Gettyimages 2185423219

2017年シーズンに本塁打数が史上初の6000本超えも!MLB打撃術──最新トレンドは「レベルスイング」

MLBのバッティングトレンドとは?ー最先端のバッティングを徹底解剖していく。※トップ画像出典/MLB Photos via Getty Images

Icon %e5%90%8d%e7%a7%b0%e6%9c%aa%e8%a8%ad%e5%ae%9a%e3%81%ae%e3%82%a2%e3%83%bc%e3%83%88%e3%83%af%e3%83%bc%e3%82%af 1 キングギア編集部 エンタメ班 | 2024/12/26

2017年シーズンに本塁打数が史上初の6000本超え!「フライボール革命」

MLBといえばパワフルなバッティングが魅力だが、その打ち方にも流行があるという。ダウンスイングは、いまや流行遅れだそうだ。

MLBのバッティングトレンドを数字で解剖していくと、2023年まで過去10年の総ホームラン数は、2017年が6105本と、史上初の6000本超えを果たしている。実はこの時こそが、バッティングトレンドが大きく変わる転換期だった。

元MLB選手の西岡はこのときの転換を「フライボール革命」と説明している。これまで、ライナーを打つのがバッティングの基本だったが、MLBではバットがボールに当たる角度をつけて、意図的にフライを打ちに行くスタイルに変わった。

「そのままスタンドインするというのが、データとして出てきてしまったんです」と当時を説明する西岡。かつて指南されていた頭の高さからボールに最短距離でバットを振り下ろす「ダウンスイング」の時代は終わったというのだ。

アッパースイングでボールが一番飛ぶ角度は「19度」

では、アッパースイングで「一番飛ぶ角度」は何度なのだろうか?算出されたデータによると、ボールの水平線に対して下から19度の角度で「アッパースイング」するのが理想的だという。MLBジャーナリストのAKI猪瀬は、「フライボール革命の要因には、もう1つの背景がある」と指摘し、MLBの極端な守備シフトを挙げた。

2022年シーズンまでMLBでは、極端な守備シフトがOKだった。エンゼルス在籍時の大谷翔平選手の打席では、二塁手がライト前の芝の上、遊撃手が二塁ベース後ろ、三塁手が遊撃手の位置という、極端な右寄りシフトが敷かれ、「大谷シフト」と言われるほどだった。

AKI猪瀬は「ゴロを打つと、ヒットで抜けるところに野手がいて取られてアウトになってしまうから、野手の頭の上を越えていくフライを打てばいいのではないかと『フライボール革命』が浸透していった」と背景を明かす。西岡も「パワーがないから」と、NPBでは浸透していない理由も付け加えた。

いまではアッパースイングも流行遅れ!? 

ホームランの増加につながった「アッパースイング」だが、打撃トレンドとしては、もう古いのだという。MLBの日進月歩の進化ぶりにも驚きだ。

日本の子どもたちが最初に教わる「ダウンスイング」は、耳の後ろからバットを振り下ろすイメージ。西岡は「パワーのない日本人の体で、結果を残すためには正しい」と評価。パワーがないのにアッパースイングしても、スタンドまで届かない。日本では、ホームランよりも野手の間を抜いてヒットを打つ指導法に理解を示した。

そのうえで西岡は、「レベルスイング」を提唱。「ボールの軌道(ライン)にバットを合わせ、点でなく線でとらえていく。ラインにバットが入っていれば、タイミングが外れてもバットに当てることができる」と、バッティングの幅が広がると説明。MLB選手もボールに対してどう入っていくかを意識しているという。「成績を残している日本の選手も、みんなレベルスイング」と話した。

最新トレンドの「レベルスイング」にMLB投手も対応

最新トレンドとなっている「レベルスイング」に対して、投手も対策をしている。AKI猪瀬によると「アッパースイング打破には、高めの速球と縦に割れる変化球で対応してきた」とのこと。そして、レベルスイングに戻してくる選手には、ひと昔前に流行った、打者の手元で微妙に動くツーシームが主体となっているというのだ。「打者と投手のイタチごっこが、数年のサイクルで続いている」とAKI猪瀬は解説する。



『ABEMA MLB’s ON FLEEK』#9「バッティング トレンド」より

配信日:2024年6月14日(金) 12:00 〜 12:15 毎週金曜に配信
content:日本人選手の見どころ&独自の情報などMLBをもっと見たくなる情報を週1で発信。 

※記事内の情報は放送当時の内容を元に編集して配信しています