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挑戦し続ける小さな巨人・大嶋あやのが描く夢の舞台にむかってvol.3

「成せば成る、成さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」――この言葉を胸に、幼い頃から憧れた夢の舞台に向かい続ける大嶋あやの。何度も立ちはだかる壁に挑み、倒れても立ち上がるその姿は、「人間が想像できることは大概できる」という信念を体現している。「SASUKE」や「ninja warrior」といった挑戦的な競技で活躍し、日本代表を目指す彼女は、身長155cmという小柄な体から繰り出される卓越したスピードと技術でスピードクライミングにも取り組み、世界大会を目指している。彼女の挑戦と成長のストーリーに注目してほしい。

IconIppei Ippei | 2024/08/30

直感が導いた成功 SASUKE第40回大会の挑戦

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画像提供/TBS

40回記念大会では、プレッシャーはそれほど感じませんでした。SASUKEに挑戦する日の朝、収録現場に到着した時点でクリアできるかどうかが決まるような気がしていて、今回は「今日はクリアできる気がする」と直感的に感じていました。まるで緑山の神様が「今日はクリアしていいよ」と言ってくれているような感覚で、軽い気持ちで挑みました。

その結果、今までリタイアしていたことが不思議なくらいスムーズに1stステージをクリアすることができました。今まで登ることができなかったそり立つ壁も登ることができ、気持ちよく終わることができた大会でした。2ndステージでは、自分の体格に対する限界を感じる部分もありましたが、それでも不可能ではないという可能性を感じました。この大会を通じて、次の挑戦への意欲が湧き、リベンジしたいという思いが強くなりました。

挑戦の根底にある言葉 座右の銘に支えられて

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Photography: Rika Matsukawa (Hige Kikaku)

私の座右の銘は2つあります。1つ目は「成せば成る、成さねば成らぬ何事も成らぬは人の為さぬなりけり」という言葉です。これは非常にありきたりかもしれませんが、本当にそうだと感じています。やればできるし、できないのはやらないだけ、もしくは努力の方向が間違っているだけという考えが根底にあります。

2つ目は、「人間が想像できることは大概できる」という言葉です。SASUKEに初めて出たときに、SASUKE総合演出の方からこの言葉を聞きました。本番一発勝負のSASUKEは初めて触るエリアが出てきた時に、本当にこれが自分にできるのかと緊張してしまいますが、この言葉をいただいてからは、自分の想像できることは実現可能だと自信をもって挑めるようになりました。

SASUKEに関係なくどんな動きに対しても、「最初はできなくて落ち込むかもしれないけどどうせいつかできるのだから、一喜一憂せずにやるべきことをこなそう」と思いながら挑戦するようにしています。そうすることで、うまくいかなくてもあまり落ち込むことがなく、「いつかはできる」と信じて続けられるようになりました。このような考え方が、私の人生の道筋をはっきりさせ、挑戦を続ける原動力となっています。

資格取得と活動の背景 パーソナルトレーナーとしての飛躍

私がパーソナルトレーナーとして子どもたちを指導するようになったのは、信用金庫を退職して次のパーソナルジムに就職したときのことでした。そのジムでは、私だけが子どもの指導に関する資格を持っていたので、大人がジムを使っていない時間帯で子どものレッスンを担当することになりました。

私は元々幼児体育を大学で学び、幼稚園の教員免許、保育士の資格、そしてキッズアスレチックスインストラクターの資格を持っていたため、子どもの運動指導はいつかやりたいと考えていた職業でした。しかし、その数ヶ月後、クライミングで所属できる会社が見つかり、転職することになりました。それでも、その子どもたちの指導は個人的に続け、今も継続しています。

体育を好きに、子どもたちへの思い

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Photography: Rika Matsukawa (Hige Kikaku)

私は子どもの頃から体育が一番好きな科目だったので、やりたくないという気持ちが全くありませんでした。「体育が嫌い」という子どもを見ると、非常にもったいないと感じます。子どもたちは遊ぶことが大好きなはずなのに、体育が嫌いになるのはなぜだろうと私は考えました。正しい体の使い方を学ぶ機会や、体を思い切り使って遊ぶ機会が今の子達には少ないように感じ、もっとそういった機会を増やしたら変わってくるのではないかと考え、遊びを通じて体の動かし方や楽しさを私自身も体を使って伝えるようにレッスンでは心がけています。これにより、日本中の子どもがスポーツを通じて楽しい人生を送れるようになることを願っています。

挑戦の継続、スピードクライミングワールドカップ出場への熱意

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画像提供 / 本人(大嶋あやの)

ワールドカップ出場を目指して、日々練習やトレーニングに励んでいるのですが、スピードクライミングにおいてワールドカップに出場するための資格は毎年1月に発表される基準タイムをクリアし日本代表に選出されるのことです。ここ数年はあと0.何秒というところで届かないことが続いています。今は次のシーズンに向けての準備期間として、やるべきことを粛々と準備しています。私の軸にはSASUKEもあるので、クライミングとSASUKEの両方に全力で取り組んでいます。特に今回は、SASUKEのワールドカップが初めて日本で開催されることもありましたし、どちらも全力で挑戦したいと思っています。

楽しさが生む挑戦心、 挑戦者としての姿勢

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Photography: Rika Matsukawa (Hige Kikaku)

私が常に挑戦者であり続けている理由は「どうしたら楽しくなるかと考えていくと大体何か新しいことに挑戦することになるから」です。スピードクライミングに関しては練習していない時でも、頭の中でイメージトレーニングをしていますし、どうすればもっと速くなるか、どうすればより良いパフォーマンスができるかを考え続けています。

SASUKEに関しては、パフォーマンスだけでなく、視聴者への伝え方やリアクションの仕方も工夫しています。家で一人で鏡に向かいながら話すこともあります。せっかく多くの人が私のことを期待し、応援してくれている中で、その期待に応えるためにどうすれば良いかを常に考えています。私にとって、挑戦した結果失敗してしまうことは恐れることではありませんが、準備不足からくる失敗は非常に切ないです。信頼されていることに応えるため、自分のあり方を常に見つめ直し、どんな挑戦をしてどう伝えたら良いかを考え続けています。

資金難との闘い、遠征のリアル

私はこれまで信用金庫の正社員、パーソナルジムの正社員、そしてクライミング選手としての活動を並行して行ってきました。しかし、クライミングで企業に所属していた時、会社の会長が変わるタイミングで契約終了となりました。その後は失業手当を受け取りながら活動し、クラウドファンディングも試みましたが、皆さんからいただいた支援金は遠征費や活動費ですぐになくなってしまいました。この先日本代表に入ることができたとして、ワールドカップに行くことになっても、費用は自腹です。

挑戦の大きな障害は金銭面だと感じています。これをどうにかしなければならないと常に考えていますが、一度に大きな資金を生み出すことは難しく、練習時間を削るか、睡眠時間を削るかの選択を迫られることが多々あります。働けば資金は確保できますが、結果に結びつかないことが多いですし、理想とされる睡眠時間を確保すると働く時間が短くなってしまいます。この悪循環は、多くの競技者が直面する問題だと思います。今もなお、バランスの取れた生き方を模索中です。

挑戦し続ける私のビジョン 未来への展望

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Photography: Rika Matsukawa (Hige Kikaku)

10年後、20年後の自分については、具体的にこうなりたいという明確なビジョンはありませんが、常に自分の好奇心を大切にし、挑戦し続けたいと思っています。将来の自分が「挑戦しきれていない」と感じることなく、今の好奇心を大切にして行動していきたいです。その結果として、子どもから憧れられるような存在や人生を送れたらいいなと思います。

現在、興味があるのは体の使い方についての指導です。これは子どもだけでなく大人にも当てはまります。例えば、ピラティスのように解剖学を学び、個々の体の動かし方をプロデュースできれば、その人の人生をより良くする手助けができるかもしれません。また、人と話す際に、いろんな人の話を引き出せるようになりたいとも思っているので、コーチングの勉強もしてみたいです。

共通するのは、人に関わり、その人の人生をより良いものにしたいという思いです。運動や食事など、方法は様々ですが、この軸に基づいて仕事をしていけたらと考えています。最終的には、自分にしかできない仕事を見つけたいと思っています。

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挑戦し続ける小さな巨人・大嶋あやのが描く夢の舞台にむかって vol.1

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挑戦し続ける小さな巨人・大嶋あやのが描く夢の舞台にむかってvol.2

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大嶋あやの(おおしま あやの)
1994年7月14日生まれ、東京都出身。日本女子体育大学卒業。幼少期から新体操、バレーボール、ソフトボール、ボルダリング、スピードクライミングと幅広いスポーツに取り組み、現在はスピードクライミング選手として活動中。2015年からはTBSテレビの『SASUKE』に出演している。特技は数独とバレーボール、趣味はギターやピアノの演奏、読書。


Hair&make:Marijo Nishizawa(PUENTE Inc.)
Photo:Rika Matsukawa