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カブス今永昇太「靴下買ってる場合じゃない」を“bigger fish to fry”と訳せる理由とは?

2025年3月に開催されるMLBの開幕戦『MLB 東京シリーズ 2025(MLB Tokyo Series presented by Guggenheim)』が近づく中、シカゴ・カブスの今永昇太選手が開幕投手に指名され、話題になっている。そして対戦相手のロサンゼルス・ドジャースでは、同じく日本人投手の山本由伸選手が開幕投手を務めることが決まった。今回は“それ”についての今永選手の発言の英語表現を考えてみよう。※トップ画像出典/Getty Images

Icon 240910 02 01 1 佐々木真理絵 | 2025/02/28

「靴下を買ってる場合じゃないですよ」を直訳すると…?

開幕投手への指名後、ショッピングセンターで靴下を買っていた今永選手。
その時、たまたま山本選手との共通の知人と出くわしたようで、後ほど山本選手から届いたメッセージが「靴下買ってる場合じゃないですよ」。

このユーモラスな発言が注目を集め、日本のファンの間でも話題になった。では「〜している場合じゃない」という表現を英語にするとしたら、どんな表現があるだろうか?

「〜している場合じゃない」を英語で表現すると…

「靴下を買ってる場合じゃないですよ」

という日本語を直訳すると、

“This is not the time to be buying socks.” 

と訳せる。これがシンプルで、使いやすい表現だろう。

実際にこのストーリーを今永選手の隣で訳した通訳のエドウィン・スタンベリーさんも、この表現を使っている。

ちなみに、今回のケースのように“オチのある話を訳すのは難しいIt is.

なぜかというと…国や言語が変わると「何を面白いと思うか」という価値観が違ったり、適度な説明を付け加えたりしなければならないからだ。エドウィンさんはそのあたりも、とても見事に訳していて、とても参考になった。

「You have bigger fish to fry.」

個人的に、「〜している場合じゃない」と言いたいとき、ぜひ使いたいのがYou have bigger fish to fry.”という表現だ。

以前、筆者がアメリカにバレーボールの試合を見に行った際、関係者に食事に誘われたが、すでに先約があった私は、「行きたいけど、先に予定を入れてしまっていて‥」とお断りをしたことがあった。

その様子を隣で見ていたアメリカ人の選手が、

「そういう時は、I have bigger fish to fryと言って断ればいいよ。あなたからの誘いより、もっと大事な予定があるって意味だよ!」と、冗談まじりに教えてくれた。

さてなぜ “Fish(魚)” が登場するのか、なぜ “fry(揚げる)”なのか…。その訳をその選手に聞いてみたのだが

「わかんない。小さい魚より、大きい魚の方がお腹いっぱいになるから良いんじゃない?(笑)」という、これまた(笑)な返答だったわけだが。

結局現時点での由来はハッキリと分からないのだが、このウィットに富んだ表現は今回のケースに非常によくフィットすると思うので、

"You have bigger fish to fry than buying socks."

と訳すのをぜひ推奨したい。

こうすることで

「靴下を買うより大事なことがありますよ=(靴下買ってる場合じゃないですよ)」

といったニュアンスがしっかり伝わるだろう。

そういえば、ふと思ったが日本語の比喩表現にも“魚”を使ったものがいろいろある。

“釣った魚に餌はやらぬ”、“逃した魚は大きい”etc....

やはり「魚」というのは言語において重要な単語なのかもしれない。

2025年MLBという大舞台で、“水を得た魚”のように活躍するのは一体誰だろうか。その活躍に期待していきたい。