
湯浅亜実が金メダル獲得!圧巻のダンスで世界を魅了 ブレイキン~プレイバックパリ五輪2024~
パリオリンピックで初開催となったブレイキンでは、女子の湯浅亜実選手(ダンサーネームAMI)が決勝で3-0と快勝。金メダルを獲得し、歴史的な初代女王に輝いた。※メイン画像出典/Getty Images

パリ五輪“ブレイキン”をおさらい

ブレイキンは通称ブレイクダンスとも呼ばれ、1970年代のアメリカ・ニューヨーク、サウスブロンクス地区で発祥したストリートダンスである。ブレイキンはダンススポーツとしての側面も持ち、競技化されている。その特徴は、音楽に合わせて即興でパフォーマンスを行い、「技術」「リズム感」「創造性」などを競う点にある。競技形式は1対1あるいは複数人でのチーム戦など、さまざまなスタイルが存在し、DJが選曲した音楽は事前に知らされていない状態で選手が即興で踊る。ダンスは、トップロック(立った状態でのステップ)、フットワーク(床に近いポジションでの足さばき)、パワームーブ(回転や跳躍を伴う技)、フリーズ(動きを止めるポーズ)などの技で構成される。2024年のパリオリンピックでは初めて正式種目として採用され、世界各国から男女それぞれ16名の選手が集結した。9名の審査員が「技術」「創造性」「表現力」「多様性」「音楽性」の5つの基準で評価し、勝敗を決定する。
Playback: Hot moments from the Paris 2024 Olympics
男女それぞれで初代金メダリストに輝いたフィリップ・キム選手(ダンサー名PHIL WIZARD)と湯浅選手(ダンサー名AMI)の両選手は、大会を大いに盛り上げた存在だった。カナダ出身のフィリップ・キム選手は、ブレイキンの世界大会で数々の栄誉を手にしてきた実力者であり、彼のパワームーブや音楽との一体感は圧巻である。決勝では、冒頭から地を這うような技を決めて実力を見せつけ、最終3ラウンド目では、対戦相手とともに大歓声を受けながらの演技だった。

一方、日本の湯浅選手は、10歳からブレイキンを始め、その卓越した技術で世界のトップに立つ選手である。メンタル面も一流で、オリンピック決勝の舞台でも常に笑顔で演技を行っていたのが印象的だ。湯浅選手は世界でもトップクラスの技の多彩さを持っている一方、「どんな時でも楽しむこと」を体現してさまざまな表情を見せてくれた。両選手ともに、その創造性や独自のスタイルを活かして高い評価を受けており、今大会の金メダルをきっかけに世界のブレイキンシーンでさらなる存在感を示した。また男子で注目されていた半井重幸選手(ダンサー名Shigekix)は準決勝でキム選手に敗れて3位決定戦に回った。しかし、対戦したアメリカのビクトーバーヌーデス・モンタルボ選手に0-3で敗北。惜しくも表彰台に上がることは叶わなかった。
Playback Paris Olympics 2024 [Moments when Japanese athletes won medals]

ブレイキン女子で見事に金メダルを獲得した湯浅選手(ダンサー名AMI)は、決勝で3-0で優勝を果たした。決勝の相手は2023年に世界選手権を制したリトアニアのドミニカ・バネビチ(ダンサー名NICKA)選手だった。弱冠17歳ながらその才能は誰もが認める選手を相手に、3ラウンドにわたるバトルで圧倒的な技術と表現力を見せつけた。1ラウンド目のフリーズ、2ラウンド目のフットワークで圧巻の演技を披露し、3ラウンド目のミュージカリティ(音楽との一体感)は、審査員や観客を魅了して高得点を挙げた。湯浅選手の強みは、技のバリエーションの多さとそれらを一つの流れでつなぐダンスの完成度の高さにある。予選から決勝まで全15ラウンドを戦うなかで、1つの技も重複することなく新しいムーブを披露し続けたのは大きな勝因となったはずだ。ブレイキンでの金メダルは日本でも大きな話題となり、後進の選手たちにとっても大きな励みとなっただろう。
Athletes that the King Gear editorial team noticed at the Paris Olympics 2024
ブレイキン競技で日本人以外で注目を集めた選手といえば、男子で金メダルを獲得したキム選手(ダンサー名PHIL WIZARD)が筆頭に上がる。キム選手のダンスは、力強さとスムーズさを兼ね備えており、回転技や高難易度のトリックを次々と決めることで、審査員からも高評価を受けていた。準決勝や決勝でも3-0と対戦相手を圧倒し、この競技では頭一つ抜き出ているといってよいだろう。またオーストラリアのレイチェル・ガン選手(ダンサー名RACHEL GUN)も本大会で大きく注目を集めた選手の一人である。ガン選手のダンスはきわめて独特で、採点要素を一切無視したパフォーマンスを行っていたため、獲得ポイントは0点となり最下位に。本人の意図としては「芸術的でありたかった」とのことだったが、一部では厳しい批判にさらされている。ブレイキングは次回のオリンピックでは採用種目から外れているものの、ガン選手の言動により世界中から大きく注目を集めることとなった。
【湯浅亜実】パリ五輪の戦績

グループC 第1戦 ANTI:○2-0
グループC 第2戦 ELMAMOUNY:○2-0
グループC 第3戦 YING ZI:○2-0
準々決勝 SYSSY:○2-0
準決勝 INDIA:○2-1
決勝 NICKA:○3-0
*The information in this article is current as of the time of publication.
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