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女性アスリートの輝かしい活躍!その「裏」で直面する男女格差と求められるアスリートらしさ

パリオリンピックでは史上初めて男女同数の選手が出場。日本代表も409名中約半数の191名が女性選手だった。また世界には国内リーグで観客を魅了する女性アスリートも多数いる。配信サービス「DAZN」にて配信された「UNSAID ~スポーツ界の表と裏~」#4より、輝かしい「表」の活躍の「裏」で起きた問題に焦点を当てた。※トップ画像出典/Corbis via Getty Imags

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パリオリンピックで大活躍した女子やり投げの北口榛花、その強さの秘密とは

2024年、日本でもっとも注目された女子アスリートと言えば、女子フィールド種目で日本初の金メダルを獲得した北口榛花ではないだろうか。元アーティスティックスイミング日本代表の青木氏は「応援したくなる選手ってこういう選手」「太陽みたい」と称する。

元Jリーガ―でサッカー北朝鮮代表の鄭氏は、スポーツは「見ている人たちの心にある人情とか人間味を刺激されるから感動する」と述べ、AIの発達により存続が危ぶまれる職業もある中、北口は「スポーツは一生なくならないという素晴らしさを表現してくれる選手」と語った。

北口は、2019年から実績のある指導者を求め、やり投げの本場チェコに拠点を置き、チェコ流の投げ方を学んだ。それが今回の金メダル獲得にも繋がったようだ。海外で練習することについて「国内で練習するには限界がある」と鄭氏。「実際にいくのと、そのトレーニング方法を真似して学んだ人が教えるのでは全然違う」と語り「現地に行って言葉を交わし、他人のフィルターを通さず直接吸収するというのが大事」と解説した。

学生時代からスポンサー収入5億円!アメリカ女子バスケットボール界のニューヒロイン

2024シーズンにWNBA新人王を獲得したケイトリン・クラーク。大学時代から多くのスポンサーがつき、その収入は約5億円もあった。さらに出場した全米大学選手権女子決勝の視聴者数は、史上初めて男子を上回った。クラーク選手のように、今アメリカでは学生時代から多大な収入を得るアスリートが増えている。

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ケイトリン・クラーク(出典/Icon Sportswire via Getty Images)

一方日本では、学生の頃から実力と人気を兼ね備える選手がいても、これだけの収入を得るのは難しい。

元メジャーリーガーの西岡氏は「日本はアマチュアがお金をとってはいけないというルールがある」と説明し、「ルールを変更すれば(学生選手も)メーカーからお金をもらってもいい」と語る。また早稲田大学教授で弁護士の松本泰介氏によると「アメリカも昔は、学生はだめだった」と言うが、今は学生もスポンサーと契約できるようになり「一定のバブルが来ている」とのこと。結果、クラーク選手のように「日本的に言うとインフルエンサーのように活躍」する選手が増えたそうだ。

女性アスリートが直面する経済や環境などの大きな男女格差

2022年の男子サッカーW杯の賞金総額は約4億4000万ドルであったのに対して、2023年の女子サッカーW杯の賞金総額は約1億5200万ドルだった。また日本国内でもJ1リーグでは1試合の平均観客数が約2万人だったのに対し、WEリーグは約1800人。プロリーグでありながら、女子サッカーではアルバイトを余儀なくされる選手が多いのが現状だ。このようにスポーツ界の男女格差は、女性アスリートにとって大きな課題である。西岡氏は「収入の差が浮き彫りになっている」と話し、女子アスリートの環境に言及した。

元バレーボール日本代表の迫田さおり氏によるとバレーボールでは「前までは女子がすごく人気があって、男子は会場に人があまり入っていなかった」が、現在はそれが逆転していると話す。最近の男子バレーは成績もよく試合の内容も面白いうえに、顔立ちの良い選手も多く、さらに男子バレーを題材とする漫画の影響もあって人気を得たとのこと。

一方、女子バレーは「人気がなくて残念」ではなく、選手やスタッフが努力する姿を見て「トップにいったときにあのときに踏ん張ったから今があるという過程を見たら楽しい」と迫田氏は語った。

また鄭氏は、今はSNSなどで自分から発信する機会が増え「インフルエンサーが台頭してきた」と言う。女子サッカーもそれを利用して、「ドラマを自分たちで作って、その結果として試合をやっているというストーリーを見せてあげれば、絶対人気が出てくる」と提案した。

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Source: Getty Images

アスリートらしさと自分らしさを両立する難しさ

さらにパリオリンピックで活躍した北口は、そのヘアスタイルやメイクも注目された。しかし日本では、女子アスリートがメイクやヘアセットすることに対し、アスリートらしくないと批判の声が挙がることがよくある。

実際に、迫田氏の現役時代は「(現役のときに)メイクやネイルをするのは、ちょっと考えられない時代だった」とのこと。また青木氏も、練習や移動のときでも髪型や髪を結ぶゴムの色まで決まりごとがあったそう。

しかしアスリートはアップで写真を撮られることもあるため、メイクは必要と青木氏はいう。批判を受けないよう「華美にしすぎない」ようにするべきだが「アスリートらしさは残しつつ、ナチュラルなメイクなどきれいな姿をメディアに出すことでファンもつく」と自分らしさを出すメリットを語った。

また西岡氏は、外見を変えたことで成績に影響が出るわけではないので、「自分の自己アピールとしてどんな形をとってもよい」と提言した。

活躍している女性アスリートは大勢いるが、まだまだ環境に恵まれていない競技も多くある。そのような競技の環境がよりよいものとなり、さらに自分らしく戦う女性アスリートが増えていくことを期待しながら、今後も応援していきたい。

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『DAZN』UNSAID ~スポーツ界の表と裏~
タイトル:#4 女性アスリート-女性に求められるアスリートらしさとは?-
配信日:2024年12月16日(月)~
content:2024年のスポーツ界の「表」としての輝かしい瞬間を振り返るとともに、「裏」に潜む課題や語りにくい問題に焦点を当て議論する。

※記事内の情報は配信時点の情報です。