
JOYインタビューvol.2『Jリーガーの夢から芸能界への転身と再起の道』を語る
JOYは、かつて本気でJリーガーを目指し、サッカーにすべてを捧げていた。しかし、中学3年生のときに負った怪我が原因で、その夢を断念せざるを得なかった。その後、モデル活動を経て芸能界に足を踏み入れるが、ここでも順風満帆とはいかず、肺結核により一時活動を休止する。しかし、再び立ち上がり、本気で芸能界での道を切り拓いたJOYは、今ではサッカーに関連する仕事でも大活躍している。そんな彼の波乱万丈なキャリアと、サッカーへの変わらぬ情熱について語ってもらった。※トップ画像撮影/長田慶

Jリーガーの夢からの挫折、JOYが語るサッカーを辞めた後悔
ーー当時は、本気でJリーガーを目指す日々を過ごしていたんですか?
Photography/Kei Nagata
もちろん、サッカー選手になることだけを目指していました。海外でプレーすることも夢見ていましたが、サッカーに全てを捧げていて、勉強なんて全然していませんでした。でも、中学3年の12月、高校入学を控えた時期に怪我をしてしまい、ヘルニアを患ってしまったんです。
その頃は自分のことを上手いと思っていたので、怪我で試合に出られなくなり、自分より下手な子が出場しているのを見て、どうしても納得できず、耐えられなくなりました。そして、少し逃げるような形でサッカーを辞めてしまったんです。その後、高校生になってからも少し続けましたが、怪我は治らず、以前のようなプレーができなくなってしまいました。結局、完全にサッカーを辞めることになりましたが、それが今でも人生で一番大きな後悔です。サッカーを辞めたことで、思ったよりも早くその夢が終わってしまったと感じています。
ーーそこからモデル活動に進んだんですか?
Photography/Kei Nagata
そうですね、高校も普通の学校を辞めて、通信制の学校に通いながら、少し派手に髪を染めてギャル男スタイルを楽しんでいました。そんな時に、「メンズエッグ」からオファーをもらったんです。それがきっかけで、人生の新たな章が始まったような感じでした。ようやく新しい夢が見つかって、「こういう華やかな世界でやっていきたい」と思うようになったのは、高校3年生、17歳か18歳の頃でしたね。
挫折からの再出発、JOYが明かす芸能界での挑戦と学び
ーー活動を続ける中で、「芸能界でやっていける」と手応えを感じた瞬間はありましたか?
Photography/Kei Nagata
正直なところ、最初はあまり手応えを感じていませんでした。少し自信過剰になっていた部分もあって、テレビに出る機会があると「自分って意外と面白いんじゃないか」と勘違いしていたんです。でも、振り返ってみると、実際は周りの人たちが本当にすごくて、彼らがサポートしてくれることで、何を言っても面白くなる状況を作り出してくれていたんだと気づきました。
その後、突然肺結核を患ってしまい、仕事が一気になくなりました。復帰しても思うように仕事が戻らず、そのときに自分がいかに何もできないかを痛感しました。売れていた時は自信満々でしたが、それも周りのおかげで成り立っていた人気だったんだと気づいたんです。このままではやっていけないと思ったのが、25歳か26歳の頃です。そこで初めて「これはまずい」と感じ、本気で頑張り始めることを決意しました。
ーーそういう時、最初にどんなところから変えていったんですか?
まず、シンプルに「売れている時は周りが話を振ってくれるけど、自分がメインで出る時には、自分から積極的に前に出ていかないといけない」と思いました。チャンスが少なくなったからこそ、一つひとつの機会をしっかりとモノにして、結果を出さないといけないと強く意識するようになりました。
それに加えて、ロケが上手くならなきゃいけないと。1人で番組を成立させる力が必要だと痛感していた時に、「ヒルナンデス」のレギュラーでロケを担当させてもらう機会があったんです。ノープランで街を歩きながら進めていくようなロケを何度も経験する中で、ディレクターさんからいろいろと教えてもらいながら、少しずつロケのやり方を学び、上達していったんじゃないかなと思います。
サッカーを仕事にする幸せ、JOYが伝えたいこととは?
ーーその後、スポーツ、特にサッカー関連の仕事が増えてきましたよね。
Photography/Kei Nagata
元々サッカーをやっていたので、ワールドカップの時期になるとサッカーに関する仕事が多く舞い込むようになりました。特に2010年の南アフリカワールドカップの時期は、テレビに出演する機会が多く、「スーパーサッカー」の枠で加藤浩次さんたちと一緒に、ワールドカップ中継をスタジオから担当していました。
その後、2018年のロシアワールドカップでは、小柳ルミ子さんや俳優の六平直政さんと一緒に、フジテレビの公式応援サポーターとしてアンバサダー的な役割を任されました。こうして少しずつサッカー関連の仕事が増え、今ではブンデスリーガの番組にも携わらせてもらっています。
ーー小さい頃から好きだったスポーツに関わる仕事ができる喜びや楽しさって、どんな感じですか?
本当に嬉しいですね。サッカーを辞めた時には、「今までやってきたことは何だったんだろう」と思うこともありましたが、大人になってその大好きだったことが仕事に繋がるのは、とても幸せなことだと感じています。例えば、こうして今インタビューで昔の話をできるのも、あの時の経験があったからこそですよね。
さらに、小さい頃に憧れていた選手たちと今は一緒に仕事をしているというのが、本当に不思議で面白いです。前園さんや風間さんと一緒に番組をやらせてもらっているなんて、子どもの頃の自分からしたら夢のような話です。そんな方々を相手に自分がMCを務めているなんて、この世界は本当にすごいなと感じています。
――JOYさんならではの視点で、伝える際に意識していることはありますか?
特に「こういう視点で伝えたい」という強い意識は持っていないんですが、例えばMCを務めるときには、僕が前面に出るというよりも、サッカーをあまり知らない人たちに寄り添うよう心がけています。自分の立ち位置を少し控えめにして、わかりやすい質問を投げかけるように意識していますね。逆に、ゲストとして出演する場合は、もう少し自分の考えや思いを伝えることを意識して、その場に応じて伝え方を変えるようにしています。
日本サッカーの未来を問う、JOYの視点から見る課題と可能性
ーー日本におけるサッカー人気について、どう感じていますか?
撮影/黒木早紀子
サッカーの人気は、あるようでないような、微妙な状況だと思います。最近は以前ほど盛り上がっていないと言われることもありますが、代表戦になるとやはり盛り上がりますよね。ただ、海外のクラブが親善試合で来日しても、必ずしも満員になるわけではなく、その点が少し気になるところです。
もっとサッカーを盛り上げることができると思っています。特に、僕が応援している地元のクラブ、J2のザスパ草津なんかは、観客が2000人くらいしか入らないんです。ポテンシャルはあるけれど、ファンを増やすための戦略がうまく機能していない部分もあるのかなと感じています。これは多くのクラブが直面している課題だと思いますが、まだまだやれることはたくさんあると思います。
一時的な盛り上がりではなく、もっと深くサッカーを好きになってもらえるような取り組みを各クラブが進めていけば、それが日本全体のサッカー人気の向上につながるのではないでしょうか。もちろん、有名な選手、例えば久保建英選手や遠藤航選手のような海外で活躍する選手が注目されるのは素晴らしいことですが、その前段階として、各クラブがしっかりと基盤を作ることが大切だと思います。もっともっとサッカーの人気が高まってほしいですね。メディアでも、サッカーに割く時間が少ないのは少し残念に思います。
ーー僕たちが見ていた頃のサッカー選手は、メディアに出ることを強みとしていましたが、今の選手たちはメディアに出たがらない人が多いように感じます。
Photography/Kei Nagata
そうですね、最近の選手はメディアに出ても、あまり楽しそうにしていない印象を受けます。もちろん、彼らにとってメディア出演が本業ではないので、それも仕方のない部分ではありますが、スポーツを盛り上げるためには、もっと積極的にメディアに出てほしいという気持ちもあります。ただ、そのバランスを取るのは難しいですよね。例えば、僕の友人である槙野智章は現役時代にメディアにたくさん出演していましたが、それで批判を受けることもありました。僕は「それでいいじゃん」と思っていたんですけど、やっぱりそのあたりは難しいところですね。
――また、サッカーそのものも昔と比べてフィジカル重視になってきていることも影響しているのかもしれません。
今では走力や強さ、スプリントの回数などが重視されていて、テクニックだけでなくフィジカルの強さが求められる時代になってきています。僕は昔の、ファンタジスタが活躍していた頃のサッカーが好きだったのですが、最近のサッカーは少し競技自体が変わってきているように感じます。その影響で、エンターテインメント性が減り、観戦していて少し物足りなさを感じることもあります。
もちろん、今でもスーパープレーはたくさんありますが、いくら技術があっても走れない選手は試合に出られないとか、練習でどれだけ走ったかのデータでスタメンが決まるなど、そういった現状を見ていると、少しずつサッカーの魅力が薄れてきているのではないかと感じることもあります。ただ、これはあくまで日本国内の話で、世界ではまた違った状況かもしれません。最近では、90分間の試合を通して観るのがしんどいと感じる人も増えているのかもしれません。だからこそ、試合全体を通じて見る楽しさや魅力をどう伝えていくかが、今後の課題だと思っています。
Vol.3につづく
JOY
2003年、雑誌『men‘s egg』にてモデルデビュー。タレントとしてバラエティー番組などでも幅広く活躍しており、特技であるサッカーではスカパーで番組MCを務めている。2021年に「イクメンオブザイヤー2021(芸能部門)」を受賞し、パパタレントとしても奮闘中。
FC Machida Zelvia's Souma Yuki: "Don't be afraid of challenges, enjoy the differences" - Moving forward with determination
FC Machida Zelvia's Yuki Souma: "The doubts and suffering are all for the sake of moving forward"
FC Machida Zelvia's "Soma Yuki" "If the ball goes to this player, something will happen" - The belief of this unorthodox dribbler

Ayumi Kaihori: "Women's soccer is a place where everyone can be the protagonist" - A place where everyone can get involved freely. This is what the WE League is aiming for now.

Beyond the world's best. Ayumi Kaihori talks about passing on the baton of Japanese women's soccer
