Ventforet Kofu midfielder Kazuki Kozuka describes the future of the World Cup and athletes
6月から7月にかけて開催されたFIFA ワールドカップロシア大会で、大会前の前評判を覆す大躍進を遂げた我らが日本代表。そして既に、森保一新監督のもと、新生・日本代表として新たなスタートを切っている。そんな中、「4年後」の代表の座を虎視眈々と狙うひとりの若者がいる。2017年シーズンをもってアルビレックス新潟(以下、新潟)から今季、ヴァンフォーレ甲府に完全移籍した24歳のMF小塚和季だ。現在はメーカーとは契約せずにフリーの状態で自らスパイクを選び、新天地でピッチを駆け抜けている。そんな若武者にギアのこだわりを聞くとともに、日の丸への想いも語ってもらった。それに加え、同選手も参加した総合人材サービスを行う「株式会社パソナ」と「エー スポーツ クリエイション株式会社」が行っているアスリートキャリアデザインの模様もお伝えする。
Principal Sato
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2018/09/28
ー小塚選手は2013年から2017年まで新潟に所属されていましたが、その時は何を履いていたんですか?
小塚:新潟に所属していた時は、契約していたナイキのスパイクをずっと履かせてもらっていました。
ーナイキのどのスパイクを履かれていたのでしょう?
小塚:『マジスタ』ですね。僕、イニエスタ(ヴィッセル神戸)が大好きなんですよ。
なのでイニエスタも使用している『マジスタ』を履いて、彼に少しでも近づければいいなという気持ちで選びました(笑)
ーちょうど日本に来ましたからね(笑)。では、スパイクのこだわりは何かありますか?
小塚:こだわりとしては足のフィット感をすごく大事にしています。
なので、天然皮革よりは人工皮革の方が好きですね。
感覚としては、履いていて伸びてしまうより、キュッと締められる感じを追い求めているので、ちょっと小さめのスパイクを選ぶようにしています。
ーこれまで取材してきた選手の中には「ウォーミングアップで革が伸びちゃうのが嫌なので、人工皮革の方がいい」と話していた選手もいました。小塚選手はいかがですか?
小塚:僕もそんな感じですね。そういう理由もあって、試合では必ず2足用意して、後半には必ず新しいスパイクに履き替えるようにしています。
なので前半で使ったスパイクは、後半ではまず使うことはありません。
ーめちゃくちゃ繊細なんですね。重さや色のこだわりはありますか?
小塚:重さはやはり軽い方がいいかなと思いますけど、色は特にこだわりはないですね。
ーなるほど。ちなみに新潟以降もずっとナイキなんですか?
小塚:いえ、2017シーズンを終えて新潟との契約が切れたタイミングでアスレタ(ATHLETA)に変えました。最近ではアディダスを履いています。
ーアスレタは履いてみていかがでしたか?
小塚:アスレタはフィット感がすごく良かったですね。最近は種類も豊富ですし、徐々にいいスパイクが出てきているなと、そういう印象があります。
ー確かにアスレタは2016年の発売開始後からずっと人気が右肩上がりですよね。
小塚:そうですね。ただ、アスレタは素材にはオールカンガルーレザー(天然皮革)が使用されているのですが、どうしても革が少し伸びてしまうので、すぐに変えてしまったんです。
今は香川真司選手(ドルトムント)も履いているアディダスの『X18(エックス エイティーン)』という新しいスパイクを履いています。
ーということは、『X18』は人工皮革なんですか?
小塚:はい。それにめちゃくちゃ軽いですし、足のフィット感もすごく良いので、履かせてもらった瞬間「あ、もうこれでいこう」って即決でした(笑)
現在はメーカーとは契約せずにフリーな状態なので、いろんなメーカーのスパイクを試しながら決められるというのは、すごくメリットが大きいなと感じています。
ー確かに試せる幅は広がりますよね。小塚選手は2017シーズン終了後に当時ブンデスリーガ2部のデュッセルドルフに練習参加されていましたが、実際にドイツのピッチでプレーしてみていかがでしたか?
小塚:ドイツのピッチは本当に緩いです。日本のグラウンドとは違って土がネチョネチョしているので、かなり滑る印象があります。
なので柔らかいピッチに対応するために、固定式と取替え式スタッドが組み合わさったミックスソールを使用していました。
ーやはりヨーロッパではミックスじゃないと対応できませんよね。また、小塚選手は2016年にリオデジャネイロ五輪のU-23日本代表候補合宿のメンバーに選出されていましたよね。その世代で仲が良い選手は誰ですか?
小塚:鈴木武蔵(V・ファーレン長崎)だったり、今はあまり連絡は取っていませんが、新潟時代にチームメイトだった野津田岳人(ベガルタ仙台)とか。そういう選手たちとは同世代なので仲が良かったですね。
その中でA代表でも活躍しているのは、植田直通(鹿島アントラーズ)や、今回のワールカップには選ばれませんでしたけど、中島翔哉(ポルティモネンセ)などがいます。
ーなるほど。これからの日本代表を背負う選手たちばかりですね。リオ五輪では、残念ながら小塚選手は登録メンバーに選ばれることは叶いませんでした。その時の心境をお聞きしてもよろしいですか?
小塚:はい。もともと僕の中では代表に選ばれることはないと思っていたんです。それでもありがたいことに選んでいただいて、日本代表候補合宿に参加することができました。
ですが、代表にずっと選ばれ続けた選手たちの中にいきなり入ったので、ミーティングに参加してみんなの話を聞いた瞬間に「あっ、やっぱり僕とは違うな」と感じてしまったんです。
ある程度気持ちができている選手と、僕みたいに初めて選ばれた人では、リオ五輪に対する想いが全く違うなと。
ーおそらく代表として戦い続けている選手は、リオ五輪に出場するためではなく、五輪の舞台で勝つことを目標にしている。その違いがあったのかもしれませんね。では最後に、小塚選手の日の丸への想いを聞かせてください。
小塚:ワールカップは世界中の人たちが見るサッカーで一番大きい舞台なので、4年後のメンバーには自分も入り、たくさんの人に感動を与えたい。そういう気持ちをもって、ここから努力していきたいと思います。
小塚選手は現役バリバリのアスリートとして活躍を続けているが、今後はコーチのライセンス取得も視野に入れているという。
まだ今年で24歳という若さではあるが、そういった引退後の選択肢の幅を広げていく為にも、総合人材サービスを行う「株式会社パソナ」と「エー スポーツ クリエイション株式会社」が行っている『第2回 Athlete Career Design~Self Branding~』に参加した。
このセミナーでは、元アスリートやさまざまなキャリアを積んできた講師が登壇。
参加したアスリートは小塚選手をはじめ、同じサッカー選手のガイナーレ鳥取・仙石廉選手、栃木SC・石川慧選手、榊翔太選手、ザスパクサツ群馬・碓井鉄平選手、ニッパツ横浜FCシーガルズの元日本女子代表・大滝麻未選手、フットサルのペスカドーラ町田・中井健介選手、バスケットのサンロッカーズ渋谷・杉浦佑成選手、ビーチバレーの日本女子代表・草野歩選手、ラグビーのクボタスピアーズ・立川直道選手、トランポリンのベンチャーバンク・上山容弘選手ら計11名。
今の競技生活や今後のキャリアについての新しい“気づき”を得られることはもちろん、プロ選手である時に多くの方と出会い、支援者を増やすこことができる。そして、それらを力に変えて日々の競技生活へのさらなる励みやモチベーションに繋げていく上でも有意義なセミナーとなった。
登壇したのは計3名。はじめにマイクを持ったのは、パソナグループ傘下のキャプラン株式会社の研修ソリューション営業部・臼井秀光氏。
臼井氏は「ネクストキャリアを見据えて現役の今から自らを知ろう」というテーマをもとに話を展開。
競技を続けてきたことで培ってきた自分自身のキャラクター、あるいは長所を理解して活かせられているかどうか。それができていれば周りからの信頼を得ることができ、商品に置き換えれば購買促進につながるという。
それを頭にイメージするだけではなく、実際に紙に書き、言葉を発する。
それによって頭で深く認識することができるため、選手たちはワークシートに自分のキャラクター(長所・軸・芯)を書き記し、同じテーブルに座る選手たちに自己紹介形式でそれぞれ発表した。
また、そのキャラクター性をスポーツ以外でどう活かしていくか、というテーマでもディスカッションを行い、キャリアチェンジについても真剣に議論を繰り広げていった。
続いて登壇したのは、エイベックス・エンタテインメント株式会社で20年務めた経歴を持つ、高田裕充氏。エンタメ業界でのプロモーションや、アーティストの“ファン創り”をメインに活動してきており、現在はフリーランスで同業界のコンサルティング事業を展開している。
当セミナーでは「セルフブランディングについて」をテーマに掲げ、自身も経験した「ファン創りの重要性」を説いた。
ファンを創っていくうえで「常にサプライズを提供していく気持ち」が大事だと話す高田氏。大きな感動を与えなくてもいい。定期的に小さな驚きを与えてあげるだけで自分を支援してくれる人は増えるという。
例えば、メールのやり取り。
「この人、メールの返信が早い!」「あっ、アスリートからメールがきた」など、ちょっとでも自分がされて嬉しいことを実践していく。そういう細かいサプライズの積み重ねが、ファン創りにおいて重要な要素なのだ。
それに加えて、「SNSの活用」もファン創りには欠かせないツールだと話す高田氏。
・自分のキャラ(強み)を活かした発信をする
・継続的な更新をする
・SNSで同じ興味/関心のある人を見つけて、コミュニケーションをとる
上記の3つを続けていけば、ネット上からもファンは増えていくという。ただし、SNSはやることが目的ではなく、自身が伝えたいことを発信するために活用しなければ意味がないということも合わせて説明した。
選手たちは、ファンを支援者と捉えて、キャリアチェンジした時にも応援してくれるファンをどのように増やしていくか、どんなファンを増やしたいか、どんな人に影響を与えたいかを考え、選手同士で共有。高田氏が伝授した方法を参考にしながら、今後のファン創りについて語り合った。
最後に登壇したのは、アビスパ福岡や名古屋グランパスなどでJリーグ通算約350試合に出場し、現在はアサヒビール株式会社の営業マンとして働いている千代反田充氏。
そんな元Jリーガーが掲げたテーマは「自分はどうなりたいか〜選ぶのは自分〜」。
千代反田氏がサッカー以外の仕事を考え始めたのは引退後。現役を退いてから次の人生を考えるのでは、遅いのかもしれない。加えて引退したのは34歳という、就活するには厳しい年齢だ。
それでも、サッカー以外の今までと全く異なる職種に身を置くことができた千代反田氏。
新たな環境に身を置き、ビジネスの最前線で戦えるようになるまでには、さまざまな人に話を聞いたことが大きかったという。
しかし千代反田氏は、現役時代に「話を聞きにいく」ことができなかった。
現役中は、日々の勝負に集中したい気持ちが強く、サッカー以外の事は考えたくなかったという。
今となっては、その考えを悔やんでいると同時に、多くの人と出会う第一歩を踏み出している今日集まったアスリートたちを称賛していた。
「これから自分がどうなりたいのか、それを現役中からいろんな人に話を聞きながら探っていってほしい。」これを伝えたかった。
また、この経験を踏まえたアドバイスを送るために壇上に立つのは、この日が初めて。
「今度は自分が伝える番だ」
千代反田氏は、大きなチャレンジをまたひとつ成し遂げたのだ。
選手たちにも、この勇気や強い気持ちは伝わっただろう。
セミナー終了後には、集まった選手同士の親交を深めるために懇親会を開催。彩り華やかな食事が振る舞われた。
多くの選手が初対面だったが、ご飯を食べながら次第に打ち解けていき、和やかな楽しいひとときを過ごしていた。
セミナーを受けた小塚選手は「いつか引退する日は訪れるのでキャリアチェンジについて真剣に考えないといけないなと思いました。自分のファンを作っていくにあたって、まずはSNSの発信から実践してみます」とコメント。ワールドカップだけでなく、キャリアチェンジを見据えた新たなチャレンジも目指していく。
夢を叶え、素晴らしい職業に就いたアスリートたち。
そんな彼らが満足な選手生活を終えて、新しいステージに踏み出す時のために、プロアスリートである今のうちからできることを積極的に取り組んでいってほしい。
たくさんの人と出会うことで多くの支援者を増やし、キャリアチェンジに向けて最善の準備をする。そういった想いから開催した当セミナーのような取り組みは、今後のスポーツ界では計画的に実施すべき施策だと言えるだろう。
たくさんの人と出会うことで多くの支援者を増やし、キャリアチェンジに向けて最善の準備をする。そういった想いから開催した当セミナーのような取り組みは、今後のスポーツ界では計画的に実施すべき施策だと言えるだろう。
Text/Photos/Sato Shusho
<Cooperation of coverage>
◆ Pasona Inc.