という番組を、YouTubeとiTunesのポッドキャストで始めました」と、同じメディアの仲間やエンゼルスのアルバート・プホルス選手を招いて番組でファンに野球の話題を提供できる方法を模索していた。
新聞記者のフレッチャー氏も様々な方法で状況を打開しようとしていた。「私は、何か小さなことでも良いので、出来る限りMLBの情報を得ようと取材を続けていました。また、たくさん電話取材をしましたよ」。
6月23日、MLBは2020シーズンの開幕を発表したが、感染予防策の一環として新しい取材形式を定めた。「MLBは球界関係者を3つのティア(区分)に分けています。ティア1は最も重要で、監督、コーチ、選手、スタッフなどが含まれます。私たちメディアはティア3に分類されています。
ティア3では、監督やコーチ、選手等の個人はもちろんのこと、クラブハウスやフィールドにも近づくことはできません。メディアはエンゼルスタジアムへ入場する前に検温をした上で、プレス席でのみ取材活動が許されています」と、ロハス氏。
フレッチャー氏は、新しい取材形式の中で感じた難しさについてこう答える。「新しい取材形式の中で難しいのは、選手へのインタビューです。通常であれば、監督と4、5名の選手にインタビューをするのが日課でした。しかし、今はオンライン会見で監督他、選手1名としか話ができません。私たち記者の仕事は選手から独自のコメントを取ることなのですが、オンライン会見では他の記者が揃って同じ選手に取材をします。個別のインタビューができず、他の記者と違うストーリーの記事を書くことは難しいです」。
今年、MLB各球団は球場への入場者数を限定している。
入場前に検温を行うことを知らせる看板が掲げられている。
裏には感染予防対策が掲載されてている。
テレビ中継についてロハス氏は、「ホームゲームでは、これまで通り球場内の実況席から実況ができますが、ロードゲームでは球場外に実況席を設けて、私とマーク・グビザ氏(FOXスポーツ実況)はモニター越しに実況することになります。リモート実況は難しいでしょうし、球場に入ることができれば嬉しいのですが・・・」と、気持ちを吐露した。
また、球場内への入場が許可されている新聞記者のフレッチャー氏でさえ、この難しい状況に頭を悩ませている。「私は開幕初戦のオークランド・アスレチックスとのロードゲームは取材します。オークランドは車で行くことができますからね。しかし、(感染予防の為)他のロードゲームに行く予定はありません。テレビ中継を観て、オンライン会見に参加する予定です。また、先ほど言ったように、インタビュー機会が非常に限られているので苦労すると思います」。
先に書いたが、トロント・ブルージェイズのカナダでの試合開催に許可が下りなかったのも、アメリカから選手やメディアが入国することで同国の感染拡大を懸念したことが一番の理由だった。いくらチーム番記者と言えども遠征の場合は入場が難しいのが現状だ。
それでもシーズン開幕前、ロハス氏は担当するエンゼルスについて次のような明るい展望を語っていた。「今年はどのチームもプレーオフに進む可能性があります。そして、エンゼルスがプレーオフに進むには、スタートダッシュが重要です。エンゼルスは今年からジョー・マドン監督に変わったことで、チーム戦略も大きく変化すると予想されます。またアンソニー・レンドン選手の加入によって攻撃面も強化されました。これまで課題となっていた投手面では、ディラン・バンディ投手とフリオ・テヘラン投手というタイプの違う投手が加わったことで劇的に変化するでしょう。そこに、大谷翔平選手という投打で活躍が期待できる選手の力が加われば、エンゼルスは躍進します」。
シーズン開幕から1週間弱。大谷選手は、7月26日に敵地オークランドで行われたアスレチックス戦で693日ぶりとなる先発投手として出場したが、打者6人に対して、3安打、3四死球、5失点、一つもアウトが取れず初回30球で降板する結果となった。大谷選手の不調の一つに開幕までの実戦経験の少なさが指摘された。しかも今年のように短いシーズンではどの選手も結果を残すことは例年以上に難しいだろうとどのメディアも予想している。
しかし、米メディアの彼らの話を聞いていると、開幕を大いに歓迎しているのは確かだ。やはり野球が好きだという気持ちがなによりも勝っている。著者も同じく、野球が観れることは嬉しい。そして、困難に立ち向かいながらもファンの心を明るくする米球界に感謝している。全ての選手が活躍できることを願う一方、なんとか無事にシーズンを終えることを心から願っている。
※日程は全て現地時間
しかし、MLB全体が開幕に向けて動き出した矢先、MLBの中で唯一カナダに本拠地を置くトロント・ブルージェイズはカナダ政府による方針で地元での試合が出来なくなった。これが最初の難題だった。ブルージェイズは開幕1週間前にも関わらず代替地探しに奔走した。
開幕してからもMLBは問題に直面する。7月27日に予定されていたマイアミ・マーリンズとボルティモア・オリオールズの試合が当日に中止になった。
マーリンズの選手やコーチから新型コロナの陽性反応が確認されたからだ。前日にマーリンズと試合を行った、フィラデルフィア・フィリーズも大事をとって、予定していたニューヨーク・ヤンキースとの試合中止を決めた。
このような状況下でのシーズンで米球界関係者はどのような影響を受けているのだろうか。筆者は現地のリアルな声を届けたく、米メディアに取材を行った。
米スポーツ局「FOXスポーツ・ウエスト」でエンゼルスの実況を務め、ビッグフライ・ギア(Big Fly Gear)というオリジナルブランドを展開している、ビクター・ロハス氏(以下、ロハス氏)と、「オレンジカウンティ・レジスター」でエンゼルスの番記者を務めるジェフ・フレッチャー氏(以下、フレッチャー氏)が心境を語ってくれたが、そこには想像していた以上の困難が待ち構えていた。
3月中旬、アメリカでの急速な感染拡大を受けて、MLBは開幕延期と当時行われていたキャンプの打ち切りを決めた。それまでチームに帯同して取材を続けていた彼らは当時の様子をこう語る。
取材ができない日々の中、ロハス氏は、「私は、友人でカンザスシティ・ロイヤルズの実況を務める、ジョエル・ゴールドバーグ氏とともに野球トークを行う『ビッグ・フライ・ベースボール・ショー(Big Fly Baseball Show)』という番組を、YouTubeとiTunesのポッドキャストで始めました」と、同じメディアの仲間やエンゼルスのアルバート・プホルス選手を招いて番組でファンに野球の話題を提供できる方法を模索していた。
新聞記者のフレッチャー氏も様々な方法で状況を打開しようとしていた。「私は、何か小さなことでも良いので、出来る限りMLBの情報を得ようと取材を続けていました。また、たくさん電話取材をしましたよ」。
6月23日、MLBは2020シーズンの開幕を発表したが、感染予防策の一環として新しい取材形式を定めた。「MLBは球界関係者を3つのティア(区分)に分けています。ティア1は最も重要で、監督、コーチ、選手、スタッフなどが含まれます。私たちメディアはティア3に分類されています。
ティア3では、監督やコーチ、選手等の個人はもちろんのこと、クラブハウスやフィールドにも近づくことはできません。メディアはエンゼルスタジアムへ入場する前に検温をした上で、プレス席でのみ取材活動が許されています」と、ロハス氏。
フレッチャー氏は、新しい取材形式の中で感じた難しさについてこう答える。「新しい取材形式の中で難しいのは、選手へのインタビューです。通常であれば、監督と4、5名の選手にインタビューをするのが日課でした。しかし、今はオンライン会見で監督他、選手1名としか話ができません。私たち記者の仕事は選手から独自のコメントを取ることなのですが、オンライン会見では他の記者が揃って同じ選手に取材をします。個別のインタビューができず、他の記者と違うストーリーの記事を書くことは難しいです」。
今年、MLB各球団は球場への入場者数を限定している。
入場前に検温を行うことを知らせる看板が掲げられている。
裏には感染予防対策が掲載されてている。
テレビ中継についてロハス氏は、「ホームゲームでは、これまで通り球場内の実況席から実況ができますが、ロードゲームでは球場外に実況席を設けて、私とマーク・グビザ氏(FOXスポーツ実況)はモニター越しに実況することになります。リモート実況は難しいでしょうし、球場に入ることができれば嬉しいのですが・・・」と、気持ちを吐露した。
また、球場内への入場が許可されている新聞記者のフレッチャー氏でさえ、この難しい状況に頭を悩ませている。「私は開幕初戦のオークランド・アスレチックスとのロードゲームは取材します。オークランドは車で行くことができますからね。しかし、(感染予防の為)他のロードゲームに行く予定はありません。テレビ中継を観て、オンライン会見に参加する予定です。また、先ほど言ったように、インタビュー機会が非常に限られているので苦労すると思います」。
先に書いたが、トロント・ブルージェイズのカナダでの試合開催に許可が下りなかったのも、アメリカから選手やメディアが入国することで同国の感染拡大を懸念したことが一番の理由だった。いくらチーム番記者と言えども遠征の場合は入場が難しいのが現状だ。
それでもシーズン開幕前、ロハス氏は担当するエンゼルスについて次のような明るい展望を語っていた。「今年はどのチームもプレーオフに進む可能性があります。そして、エンゼルスがプレーオフに進むには、スタートダッシュが重要です。エンゼルスは今年からジョー・マドン監督に変わったことで、チーム戦略も大きく変化すると予想されます。またアンソニー・レンドン選手の加入によって攻撃面も強化されました。これまで課題となっていた投手面では、ディラン・バンディ投手とフリオ・テヘラン投手というタイプの違う投手が加わったことで劇的に変化するでしょう。そこに、大谷翔平選手という投打で活躍が期待できる選手の力が加われば、エンゼルスは躍進します」。
シーズン開幕から1週間弱。大谷選手は、7月26日に敵地オークランドで行われたアスレチックス戦で693日ぶりとなる先発投手として出場したが、打者6人に対して、3安打、3四死球、5失点、一つもアウトが取れず初回30球で降板する結果となった。大谷選手の不調の一つに開幕までの実戦経験の少なさが指摘された。しかも今年のように短いシーズンではどの選手も結果を残すことは例年以上に難しいだろうとどのメディアも予想している。
しかし、米メディアの彼らの話を聞いていると、開幕を大いに歓迎しているのは確かだ。やはり野球が好きだという気持ちがなによりも勝っている。著者も同じく、野球が観れることは嬉しい。そして、困難に立ち向かいながらもファンの心を明るくする米球界に感謝している。全ての選手が活躍できることを願う一方、なんとか無事にシーズンを終えることを心から願っている。
※日程は全て現地時間