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DDT一のハイフライヤーが「寝技でも勝てる」選手に。“進化”を遂げた遠藤哲哉が『D王GP』制覇誓う【12・28 後楽園】

「路上プロレス」「キャンプ場プロレス」「本屋プロレス」など既存のプロレスの概念を吹き飛ばす発想でファン魅了する団体「DDTプロレスリング」。現在、DDTでは「D王 GRAND PRIX」が行われている。これはA・Bブロック7名ずつ分かれた選手が、ブロック毎に総当たりでリーグ戦を行い、各ブロック1位の選手同士が12月28日開催の後楽園大会『D王 GRAND PRIX 2020 the FINAL!!』(以下、D王GP)で優勝決定戦を争う、というものだ。今回スポットを当てるのは、Aブロック代表として決勝進出を果たした遠藤哲哉。華麗な飛び技で観客の目を惹きつけるDDTきってのハイフライヤーだ。2019年最後を締めくくる闘いを前に、自身のプロレス人生を振り返ってもらいながら、年末の決戦に向けた意気込みを聞いた。

Icon 70090528 511982836063813 5722354386395463680 nSatoshi Dairaku | 2019/12/26
――プロレスに興味を持ったきっかけを教えてください。
 
Endo:小学2年生の頃、友達の家で「NINTENDO 64」のゲームソフト「新日本プロレス闘魂炎導(ロード)」を遊んだのが、プロレスを知ったきっかけです。
 
――プロレスの試合を観てとかではなくて、ゲームですか(笑)。
 
Endo:そうです(笑)。ゲームの中で最初に使ったレスラーは獣神サンダー・ライガーさん。プロレスを知らなかったので、見た目で「強そう!」と思ってライガーさんを選択して友達と遊んでいました。
 
――ゲームからプロレスに興味を持ったとは意外でした。意外と言えば学生時代は「新体操」をしていたとか。

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Endo:はい。僕の出身地・宮城県白石市は、新体操強豪国ベラルーシのオリンピック前の合宿地になるなど新体操の盛んな町なんです。それもあって中学進学後、新体操のクラブチームに所属していた友達についていって体験入部させてもらいました。
 
その時に「バク転ができる」ことが楽しくて(笑)。というのも昔、TBS系列局で放送されていた「筋肉番付」という番組に出演している池谷幸雄さんに憧れていて。バク転している姿がすごくかっこよかったんです。
 
なので新体操というより、バク転がやりたくて通い始めました(笑)。その時の経験は、プロレスにも役立っているなと、今振り返っても思いますね。
 
――バク転には憧れますもんね~(笑)。ところでプロレスは勝つことも大切ですが、同時に観客を楽しませることも重要になってくると思います。この両立は難しいと思うのですが、遠藤選手はどのように考えてリングに上がっていますか?
 
Endo:最初の頃はリング上で対戦相手と向き合うだけでいっぱいいっぱいで、気持ちに余裕がありませんでした。でも最近は余裕も出てきて「自分が楽しめれば、お客さんも楽しんでくれる」ということが分かってきたんです。お客さんを意識するよりは、自分が楽しんで良い試合をすれば、それがお客さんに伝わるなって。試合を通じて感じることができましたから。
 
――年間100試合以上、毎試合、全力で戦うプロレスラーは体力作りが大変そうに思いますが、心がけていることはありますか?

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Endo:体力作りも大事ですが、試合中に自分のペースを掴むことも大切です。相手のペースに引き込まれると、必要以上に体力を失うことになるので。
 
ただもちろんトレーニングも重要で、僕の場合、基本的にウェイトを毎日2時間行います。その中で有酸素運動を週2回行っているのですが、長時間のランニングだと体が慣れてしまうので、心拍数を上げるためにサーキットトレーニングを取り入れています。
 
ただ、試合終盤の攻防は心拍数とか気にしている暇はないので、限界突破して気合いで戦います!(笑)。
 
――「最後は気持ち」みたいな部分はありますもんね(笑)。ちなみに、「試合前に◯◯は必ず行う」というルーティンはありますか?
 
Endo:必ずレッドブルを飲むこと、ですかね。理由としては、以前、しばらく飲み続けていて、たまたま飲まないで試合に出たことがあったんです。その時、技を失敗してしまって…(苦笑)。それからは試合前にレッドブルを飲まないと不安になりますね(笑)、
 
――「試合前にレッドブルを飲む」選手はわりと多いですが、でも確かに気合い入りそうですね(笑)。では、まもなく2019年も終わるので今年を振り返って頂きたいと思います。まず今年4月、DDTプロレスリング初となるニューヨーク大会のKO-D無差別級タイトルマッチ。チャンピオンの竹下幸之介選手に、遠藤選手と同じユニット「DAMNATION(ダムネーション)」のリーダー・カリスマ佐々木大輔選手が挑戦し王座を奪取しましたが、その試合後「いつでもどこでも挑戦権」を行使して、体力を使い果たした佐々木選手からベルトを奪取しましたね。

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Endo:あの試合、正直カリスマが勝つとは思っていなかったんです(笑)。最初は竹下が防衛した後に「いつでもどこでも挑戦権」を行使しようと考えていました。試合終盤、カリスマが攻められていて「これは竹下が勝ったな」と思い、バックステージに挑戦権を取りに行っている時に、試合勝者であるカリスマのテーマ曲が流れてきて。その時は一瞬戸惑いましたね(笑)。でも「ここで『いつでもどこでも挑戦権』を使わないと俺は一生変われない」と、そう自分に言い聞かせてリングに上がりました。
 
――それでニューヨークでKO-D無差別級王座を初戴冠されたわけですが、ただ7月の大田区総合体育館で竹下選手に敗れて、残念ながら王座から陥落しました。
 
Endo:正直、自分で言うのはなんですけど、あの時、大田区総合体育館にいた観客のほとんどが僕を応援してくれていたと思います。
 
――確かに、あの日はホームゲームのように遠藤選手に多くの歓声が送られているのを感じました。
 
Endo:今思い返しても、自分のペースで試合が進んでいたと思います。ただ、たくさんの声援を受けたのにベルトを獲られたのは、かなりトラウマになりました…。
 
――その苦い思い出をバネに、現在行われている「D王 GRAND PRIX」では、遠藤選手はAリーグトップで決勝進出。リーグ戦では、竹下幸之介選手・石井慧介選手・橋本千紘選手(仙女)に勝利して、クリス・ブルックス選手とは引き分け、上野勇希選手、飯野雄貴選手には敗れました。そして得点7で並んだクリス選手とAリーグ決勝進出者決定戦を行い、見事に勝利されましたね。このリーグ戦の中で印象的な試合を教えて下さい。

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Endo:クリスとの試合は、両試合とも印象に残っています。今回のトーナメント初戦、クリスと初めて闘ったので、お互い攻め所を見つけられないまま、30分時間切れで引き分けになりました。この初戦のドロー時、「初対戦の相手でも様子を伺っていてはダメだ」と思い、改めて気を引き締め、残りの試合に臨んだんです。
 
上野と飯野には敗れましたが、クリス戦のあと、押すタイミングと引くタイミングを考えるようになり、自分のペースで試合を進めることが出来るようになりましたね。
 
――今回のリーグ戦では、これまでのフィニッシュホールドで、コーナーから宙を舞う「シューティングスタープレス」ではなく、全て寝技の体勢で首を締め上げる「変形ゆりかもめ」で勝利していますよね。これは意図していたものですか?
 
Endo:たまたまハマっただけですね(笑)。対戦相手は僕の「シューティングスタープレス」をかなり警戒していると思いますから。実際に最後のクリス戦での「シューティングスタープレス」が唯一のフォール体勢でしたので、「変形ゆりかもめ」に変更しなければ勝つことは難しかったと思います。
 
ただ、今回のリーグ戦で「変形ゆりかもめ」が実戦で効果があるのを実感できたことは大きかった。この技は、かなり破壊力があるので今後も大事に使っていこうと思います。
 
――女性として唯一「D王GP」に参加したセンダイガールズプロレスリング(=仙女)の橋本千紘選手は、闘ってみていかがでしたか?

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Endo:橋本選手は素晴らしいレスラーでした。僕の父が橋本選手の大ファンで、実家に帰るたびに「橋本選手の足の太さは道場で作ったんだ、ジムには行ってないんだ!」と4年くらい言われています(笑)。
 
父はもともとプロレスに興味はなかったのですが、僕の試合を観に来てプロレスに興味を持ち始め、地元宮城で活動している仙女を観に行き「ファンになった」と言っていましたね。だから僕が橋本選手に勝ったのをTwitterで知って、「橋本選手に勝って欲しかった」とすごくガッカリしていました(笑)。

――遠藤選手に勝利して橋本選手が決勝進出していたら、お父さん喜びましたね(笑)。そしていよいよ、遠藤選手は12月28日の『D王GP』決勝戦で、Bリーグ首位の田中将斗選手(ZERO1)と闘います。田中選手の印象を教えてください。
 
Endo:絶対的なフィニッシュホールドがあり、どの試合を観ても自分の勝ちパターンに持っていくことができる、安定感のある選手です。誰に対しても対応できるフィニッシュホールドを持っているので、レスラーとして手強いですね。
 
――絶対的なフィニッシュホールドというのは、尻もち状態の相手に対してロープの反動を利用し、相手の首元に自分の肘を叩き込む「スライディングD」のことでしょうか。
 
Endo:そうです。今回のリーグ戦で田中選手が勝っている試合は全て「スライディングD」が決め技になっています。逆に言えば「スライディングD」に気をつければいいので対策はしやすいのかと思います。

――とはいえ、田中選手は様々な団体を渡り歩き、数々のベルトも獲得してきた大ベテランレスラー。戦うことにプレッシャーはありませんか?

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Endo:プレッシャーですか…(笑)。ここ数年、プレッシャーや緊張を感じなくなりましたね。以前は試合前、かなり緊張していましたけど。
 
――自信がついたということでしょうか?
 
Endo:そうかもしれませんね。あとはレッドブルのおかげかな(笑)。ルーティンは欠かせませんね(笑)。
 
――D王GPで優勝すると、次はKO-D無差別級のベルト挑戦が視野に入ると思います。現在のKO-D無差別級チャンピオンはHARASHIMA選手。王者に対しては、どういうイメージをお持ちでしょうか。
 
Endo:正直、一時期HARASHIMAさんは劣化してきていると感じていました。年齢不詳だけど、王者も「年齢には勝てないんだな〜(笑)」と思っていたのですが、最近盛り返していますよね。
 
11月3日両国国技館で、チャンピオンの竹下から王座を奪還した辺りから勢いが付いてきたように感じます。あの時、周囲の声は「竹下が防衛するだろう」という声が多かったけど、僕はHARASHIMAさんが王座に返り咲くだろうと予想していました。
 
――それはどうしてですか?
 
Endo:HARASHIMAさんはDDTで一番負けず嫌いな人なんです。両国大会の前哨戦で竹下にボロクソにやられっぱなしでしたけど、両国の試合で竹下に何をされても返し続けるだろうな、と僕は思っていました。竹下に「逆エビ固め」を極められても「ジャーマン」で投げられても、HARASHIMAさんは必ず返し続けるだろうと。
 
――D王GPで頂点に立てば、その「何をしても立ち上がってくる」HARASHIMA選手と戦うことになりますが、対策はありますか?

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Endo:んっ…どうしましょう。HARASHIMAさんからギブアップも3カウントも取ることも難しいですが、闘うとなれば、しっかりと準備をして全神経を注いで試合に臨みます。万全の体制でリングに上がらないと、今のHARASHIMAさんには勝てないですから。
 
――そのくらい今のHARASHIMA選手は怖い存在ということですね。そして来年、遠藤選手とって20代最後の一年になりますが、どんな一年にしたいですか?
 
Endo:お金を稼ぎたいです。色々な団体に出場して10億稼ぎたい!(笑)。それに加えて、海外にも積極的に試合をしに行きたいですね。
 
――最後に12月28日後楽園ホールに向けて意気込みをお願いします。
 
Endo:プロレスは映像で観ることもできますが、実際に会場で観戦し、全身で体感して頂くことが一番の楽しみ方だと思います。これまでプロレスに興味がないとか見たことがない人が、このインタビューを見てプロレスに少しでも興味を持って頂けたのなら、12月28日のDDT後楽園ホールに足を運んで貰いたいですね。そしてメインイベントで、最後にリングに立っている僕の姿を見て欲しいです!


Interview and text: Satoshi Dairaku
Editing and photography: Shusho Sato

 
<Information>
遠藤哲哉選手がメインイベントに出場する「D王 GRAND PRIX 2020 the FINAL!!」は12月28日 、東京・水道橋にある「後楽園ホール」で行われます。
 
詳しくは、下記のDDTプロレスリング公式サイトをご覧ください。