ラグビー日本代表ー2027年W杯に向けた挑戦と成長への軌跡
11月のヨーロッパ遠征を終えて帰国したラグビー日本代表は、羽田空港で永友洋司日本代表チームディレクターとエディー・ジョーンズ 日本代表ヘッドコーチが統括会見に臨み、昨年12月に発足した第2期エディーHC体制1年目の活動を総括した。2024年は6月のイングランド戦を皮切りにテストマッチを重ねた第2次エディーHC体制のラグビー日本代表は11戦を行い4勝7敗。ランキング上位のニュージーランド、フランス、イングランドといった強豪とも対戦したが、白星をあげることは叶わなかった。※トップ画像提供/JRFU
2027年ワールドカップをターゲットにした戦いがつづく
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エディーHCは会見の冒頭で「新鮮な形、フレッシュスタートという形で今年を始めました。我々のターゲットは 2027 年のワードカップであることに全く変わりはありません。試合の結果に関してはとても残念に思っておりますし、悔しく思っています」と語った。
多くのベテラン勢が選出を見送られ、代表経験のないメンバーを多く選出して臨んだ今年の日本代表活動では20名の選手が初キャップを獲得したが、今年の出場メンバーの試合経験数を合計すると、200キャップ程度での対戦をする試合が続き、日本は上位チームに勝利することはなく、苦戦を強いられることとなった。
「ワールドカップに向けて500キャップ600キャップをチームで保持すること」を目指すエディHCは、道半ばにあるチーム現状を「世界のトップ 4 のチームと我々の間にギャップがある」と認めた上で、「プレイヤーたちがハードワークを重ね、そしてハードな厳しい経験を重ねることでしか、学べない。スコッドを若くし、そして変えていくにはどうしても痛みが伴いますし、現在は日本のラグビーの未来に対して大きな投資をしている」と現状についての見解を述べた。
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将来の日本ラグビーのために必要な世代交代の時期
第1期エディー体制も2012年4月の正式就任以降すぐに成果が出たわけではない。耐える時期を耐え、2014年にはテストマッチ(国際試合)11連勝を達成し、『ブライトンの奇跡』と呼ばれる2015年のワールドカップで南アフリカ代表に勝利をするまでにチームを育て上げた。
「強度をしっかり保ちながら、来シーズン日本代表の活動につなげていけるようになるということも、一つの大きなポイントになってくるかなというふうに思っています」とエディーHCは話した。
経験値を積み重ねるためには時間が必要なのはラグビーやスポーツだけでなく、どの世界も同じ。
経験のあるベテランメンバーで試合を重ね、キャップ数を増やすこともできるのかもしれない。しかし、いつかは世代交代しなければならない。常に新陳代謝をし、新しく入ったメンバーが経験を重ねることでしか持続可能なチームを作ることができない。そのための努力と挑戦が続く一年となった。
日本代表を強くするために必要な戦略を世界から学ぶことはないのか
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近年の世界ラグビーは、永友TDが「数年前までは我々も互角に戦えていた」と評価したイタリアやアルゼンチンといったチームの躍進が目覚ましい。
こういった状況を踏まえ、「日本ラグビー協会としても対策を練らなければならないというのが急務」であり、「U-19〜23世代のカテゴリーをしっかりと強化していくことにすでに着手をしております」と永友TDは述べた。
さらにエディーHCは「2015 年の段階においては、もう少し多くのプレーヤーがスーパーラグビーでプレーしていましたし、2019 年はサンウルブスが活動している状況がありました。こういったギャップというのは 2019 年頃からずっと展開していたというふうに思っています」と海外に挑戦し活躍する選手の少なさを指摘した。
づづけてエディHCは「我々と格上のチームとのレベルの違いがあるので、ここを埋める必要があることと話していることについては一歩前に進めている」と話し、「日本全体としてリーグワン、国内リーグとして、そして全員で解決していかなくてはいけない問題だ」と述べた。
苦境続きでもタフでいられる選手が求められる
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会見では「50点以上の得点を取られて負ける試合がつづいた。これだけ取られると選手たちが自信を失うのではないか?」という質問も投げかけられたが、これに対してエディーHCは「何か問題があるのであれば、共に立ち向かい直面するそういうプレイヤーが必要」と言い切った。エディーHCは竹内柊平(浦安D)を例に挙げ、求めている選手像を明確にした。
「イングランド戦の後、竹内は本当に打ちのめされていて、心から残念に思っているのが見てとれましたし、試合の翌朝起きた時も『自分は今後より良いプレイヤーになるためにはどうすればいいんだろう?』。そういった風に考えていいました。こういったプレイヤーが必要です」と求めている選手像を明確にした。
そして「状況に立ち向かえない、そして許容できないそういったプレイヤーはチームにはいられなくなります。しんどい時つらい時いかにタフでいられるかタフでい続けられるか。そういったところがプレイヤーにも求められますし、チームにとって必要なこと」と、選手たちにさらなる奮起を促した。
リーグワン開幕に向けて
12月21日から開幕するリーグワンでも、より強い日本代表を目指したさらなる躍進が選手たちには求められている。
「今後に関しては、リーグワンに戻っていかにテストマッチの“インテンシティ”で毎週プレーし続けることができるか、トレーニングを積むことができるか。それが今後の日本代表の行く末にかかっている。一貫性のあるプレーを毎週見せて欲しい」とエディーHCは期待を寄せて、会見は幕を閉じた。
全体的には3年後のワールドカップに向けて課題の多かった2024年だが、さまざまな課題と向き合いながら己を高めていく選手たちの今後に期待していきたい。