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「“名蹴会”って何?」会長の金田喜稔氏(元サッカー日本代表)が描く 日本サッカーの未来

日本のサッカー界において輝かしい功績を残したプレーヤーが中心となり、2010年に結成された一般社団法人日本サッカー名蹴会(以下名蹴会)では、サッカーの普及やスポーツに取り組む青少年少女をサポートする活動を全国各地で開催してきた。 名蹴会の会長を務められている金田喜稔さん(元サッカー日本代表・日産自動車、初代JFAシニアサッカーアンバサダー)が、その活動内容や、サッカーの普及に向けた想いを語った。

Icon fopv vbvqbakaduJunichi Swan | 2021/10/19
――まずは金田さんが、「名蹴会」を立ち上げられた経緯を教えてください。

 金田:   今は私が会長をやらせてもらっていますが、一生懸命日本のサッカーのために尽力してくださった先輩たちの経験をお伝えしたり、僕らが地方に出向いて、各地で活躍されている指導者の皆さんとお話しさせていただく機会を作っていきたい。それらを通じて、日本のサッカーの発展に貢献していきたいというのが、設立に至った大きな理由です。  

今年、日本サッカー協会は創立100周年を迎えました。1993年にJリーグが始まってからは、日本代表は当たり前のようにオリンピックやワールドカップに出場できる力を持つことになりましたが、その前の「アマチュア」と言われていた時代にも、メキシコ五輪で銅メダルを獲得した釜本さんや杉山さんをはじめ、さまざまな監督、コーチ、選手の皆さんが活動されていらっしゃいました。

  Jリーグならば400試合以上、日本リーグ200試合以上、日本代表戦50試合以上(Aマッチ)などをクリアした経験豊富な選手たちが日本全国に出向き、子供たちや父兄国際試合などで感じた自分たちの経験を全国に向けて発信することで、お子さんや父兄、そして指導者の方々に、「サッカーの楽しさを知ってもらいたい」という想いです。       

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――「
セカチャレ」と題した、スポーツをする若者向けのキャリア支援にも力を入れられているようですね?

 金田:  ちょうど4年前、当時の大学生と触れ合う機会があり、「大学3年生から就職活動をするのが普通だ」ということを知りました。 チームの年長として、メンタルや肉体も一番成熟した時期を迎えるのに、絶好のタイミングで1年間も就職活動をするわけです。

スポーツ畑”の僕から見ると、「こんなのありえない!」と不可解に感じさせられました。
 野球やサッカーなど、プロチームの受け皿がある人は大丈夫だと思うんですけど、「こんなに素晴らしいアスリートがいるんだから、大学4年の1年間を、全力でスポーツに取り組ませてあげてほしい」と、企業に対して働きかけをしたいです。  

――サッカー選手に限らず、幅広い支援を行っているそうですが?どのような方々がご活躍されていらっしゃいますか?
 

 金田: 現在は、このプロジェクトを使って7〜8人が企業に就職して、現在、大学4年生で部活に取り組んでいるセカチャレ登録選手が何人かいます。

 最近では、「本来であれば就職して、スポーツから離れる予定だった」という七種競技の選手が、社会人1年目に日本選手権で7位に入賞したりとか。

もちろん本人の努力もあるけれど、少しでも競技に集中して結果を出してもらいたいなという想いがあって、「セカチャレ=セカンドチャレンジ」という形で学生を支援しています。 
          
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――
金田さんの現役時代には、社員としてプレーをされていたようですが?
 

 金田: 当時の自分は「アマチュア」だったので、午前中に仕事をしてから、午後に横浜で行われる練習に参加するという感じでしたね。

 私の周りは「セミプロ」みたいな感じだったので、マリーニョとか、当時のヴェルディの選手たちとか、会社には行かずサッカー1本で取り組んでいました。 なので、皆さんがイメージされる「アマチュア」とは異なる部分もあるかなと思います。 

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――名蹴会では、「JCカップ」という大会も開催されているようですね?  

 金田:  「グッドルーザーの精神」を伝えるために、日本青年会議所と組んで始めたプロジェクトで、2014年のプレ大会を含めて今年で8回目の開催です。

北海道から沖縄まで地区予選を行って、各地区の代表チームで全国大会を行うのですが、子どもたちのレベルの高さに驚かされています。それと今後は、「大人のサッカークリニック」にも力を入れていきたいと思っています。 

 ――どのように活動を進められていく予定ですか?

 金田:   木村和司が運営しているスポーツジャングル10で続けてきた「大人のサッカークリニック」を発端として全国で開催しているのですが、「サッカーの日常化」を目指しています。 

これまでの全国での活動を通じ、「サッカーをやりたい大人は、全国に沢山いるのでは?」と感じ、全国のフットサル施設と連携して開催しています。適度な運動は免疫力の向上にも繋がりますし、「コロナ禍」の社会にも対応しながら活動しています。             

――クリニックでは、実際にどのような活動をされているのでしょうか?
 

 金田:   1993年のJリーグ開幕以降に生まれた子供たちのほとんどが、サッカーをしたことがあると言っても過言ではないと思うのですが、何らかの事情があって学生時代に辞めてしまった人の中にも、「またやってみたいな」と感じている方はすごく多いんです。

最近のシューズやウエアは、カッコいいですからね。 そのような狙いでクリニックを開催したら皆みなさんに関心を持っていただきました。現在は毎回20〜30人くらいの人に集まっていただいて、クリニックは大体2時間から2時間半ぐらい。参加していただいた大人たちに対して、「今からでも上手くなる」という方法や、頭の神経系を刺激するトレーニングを提供しています。

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――金田さんが、クリニックの開催に至った想いを教えてください。

 金田:   まずは「サッカーをやってほしい」という気持ち。そしてもう一つは、健康に過ごすための「生涯スポーツ」としての魅力を広めていきたいということですね。

「コロナ禍」の世の中でも、ウイルスに対抗するためには、「免疫力」を上げなければいけないわけです。でも、食生活を変えたとしても、免疫力を向上させる基礎体温を上げるためには、筋肉量を増やすしかない。そのためには、サッカーが一番良いスポーツなんですよ。

 もし「コロナ禍」が終息しても、同じようなウイルスは、その後も毎年のようにやってくるかもしれない。それらから自分の身体を守るために、サッカーを通じて、健康的な身体作りをしてほしい。

最初は、同じ地域に住む人たちが集められるわけですが、クリニックへの参加がきっかけで「コミュニティー」ができ、生涯スポーツとしてサッカーを続けてもらえるきっかけになる。サッカーを通じて、それぞれの「免疫力」を上げ、健康寿命の促進につなげてほしいという想いで今は活動しています。

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――今後、活動を通じてやってみたいことはありますか?

 
金田:    年代ごとにアマチュアの各国の代表チームを作ってもらって、日本で大会をやりたい。40~60代の世代別ワールドカップとかね。 「プロ選手になったことがない人たちの代表チー ム」が、世界各国からやってきて、日本で一緒に楽しむ。実現出来るかどうかはわからないけ れど、開催できたら嬉しいですね。

[Interview cooperation]
ヨコハマ・フットボール映画祭
一般社団法人 日本サッカー名蹴会