
分配ドラフトからの再生、戦力不足を乗り越えた20年の挑戦ーー東北楽天ゴールデンイーグルス
2025年のプロ野球シーズンが間もなく幕を開けようとしている。今年は、セ・パ両リーグで表彰タイトルが「最優秀中継ぎ投手」に統一され、ホールド数と救援勝利を合算したホールドポイント数による選考基準が導入されてから、20年目のシーズンを迎える。その最優秀中継ぎ投手賞で2005年に50年ぶりの新規球団としてプロ野球に参入したのが、東北楽天ゴールデンイーグルスだ。ここでは、これまでの球団の歴史に触れつつ、投手起用の変化や分業化の歴史について振り返ってみたい。※イラスト/vaguely

2005年、初シーズンは戦力不足に苦しむ
2005年、東北楽天ゴールデンイーグルスは、監督に田尾安志を迎え、38勝97敗1分けで6位。近鉄とオリックスの合併に伴い、50年ぶりの新球団としてNPBに参入した東北楽天イーグルスは、当時の5位、6位の2球団から選手を分配されることになったが、楽天にとっては不利な形で行われた分配ドラフトの影響もあり、戦力的には厳しい船出を強いられることとなった。
分配ドラフトでオリックスへの移籍が決まったものの、これを拒否し、最終的に金銭トレードで楽天に移籍してきた岩隈久志には、前年の15勝と同様の活躍が期待された。しかし、肩の痛みに悩まされ、1年目は9勝に終わり、新球団を率いた田尾監督は、予想通り厳しい投手事情に頭を抱えることとなった。先発陣のなかでは、エースの岩隈が9完投、有銘兼久がチーム唯一の完封勝利を含む4完投を挙げた。
注目のルーキーとして入団した一場靖弘は2完投を挙げたものの、その後は金田政彦、朝井秀樹、山村宏樹がそれぞれ1完投したのみで、全体的に苦しい投手事情をやりくりしながらのシーズンとなった。リリーフ陣では、吉田豊彦や抑えの福盛和男が安定した投球を見せていたが、全体的に防御率は高めであり、戦力不足の印象が強く残るシーズンだったといえるだろう。
2015年、リリーフ陣の奮闘も実らず、2年連続の最下位
2013年に宿敵の巨人を破り、チーム初の日本一を成し遂げた星野仙一氏が前年途中に退任したことに伴い、二軍監督から昇格した大久保博元が、2015年も続けて指揮を執った。
2013年シーズンでは圧倒的な成績を残し、24勝無敗で日本一の立役者となった田中将大は、2013年オフにメジャーリーガーとして海を渡ったものの、同年秋のドラフトで、桐光学園のエースであった松井裕樹が加入。プロ入り2年目の2015年、松井はリリーフエースとして起用され、33セーブ12ホールドという成績を残し、抑えとして独り立ちを果たした。一方、青山浩二は中継ぎとして31ホールドを記録し、安定した投球を披露。先発陣を見ると、則本昂大が10勝を挙げたのが最高で、戸村健次は7勝、美馬学、塩見貴洋、辛島航らのローテーション投手も含めて全体的に低調なパフォーマンスに終わった。先発のスタッツを見ると則本は3完投(うち1完封)、戸村は1完投のみで、全体的にリリーフ陣に頼らざるを得ないシーズンとなった。
開幕から低調な成績が続き、交流戦では巻き返しを見せたものの、6月には8連敗を喫するなど、戦力不足が影響し、最終的に2年連続で最下位に終わった。
2024年、交流戦優勝も終盤の失速で3年連続4位
大久保監督が退任した2015年以降、梨田昌孝(2016~18年)、平石洋介(2019年)、三木肇(2020年)、石井一久(2021~23年)の4名がチームを率いてきたが、Aクラス入りはわずかに2回のみ。FA戦線で岸孝之、浅村栄斗、鈴木大地などの実力者を獲得したものの、期待通りの結果には繋がらない状況が続いた。そんな停滞した状況を打破するべく、2024年は楽天でプレーした今江敏晃を監督に迎えて再スタートを図った。順位こそBクラスに終わったが、新たな才能が芽生えた1年となった。
松井裕樹がパドレスに移籍したリリーフエースのポジションには、則本昂大が先発から転向して32セーブを記録し活躍。先発陣では、早川隆久と藤井聖がそれぞれ11勝を挙げ、安定した投球を披露した。先発投手の完投数を見ると、早川が2完投(うち1完封)、岸が3完投(うち2完封)、ポンセが1完投を記録し、リリーフ陣に頼りつつも、先発投手には長いイニングを任せる場面が多かった点を見ると、実績のある先発陣への信頼の高さがうかがい知れるのではないだろうか。
シーズン序盤は着実に勝利を重ね、交流戦では球団史上初となる優勝を達成。しかし、その後は調子を崩し、終盤に8連敗を喫するなどして、結果的に3年連続で4位という「定位置」でシーズンを終えた。それでも、辰己涼介が最多安打(158本)のタイトルを獲得。小郷裕哉(32盗塁)や小深田大翔(29盗塁)らの機動力を活かしたチーム作りには大きな可能性を感じさせるものがあった。
長いイニングを投げる先発投手がチーム成績を左右する
2024年シーズンで球団創設20年目を迎えた楽天の初年度は全体的な戦力不足も影響し、岩隈をはじめとする先発投手が長いイニングを投げ切るスタイルだった。しかしのちに加入する田中、則本、早川といった一線級の投手も先発完投が多い。60試合以上に登板したリリーフ投手を年ごとに比較すると、6位に終わった2015年は4選手である一方、日本一に輝いた2013年はわずか1選手にとどまっている。長いイニングを投げられる先発投手がいる年は、チーム成績がよくなる傾向が見てとれるだろう。現在は、2013年の日本一達成時に先発で15勝をマークした則本がセットアッパーとして活躍中。ベテランとなった今、当時とは別の形で日本一に貢献できるのか注目だ。
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