
「コネクト25」が描く未来の一蹴──“飛び方が変わる”ボールで、Jリーグはどう変わるのか?
サッカーの未来は、足元から変わる。2025年、Jリーグの公式試合球として登場したのは、アディダスが誇る最新テクノロジーの結晶『コネクト25』。W杯仕様の革新構造、緻密に設計された表皮、戦術を変える飛行安定性──ただの「丸い球体」ではない。これは、点の入り方すら変えてしまう“プレーヤーの一部”だ。リーグ得点数の伸び悩みが話題となる中、ボールという視点からJリーグの“今”を紐解けば、見えてくるのは「数字に現れない革命の予兆」。今回は、最新試合球『コネクト25』の構造から技術、そして今季Jリーグの“ゴール事情”まで――テクノロジーが変える「ゴールの未来」に迫る。※イラストイメージ/これ松えむ

FIFA基準の革新──テクノロジーで「空気」を支配する

『コネクト25』は単なる“公式球”ではない。そこには、アディダスがFIFAワールドカップで培ってきた最新技術が惜しげもなく注ぎ込まれている。
◉ スピードシェルパネル
2022年W杯の「アル・リフラ」の革新的構造が引き続き採用された。大小異なる20枚のパネル形状を組み合わせることで、空気抵抗を抑えつつ、キックの精度と飛行安定性を同時に実現できるわけだ。
◉ エンボス×ディボスの“二重構造”
表面には、突起(エンボス)とくぼみ(ディボス)の両方を配置。これにより、キック時の指向性が高まり、回転やカーブのかかり具合が格段に向上。ミドルやFKで“魔法のような”弾道を生むのは、このテクノロジーあってこそといえるだろう。
◉ サーマルボンディング製法
縫い目のない構造によって、どこを蹴っても同じ反発力を持つ。プロのようなミリ単位の正確さを求める蹴り手にとって、この“感覚の均一化”は大きな武器となる。
特別デザインはルヴァンカップ仕様

さらに、YBCルヴァンカップでは特別デザインの『コネクト25』が登場予定。カラーやディテールは未発表だが、“一発勝負”の緊張感や若手の躍動を演出するような、熱量のあるアートワークが期待されている。
データが語る、“点が入らない”2025年シーズン?
ここで注目したいのが、今シーズンのJ1リーグにおける「1試合平均得点数」だ。(※データ更新日:2025年3月17日)
・1位:鹿島アントラーズ 2.0点
・2位:セレッソ大阪 1.7点
・3位:川崎フロンターレ 1.4点
・18位:浦和レッズ・FC東京 0.7点
・最下位:横浜FC 0.5点
この数字、例年に比べてもやや“ロースコア傾向”が強いのが分かる。シュート数が減っているわけではない。「枠を捉える」「GKのタイミングを外す」といった“繊細なコントロール”が必要とされる場面で、わずかなズレが得点に結びつかなくなっているのだ。ここで『コネクト25』の存在が意味を持つ。
テクノロジーが“ゴールの質”を変える?
飛行安定性と正確性、そして意図的なカーブや変化球まで生み出す『コネクト25』。この球の真価は、単なる「点が入りやすくなる」ではなく、“点の入り方が変わる”という点にある。

例えば、サイドから巻いてくるクロス。従来のボールよりも空中での揺れやズレが少ないため、ストライカーは正確なタイミングでボールに合わせやすい。また、エンボス×ディボスによるカーブ性の向上は、セットプレーでの得点チャンス増加にも直結する可能性がある。つまり、“得点数”という表面的な数字では測れない、「ゴールの質の変化」が今後起こるかもしれないのだ。
終わりに──「革命」はいつも、足元から始まる

サッカーボールは単なる道具ではない。それは選手の個性を引き出し、戦術の幅を広げ、そして観客に「想像を超える瞬間」を届ける存在だ。『コネクト25』はその象徴であり、2025年のJリーグを彩る最も静かな主役かもしれない。この一球から始まる新たな物語に、ファンとして、サポーターとして、我々も立ち会える。それは数字では語れない興奮であり、ボール一つで変わる風景でもあるのだ。
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