1勝2敗の3位で決勝トーナメントへ男子バレーボール日本代表 パリ五輪の戦いぶりを振り返る(1)
一時は五輪出場も叶わぬほどに低迷していたバレーボール男子日本代表だが、フィリップ・ブラン監督の指導による強化が進み、五輪本番直前の2024年7月に行われたネーションズリーグでは、世界の強豪国が名を連ねる大会で初の銀メダルを獲得した。1972年のミュンヘン大会以来の金メダル獲得を目指してパリ五輪に挑んだ男子バレーボールチームの予選での戦いぶりを振り返る。※トップ画像出典/Getty Images
フィリップ・ブラン監督率いる男子バレーボール日本代表は12名(交代選手を含めて13名)を選出してパリ五輪に挑んだ。
男子バレー代表メンバー
8. 関田誠大 SジェイテクトSTINGS
5. 大塚達宣 OH大阪ブルテオン
12. 高橋藍 OHサントリーサンバーズ大阪
14. 石川祐希 OHキャプテン ペルージャ
15. 甲斐優斗 OH 専修大
11. 富田将馬OH(交替選手)大阪ブルテオン
1.西田有志 OP 大阪ブルテオン
2.小野寺太志 MBサントリーサンバーズ大阪
4.宮浦健人 OP ジェイテクトSTINGS.
6. 山内晶大 MB 大阪ブルテオン
10. 高橋健太郎 MB ジェイテクトSTINGS
20. 山本智大 LB 大阪ブルテオン
グループCに入った日本はドイツ、アルゼンチン、アメリカの3カ国と対戦し、決勝トーナメント進出を目指した。バレーボール男子の予選リーグは12チームが4チームずつ、3つのグループに分かれて総当たりで対戦し、それぞれの組の上位2チームと3位になったチームのうち成績上位2チームが決勝トーナメントに出場する。
決勝トーナメント進出の条件
・各グループ3位のうち、成績上位2チーム
・なお3位チームの順位は ①勝利数 ②ポイント ③セット率 ④得点率によって決められる。
第1戦 ドイツ 2対3
出典/NurPhoto via Getty Images
世界ランキング2位の日本は、同ランキング11位のドイツに対し、8.関田 誠大(S)、西田有志(OP)、石川祐希(OH)、高橋藍(OH)、山内晶大(MB)、小野寺太志(MB)、山本智大(LB)というメンバーで臨んだ。ネーションズリーグでは3-2とドイツに苦しめられたものの、フルセットの末に勝利している。
序盤からドイツのサーブに苦戦した日本は、試合途中にジェルジ・グロゼルにサービスエースを決められるなど、第1セットを17-25で落とした。巻き返したい日本だったが、第2セットも39歳のエース、ギョルギ・グロゼル(OP)を中心としたドイツの勢いに押され、9-12と劣勢に立たされる。だがタイムアウトを挟み、4連続ポイントを奪って逆転すると、ここからは互いにポイントを奪い合う展開に。22-22で迎えた試合の終盤に石川がバックアタックを決めて勝ち越しに成功し、粘る相手を振り切って25-23でこのセットを奪った。
第3セットは序盤から7-2でリードを奪うも、一時は1点差まで詰め寄られる苦しい展開に追い込まれたが、左膝の負傷から復帰したばかりの高橋藍や石川、西田ら攻撃陣が奮闘して25-20でこのセットも獲得。セットカウント2-1でリードした。
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第4セットも、小野寺の無回転サーブやサービスエースが決まって7-5と日本が先行する。しかしその後、一時は3点のリードを許したものの、石川の活躍などで追いついてジュースの接戦となった。ドイツのセットポイントを4回凌いだ後に宮浦のサービスエースで一時はリードしたが、粘る相手に5度目のセットカウントに持ち込まれると、最後は石川のスパイクがアウトと判定されて28-30。セットカウント2-2で、勝負の行方は最終セットに委ねられることとなった。
運命の第5セット、序盤からドイツのブロック攻撃が機能し3-7とリードを奪われたが、日本も必死の追い上げを見せて、11-12と1点差に迫流。しかし最後はカーリツェクにフェイントから15点目を奪われて、12-15のフルセットで敗戦。勝ち点1を獲得したが、日本にとっては悔しいスタートとなった。
【試合結果】
日本2-3ドイツ(17-25、25-23、25-20、28-30、12-15)第2戦 アルゼンチン 3対1
Source: Getty Images
2戦目は世界ランキング8位で前回大会銅メダルのアルゼンチンと対戦した。5月のネーションズリーグで3-1で勝利している相手に対して、日本は8.関田誠大(S)、西田有志(OP)、石川祐希(OH)、高橋藍(OH)、山内晶大(MB)、小野寺太志(MB)、山本智大(LB)を先発メンバーに起用し、初勝利を目指した。
上位進出に向けて勝利が絶対条件の日本は、第1セットから攻撃陣が躍動した。西田が2回の2連続を含む計5つのサービスエースを決めるなど25-16とし、第1セットを先行した。第1セットは西田有志が5つのサービスエースを決める活躍。ほかにも強烈なサーブから崩す展開がハマり、25-16で日本がこのセットを奪った。
第2セットはアルゼンチンに7点を先行される苦しいで出しとなったが、徐々に追い上げて試合終盤に20-20の同点に追いついた。そして最後は石川の連続得点が決まり、驚異的な大逆転で第2セットも獲得した。
一転して第3セットはアルゼンチンが試合の主導権を握った。大塚(OH)、宮浦(OP)、高橋健太郎(MB)を投入して流れを変えようと試みた日本だったが、策は実らず。 13-15からの4連続失点が響き、18-25でこのセットを奪われた。
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第4セットは、生き残りをかけた両チームが激しくぶつかり合う展開となった。序盤はアルゼンチンのペースで試合は進んだが、高橋藍や小野寺のブロックポイントで日本がリードを広げると、最後は宮浦のブロックアウトで25点目を奪い25-23で逃げ切り、セットカウント3-1で今大会初勝利を挙げた。
【試合結果】
日本3-1アルゼンチン (25-16、25-22、18-25、25-23)
第3戦 アメリカ 1-3
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世界ランキング2位の日本は、同ランキング4位のアメリカに対し、ここまでの2試合と同様に8.関田 誠大(S)、西田有志(OP)、石川祐希(OH)、高橋藍(OH)、山内晶大(MB)、小野寺太志(MB)、山本智大(LB)のメンバーで臨んだ。ネーションズリーグでは3-0でアメリカにストレートで勝利している。
第1セット早々に西田の先制点が決まり、幸先の良いスタートを切った日本チームだったが、その後はアメリカに3連続得点を許してしまう。さらには会場の照明が落ち試合が中断するトラブルにも見舞われた。試合再開後、石川と大塚に代わり深津と宮浦を投入するなど流れを変えようと試みるも、試合はアメリカのペースで進み、16-25で先行を許した。
打開を図りたい日本は、第2セット開始時に高橋健太郎(MB)を投入した。しかし西田のミスやアメリカの効果的なブロックなどで、0-5とリードを許す苦しい展開となった。中盤以降も試合の流れを変えることができず、16-21から3連続ポイントを喫し、18-25で第2セットもアメリカに奪われた。抜きつ抜かれつのシーソーゲームが続いた第3セットは、6-6から西田のバックアタックや高橋藍のドロップショットが決まり9-6とすると、日本はこれまでの鬱憤を晴らすかのようなl攻撃で得点を積み重ね、22-14と点差を広げた。終盤にアメリカの猛反撃にさらされたものの、山内のサービスエースで25点目を奪った日本が25-18でこのセットを獲得し。セットカウント1-2とした。さらに巻き返したい日本だったが、第4セットでは、序盤こそ西田のアタックや山内のブロックで先行したものの、15-15から4連続失点を許すなどアメリカにペースを握られて、19-25で試合は終了。セットポイント1-3でアメリカの力強い攻撃に屈した。
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しかし日本は、この試合で1セットを獲得したことにより、3位で決勝トーナメント進出を決め、準々決勝で世界ランキング4位のイタリアと対戦することが決まった。
【試合結果】
日本1-3アメリカ(16-25、18-25、18-25、19-25)