アスリートが社会の為に出来ること ~HEROs AWARD 2019~
12月9日にグランドハイアット東京で「HEROs AWARD 2019」が開催された。今記事では表彰式の模様をお届けする。
Koike Kikuchi
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2019/12/16
「HEROs AWARD」とは?
スポーツのチカラを活用して社会貢献活動を促進すること、様々な社会問題を解決する動きを加速させ、ソーシャルイノベーションの輪を広げていくことを目的に日本財団が創設した「HEROs Sportsmanship for the future」プロジェクトの柱のひとつである。
社会のため、地域のため、子供達の未来のため、競技場の外でもスポーツマンシップを発揮している多くのアスリートや団体に注目し、称え、支えていくためのアワードで、本年度は5つの活動がノミネートされた。
表彰式では、「YOUR ACTION KUMAMOTO」が評価され、受賞した巻誠一郎さんは、「アスリートが持つ力は社会に還元できる。なのでこの賞が僕だけではなく多くのアスリートのきっかけになるような賞にしたいなと思います」と喜びを表現しつつ、スポーツへの可能性について語った。
5組の活動が表彰された後、「HEROs AWARD」審査員が選んだ「HEROs of the year」の発表が行われた。
栄えある「HEROs of the year」に選ばれたのは、日本障がい者サッカー連盟の「サッカーを通じた共生社会づくり」。
会長の北澤豪さんは「驚きと感謝しかないです。スポーツをやってきてよかったと登壇者の話を聞いて思っていました。
まだ障害を抱えて外に出ることができない家族もいる中で、この賞はそういった方たちにとって励みとなり、大きなきっかけになるのではと感じます」と喜びを語り、表彰式を締めくくった。
【受賞者コメント・受賞プロジェクト名】
・巻誠一郎さん『YOUR ACTION KUMAMOTO』
僕はサッカーを通して子供たちと向き合う中で、ボール一つでコミュニケーションが取れる、みんなが繋がれる、これがサッカーであり、スポーツの力だと思いました。
ほぼ毎日災害の地域を回っていた中で確信してきたことは、アスリートが持つ力は社会に還元できる、ということです。なのでこの賞が僕だけではなくアスリートのきっかけになるような賞にしたいなと思います。
・井本直歩子さん『紛争・災害下の子どもの教育支援』
私がいる紛争地域はもちろん、国内外には様々な困難がありその一つ一つが高いハードルを持っています。そのたびに、私は現役の時に感じていたアスリートの精神を考えさせられ、それをもって様々な困難に立ち向かっています。
このHEROs AWARDをきっかけに、素晴らしい精神やスキルを持ったアスリートたちと、私も日々精進していけることをとても幸せに思います。
・日本障がい者サッカー連盟(北澤豪さん)『サッカーを通じた共生社会づくり』
たくさんの障がい者の方が街に出て活動している姿を目にすることがここ最近多くなってきており、ユニセフの活動やパラアスリートの活躍が勇気や刺激となって、少しずつこの社会が変わってきているのではないかと感じています。
我々は、7つの団体がバラバラでしたが、サッカーという共通したゴールに向かって、一緒になって取り組んでいます。
健常者を含めてまぜこぜのサッカーを展開していくことによって共生社会の実現につながるのではないかと思い、サッカー、スポーツを通じてその実現に向かって頑張っていきたいです。
・Sport For Smile(梶川三枝さん)『スポーツメンタリング』
DV被害者の支援という難しい分野にとりくんでいるところが評価されたと伺っており、大変ありがたく思っております。
支援を開始する当初は不安がありましたが、傷ついた子供たちにスポーツを楽しむ機会を作りたいと思い、中止を覚悟で取り組みました。
はじめは名前を呼ばれても机の中に隠れてしまう子供たちもいましたが、プログラムを通じて自ら意見を言ったり友達を思いやることができるようになっていました。
そんな彼らの成長と笑顔がスタッフにとって金メダルです。今回の受賞を機に、より多くの子供たちに手を差し伸べていけるよう、アスリートの皆様にも協力いただきながら、スタッフ一同この活動に邁進していきたいと思っております。
・柔道教育ソリダリティー(山下泰裕さん)『柔道で育む国際友好プロジェクト』
今年の3月で私たちの活動は閉じましたが、全日本柔道連盟、日本オリンピック協会という、違う形で受け継いでいきたいと考えています。今までは、自分たちが社会のために何ができるのかを考えることができる人が少なかった。
しかし、HEROsは素晴らしい。ここにはスポーツを通じて、弱者に目を向けて活動している人がたくさんいる。私も日本オリンピック委員会の活動をしながら、みなさんに負けない熱意で、スポーツがより社会に貢献できるよう頑張っていきたいです。
私の教え子で、日本代表監督の井上康生さんが、昨年「もしできれば先生の後を継いでNPOを立ち上げようと思います」といってくれて、涙がでるくらいうれしかった。
みんなで力を合わせて、スポーツがより良い社会づくりに貢献できる、その姿を示していきましょう。
【以下は囲み取材の模様】
<「HEROs of the year」受賞:サッカーを通じた共生社会づくり (日本障がい者サッカー連盟 北澤豪さん)>
ーーHEROs of the year 賞に選ばれての感想
周りの人が全くそういった雰囲気を出していなかったので、少しびっくりしました。登壇していたアスリートの話を聞いて、団体を強化するためにはまだまだ自分には知識や知見が足りないと思い、この後、会場にいる人たちにリサーチをしようと考えていたくらいだったので、この賞は本当にありがたいです。
選手も来ていたので、選手にとってもモチベーションになったのではないかと思います。
ーー改めてHEROs はアスリートにとってどんな活動ですか。
スポーツ選手という存在は憧れる存在ですが、ただ競技のレベルが高いというだけが理由ではなく、社会にフィードバックできる何かがある、ここが大切ではないかと思います。
だからこそこういった好循環を生み出すことが次世代を作ることにもなると思うので、我々の取り組む障がい者スポーツの分野においてもしっかり向き合うことに変わりはないです。
ーー改めて北澤さんの活動、どのような社会を目指していきますか。
ごちゃまぜの社会を目指していきたいですね。すべての障害を持った方たち、健常者も平等に一緒になってサッカーをしています。
それが我々にとってこれから必要であろう社会のあり方かなと思うので、スポーツを通じて共生社会の実現につなげていきたいです。
また2020 年は大きなきっかけになるので、スポーツを通じて幸せな社会づくりができればとも考えています。
<中田英寿さん>
ーー今年で3年目になるHEROs AWARD2019ですが、アンバサダーとしてこの活動の広がりを実感されていますか?
やはり本日これだけ多くのアスリートが来てくださったのを見ると、やっと3年目になって、この活動が広がってきたのかなと実感しました。
ーー受賞者の皆さまのスピーチを聞いて、どう感じましたか?
やはり社会貢献活動というのは、なかなか自分から言いにくいものでもありますし、他の方の活動を知る機会も少ないのが現状です。
しかし、素晴らしい活動だからこそ、それをどうやって知ってもらうかというのは個人的にも常に課題に感じており、こういった賞を作ることで、多くの人とシェアできると思っております。
また、今は何もやってないが、興味はあっていつかやってみたいという人を「やってみようかな」「一緒に行動したいな」と思わせることが、賞を作った意味でもあるし、それがスポーツ選手という共通の言語を持っている人たちの中で広がっていくと、これから先、より社会が良くなっていくと感じます。
ーー活動を進めていく中で、思いがけなかったことや発見などはありますでしょうか?
今はまだ国内にとどまっていますが、社会貢献活動は同じ形でどこの国でもできることだと思います。なので、来年の2020オリンピック・パラリンピックに向けて、この「HEROs」というフォーマットが世界中に広がってほしいと思います。
また、この活動が広がっていくためにも、より多く海外の方たちにも参加して もらい、海外の受賞者も作っていけたらと思っております。
ーーまだ社会貢献活動に参加していない若者にメッセージがあればお願いいたします。
自分も若いときは社会貢献活動していませんでした。やり方もわからないし、そういう現場に行く機会もなかったのですが、こういった HEROs の活動を通じて、情報にリーチしやすくなると思います。
そしてそれは結果的には、プロであろうと、アマチュアであろうと、引退していようと、スポーツ選手としての寿命がより長くなることだと思うので、そのあたりはこの活動の次のステップにしていきたいと思います。
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写真提供:Heros AWARD 2019 PR事務局
【昨年のHEROs AWARDの記事】
「HEROs AWARD 2018 潜入取材!」
Vol.1 レポート編
Vol.2 赤星憲広さんインタビュー
~盗塁王がこだわっていた野球のギアとは~
Vol.3 村田諒太選手インタビュー
~ギアはあえてこだわらないようにしている~
スポーツのチカラを活用して社会貢献活動を促進すること、様々な社会問題を解決する動きを加速させ、ソーシャルイノベーションの輪を広げていくことを目的に日本財団が創設した「HEROs Sportsmanship for the future」プロジェクトの柱のひとつである。
社会のため、地域のため、子供達の未来のため、競技場の外でもスポーツマンシップを発揮している多くのアスリートや団体に注目し、称え、支えていくためのアワードで、本年度は5つの活動がノミネートされた。
表彰式では、「YOUR ACTION KUMAMOTO」が評価され、受賞した巻誠一郎さんは、「アスリートが持つ力は社会に還元できる。なのでこの賞が僕だけではなく多くのアスリートのきっかけになるような賞にしたいなと思います」と喜びを表現しつつ、スポーツへの可能性について語った。
5組の活動が表彰された後、「HEROs AWARD」審査員が選んだ「HEROs of the year」の発表が行われた。
栄えある「HEROs of the year」に選ばれたのは、日本障がい者サッカー連盟の「サッカーを通じた共生社会づくり」。
会長の北澤豪さんは「驚きと感謝しかないです。スポーツをやってきてよかったと登壇者の話を聞いて思っていました。
まだ障害を抱えて外に出ることができない家族もいる中で、この賞はそういった方たちにとって励みとなり、大きなきっかけになるのではと感じます」と喜びを語り、表彰式を締めくくった。
【受賞者コメント・受賞プロジェクト名】
・巻誠一郎さん『YOUR ACTION KUMAMOTO』
僕はサッカーを通して子供たちと向き合う中で、ボール一つでコミュニケーションが取れる、みんなが繋がれる、これがサッカーであり、スポーツの力だと思いました。
ほぼ毎日災害の地域を回っていた中で確信してきたことは、アスリートが持つ力は社会に還元できる、ということです。なのでこの賞が僕だけではなくアスリートのきっかけになるような賞にしたいなと思います。
・井本直歩子さん『紛争・災害下の子どもの教育支援』
私がいる紛争地域はもちろん、国内外には様々な困難がありその一つ一つが高いハードルを持っています。そのたびに、私は現役の時に感じていたアスリートの精神を考えさせられ、それをもって様々な困難に立ち向かっています。
このHEROs AWARDをきっかけに、素晴らしい精神やスキルを持ったアスリートたちと、私も日々精進していけることをとても幸せに思います。
・日本障がい者サッカー連盟(北澤豪さん)『サッカーを通じた共生社会づくり』
たくさんの障がい者の方が街に出て活動している姿を目にすることがここ最近多くなってきており、ユニセフの活動やパラアスリートの活躍が勇気や刺激となって、少しずつこの社会が変わってきているのではないかと感じています。
我々は、7つの団体がバラバラでしたが、サッカーという共通したゴールに向かって、一緒になって取り組んでいます。
健常者を含めてまぜこぜのサッカーを展開していくことによって共生社会の実現につながるのではないかと思い、サッカー、スポーツを通じてその実現に向かって頑張っていきたいです。
・Sport For Smile(梶川三枝さん)『スポーツメンタリング』
DV被害者の支援という難しい分野にとりくんでいるところが評価されたと伺っており、大変ありがたく思っております。
支援を開始する当初は不安がありましたが、傷ついた子供たちにスポーツを楽しむ機会を作りたいと思い、中止を覚悟で取り組みました。
はじめは名前を呼ばれても机の中に隠れてしまう子供たちもいましたが、プログラムを通じて自ら意見を言ったり友達を思いやることができるようになっていました。
そんな彼らの成長と笑顔がスタッフにとって金メダルです。今回の受賞を機に、より多くの子供たちに手を差し伸べていけるよう、アスリートの皆様にも協力いただきながら、スタッフ一同この活動に邁進していきたいと思っております。
・柔道教育ソリダリティー(山下泰裕さん)『柔道で育む国際友好プロジェクト』
今年の3月で私たちの活動は閉じましたが、全日本柔道連盟、日本オリンピック協会という、違う形で受け継いでいきたいと考えています。今までは、自分たちが社会のために何ができるのかを考えることができる人が少なかった。
しかし、HEROsは素晴らしい。ここにはスポーツを通じて、弱者に目を向けて活動している人がたくさんいる。私も日本オリンピック委員会の活動をしながら、みなさんに負けない熱意で、スポーツがより社会に貢献できるよう頑張っていきたいです。
私の教え子で、日本代表監督の井上康生さんが、昨年「もしできれば先生の後を継いでNPOを立ち上げようと思います」といってくれて、涙がでるくらいうれしかった。
みんなで力を合わせて、スポーツがより良い社会づくりに貢献できる、その姿を示していきましょう。
【以下は囲み取材の模様】
<「HEROs of the year」受賞:サッカーを通じた共生社会づくり (日本障がい者サッカー連盟 北澤豪さん)>
ーーHEROs of the year 賞に選ばれての感想
周りの人が全くそういった雰囲気を出していなかったので、少しびっくりしました。登壇していたアスリートの話を聞いて、団体を強化するためにはまだまだ自分には知識や知見が足りないと思い、この後、会場にいる人たちにリサーチをしようと考えていたくらいだったので、この賞は本当にありがたいです。
選手も来ていたので、選手にとってもモチベーションになったのではないかと思います。
ーー改めてHEROs はアスリートにとってどんな活動ですか。
スポーツ選手という存在は憧れる存在ですが、ただ競技のレベルが高いというだけが理由ではなく、社会にフィードバックできる何かがある、ここが大切ではないかと思います。
だからこそこういった好循環を生み出すことが次世代を作ることにもなると思うので、我々の取り組む障がい者スポーツの分野においてもしっかり向き合うことに変わりはないです。
ーー改めて北澤さんの活動、どのような社会を目指していきますか。
ごちゃまぜの社会を目指していきたいですね。すべての障害を持った方たち、健常者も平等に一緒になってサッカーをしています。
それが我々にとってこれから必要であろう社会のあり方かなと思うので、スポーツを通じて共生社会の実現につなげていきたいです。
また2020 年は大きなきっかけになるので、スポーツを通じて幸せな社会づくりができればとも考えています。
<中田英寿さん>
ーー今年で3年目になるHEROs AWARD2019ですが、アンバサダーとしてこの活動の広がりを実感されていますか?
やはり本日これだけ多くのアスリートが来てくださったのを見ると、やっと3年目になって、この活動が広がってきたのかなと実感しました。
ーー受賞者の皆さまのスピーチを聞いて、どう感じましたか?
やはり社会貢献活動というのは、なかなか自分から言いにくいものでもありますし、他の方の活動を知る機会も少ないのが現状です。
しかし、素晴らしい活動だからこそ、それをどうやって知ってもらうかというのは個人的にも常に課題に感じており、こういった賞を作ることで、多くの人とシェアできると思っております。
また、今は何もやってないが、興味はあっていつかやってみたいという人を「やってみようかな」「一緒に行動したいな」と思わせることが、賞を作った意味でもあるし、それがスポーツ選手という共通の言語を持っている人たちの中で広がっていくと、これから先、より社会が良くなっていくと感じます。
ーー活動を進めていく中で、思いがけなかったことや発見などはありますでしょうか?
今はまだ国内にとどまっていますが、社会貢献活動は同じ形でどこの国でもできることだと思います。なので、来年の2020オリンピック・パラリンピックに向けて、この「HEROs」というフォーマットが世界中に広がってほしいと思います。
また、この活動が広がっていくためにも、より多く海外の方たちにも参加して もらい、海外の受賞者も作っていけたらと思っております。
ーーまだ社会貢献活動に参加していない若者にメッセージがあればお願いいたします。
自分も若いときは社会貢献活動していませんでした。やり方もわからないし、そういう現場に行く機会もなかったのですが、こういった HEROs の活動を通じて、情報にリーチしやすくなると思います。
そしてそれは結果的には、プロであろうと、アマチュアであろうと、引退していようと、スポーツ選手としての寿命がより長くなることだと思うので、そのあたりはこの活動の次のステップにしていきたいと思います。
())
写真提供:Heros AWARD 2019 PR事務局
【昨年のHEROs AWARDの記事】
「HEROs AWARD 2018 潜入取材!」
Vol.1 レポート編
Vol.2 赤星憲広さんインタビュー
~盗塁王がこだわっていた野球のギアとは~
Vol.3 村田諒太選手インタビュー
~ギアはあえてこだわらないようにしている~