
「甘いものと闘志」―K-1貴公子“大久保琉唯”の強さと意外な素顔
K-1で「新時代の貴公子」と称される大久保琉唯。その華麗で力強いリング上の姿だけでなく、甘いものを楽しむひとときや、ファッション・美容へのこだわりなど、意外な素顔も魅力の一つだ。試合での緊張感、日常でのリフレッシュ、そして自己表現への挑戦――格闘技の枠を超え、成長を続ける彼の姿には、次世代の格闘家像が映し出されている。その進化とギャップに迫る彼の物語をぜひ覗いてみてほしい。※トップ画像撮影/長田慶

プロの世界に飛び込んだ高校生の挑戦と成長
Photography/Kei Nagata
――高校2年生の2月、初めてプロのリングに上がったときの感想を教えてください。初めてプロの試合に出たときは、本当にきつかったです。試合自体がこれまで経験したことのないほどハードで、緊張も相まって、終わった後はとにかく疲れ切っていました。当時の自分は『ただ勝てばいい』という考え方で、勝利そのものが嬉しく、それで十分だと思っていました。
選手として大事にしているのは、基本を徹底すること。足を止めない、ガードを下げない――それが根本にあります。ただ、プロでは対戦相手も全員が強いので、その相手に応じて戦術を考え、しっかりと対策を練る必要があります。それがプロの厳しさだと感じましたね。
でも、プロとして2、3年目を迎えた今では、試合で勝つだけでなく、試合前からお客さんを楽しませることや、試合以外の部分でも自分の個性を発信することが大切だと気付くようになりました。
――今の時代、格闘家もセルフプロモーションが求められる時代ですが、どのように取り組んでいますか?
今の時代、SNSでの発信はすごく重要だと思っています。ただ、どう発信すればより多くの人に響くのか、そこはまだ試行錯誤中ですね。いろいろな方法を考えてチャレンジしていますが、まだ研究段階といったところです。
異なる世界との出会い――『オオカミちゃんとオオカミくんには騙されない』出演を通して
――2022年8月にAbemaTVのリアリティ番組『オオカミちゃんとオオカミくんには騙されない』に出演されましたね。その背景を教えてください。
きっかけは『ザ・マッチ』での武尊選手と那須川天心選手の記者会見でした。その際にAbemaの方から声をかけていただいたんです。
Photography/Kei Nagata
――実際に出演してみて、どのような感想を持ちましたか?
結果としては良い経験になりました。ただ、最初は何も分からず、カメラの前でどう振る舞うべきかも全然分かりませんでしたね。俳優やモデルの方々と関わるのも初めてだったので、すべてが新鮮でした。多くのことを学び、視野が広がったと思います。
自分をどう見せるか、どう伝えるかを学びました。それだけでなく、異なるジャンルで活躍している同世代の人たちと接することで、大きな刺激を受けました。彼らがそれぞれの分野で努力している姿を見て、自分も『もっと頑張らなきゃ』と強く感じましたね。
――異なるジャンルの同世代と深く関わることは、普段なかなかないですよね?
そうですね、滅多にない経験でした。それに、4ヶ月という期間を一緒に過ごしたことで、仲も深まりましたし、とても楽しい時間を過ごせました。
サウナ、ファッション、美容―リング外で磨く自分らしさ
Photography/Kei Nagata
――格闘技から離れた時間で、自分が心地よく感じる瞬間はどんな時ですか?
サウナで整っている瞬間ですね。あの『無』になる感じがたまらないんです。高校3年生くらいからハマって、今では週に2回は行っています。サウナは疲れを癒してくれて代謝も上がり、さらにメンタルも整う、一石二鳥です。僕にとっては欠かせない大切な時間ですね。
Photography/Kei Nagata
――ファッションへのこだわりについて教えてください。
人と被るのがあまり好きじゃないんです。普段から襟が切れている服や、丈が左右で違うシャツなど、少し変わったデザインの服を選ぶことが多いです。高校生くらいから自分で服を選ぶようになり、プロになってからはさらにこだわるようになりました。
――参考にしているファッションの情報源はありますか?
特に韓国のファッションが好きです。この前初めて韓国に行ったんですが、アパレルの撮影と観光ができてとても楽しかったです。その時に買った靴は今でもお気に入りですね。
――肌が綺麗だと評判ですが、美容には気を遣っていますか?
実は美容には結構気を遣っています。パックをしたり、脱毛もしていますよ。最近では腸活にも興味を持っていて、納豆やキムチ、乳酸菌ドリンクを意識的に摂るようにしています。こう言っていますが、試合前は特に意識が高いものの、普段は好きなものを食べてしまうことも多いです(笑)。
「格闘技と表現者としての自分―広がる活躍と支え合うファンとの関係」
Photography/Kei Nagata
――格闘技以外の仕事も増えていますが、撮影や出演の時間をどう感じていますか?
リアリティ番組『オオカミちゃんとオオカミくんには騙されない』に出演した頃から、自分を表現する楽しさを少しずつ感じるようになりました。それまではどちらかというと硬派な自分を意識していたんですが、今では自分をもっとオープンに出していきたいと思うようになりました。
――ファン層について教えてください。
番組出演当時は9:1で女性ファンが圧倒的に多かったんですが、今では男性ファンが増えてきて6:4くらいの割合になりました。格闘技の試合で結果を出し続けてきたことで、男性ファンにも少しずつ認めてもらえているのかなと感じます。
――ファンからもらった言葉で印象に残っているものはありますか?
『格闘技を頑張る姿を見て刺激をもらっています』という声が一番嬉しいです。ファンは応援してくれる存在ですが、お互いに高め合える関係性が最高だと思いますね。
(C)K-1
――試合の入場シーンでの心境を教えてください。
入場の瞬間はもう全集中です。周りの歓声や雰囲気を感じながらも、自分の中では全てをシャットアウトして、試合に向けた集中状態に入っています。練習をやり切ったという自信があるので、すがすがしい気持ちで歩けます。入場の時間は短いですが、『自分はここに立つために準備してきた』という実感とともに、気持ちが高まる瞬間です。
試合後の解放感―努力の先に待つ喜び
――試合に勝利した後の解放感はどのようなものですか?
試合が終わった瞬間の解放感は本当に格別です。試合までに食事制限や厳しいトレーニングなど、たくさんの我慢をしています。そのすべてが試合終了とともに一気に解放されるので、達成感とともに心が軽くなるような感覚ですね。試合後には自分が楽しみにしていたご褒美が待っているので、その喜びも大きいです。
Photography/Kei Nagata
――いつも楽しみにしているご褒美はありますか?
甘いものを食べることですね。普段からケーキやお菓子が好きなんですけど、試合が決まると1ヶ月くらい我慢します。だから、試合が終わると真っ先に甘いものを食べるんです。特にチーズケーキが好きです。ただ、あんこだけは苦手なんですよね(笑)。
――試合後のリフレッシュとして、旅行なども行かれますか?
大きな旅行にはあまり行かないんですが、友達とご飯に行ったり、普通の日常を楽しむのが好きです。試合が決まるとそういった日常も控えなければならないので、試合後に友達とご飯を食べたりすることが、すごく楽しくて癒されますね。
――もし格闘技をしていなかったら、どんな生活をしていたと思いますか?
普通の大学生として、バイトをしていたかもしれません。実際にはバイトをしたことはないんですが、飲食店のまかないとかに憧れます。友達がまかないをインスタにあげたりしているのを見て、いいなぁって思うこともありますね。
大久保 琉唯(おおくぼ・るい)
2004年9月12日生まれ、栃木県宇都宮市出身。K-1ジム・ウルフ TEAM ASTER所属。身長176cm 、体重55.0kg。ファイトスタイルはオーソドックス、入場曲はBTSの『Euphoria』。小学1年生の時に父親の影響でキックボクシングを始め、数々のアマチュア大会で輝かしい実績を残す。2021年にはK-1アマチュア全日本大会とK-1甲子園-55kgで優勝を果たし“K-1 GROUPの年間表彰式”「K-1 AWARDS 2021」のアマチュアMVPに選出。翌22年2月にプロデビューを果たす。同年6月「THE MATCH 2022」で那須川天心の弟・龍心に勝利し、9月にはプロ4戦目にして初代Krushフライ級王者に。24年9月「K-1 WORLD MAX 2024 -55kg世界最強決定トーナメント」で準優勝。戦績は10戦8勝(0KO) 2敗0分。
Hair&make:Anri Toyomori (PUENTE.Inc)
Photo:Kei Osada
*The information in this article is current as of the time of publication.
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