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「ランニングで広がる無限の可能性」ハリー杉山が描く挑戦の先にあるもの インタビュー Vol.3

ハリー杉山がランニングに本気で挑み始めたのは、子供の頃に父親と走った皇居でのジョギングが原点だ。「オールスター感謝祭」での優勝をきっかけに、彼のマラソン人生は大きく動き出す。全国に広がるランニング仲間、仲間と共に作り上げた「TEAM NASTY」、そしてついに達成したサブスリー。走ることで得た新しい自分、そして次に狙う未来。ランニングがもたらす無限の可能性と、挑戦し続ける男のストーリーに迫る。※トップ画像撮影/松川李香(ヒゲ企画)

IconIppei Ippei | 2024/10/11

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「ランニングで広がる無限の可能性」ハリー杉山が描く挑戦の先にあるもの インタビュー Vol.1

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「ランニングで広がる無限の可能性」ハリー杉山が描く挑戦の先にあるもの インタビュー Vol.2

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「父親とのジョギングが原点」マラソンに本気で向き合うまでの軌跡

―ハリーさんは、マラソンのイメージがすっかり定着していますが、そこに至るまでの背景はどのようなものだったのでしょうか?

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Photography: Rika Matsukawa (Hige Kikaku)

子供の頃、港区に住んでいたんですが、父親がよく外国特派員協会に行っていました。そこは海外のジャーナリストたちが集まり、時には大統領やスポーツ選手、ハリウッドスターたちが記者会見を行う場所でした。有楽町に向かう時、父親は皇居の内堀沿いをジョギングしていたんですが、僕も5~6歳の頃にそのジョギングについて行こうとしたのが、走ることとの最初の出会いでした。いつか父親に追いつきたいと思ったのが、走ることを追求するきっかけだったと思います。

―本格的にランニングに取り組むようになったきっかけは何だったのでしょうか?

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画像提供 / ハリー杉山(本人)

大きなきっかけは「オールスター感謝祭」での優勝でした。優勝できたのは嬉しかったですが、それ以上に、その後の経験が大きかった。アスリートや常連のランナー、森脇健児さんのような方々と走る機会があり、そこから本気で走ることに向き合うようになりました。

―「ランスマ倶楽部」など、さらにランニングの世界が広がっていったと聞きますが、それにはどんな影響がありましたか?

「ランスマ倶楽部」で金哲彦さんと出会ってから、フルマラソンの世界にどっぷりハマったんです。そこで、たくさんのマラソンの専門家やランニングに詳しい方々と知り合って、色んな知識を学びながら実践していくうちに、自然と全国にランニング仲間ができました。ランニングはただ体を動かすだけじゃなくて、仲間と繋がる大切なものになったし、走ることで体も頭もすごくクリアになるんです。脳科学者の茂木健一郎さんとも話したんですけど、走ると頭の中のパズルがピタッとはまるような感覚があるんですよね。悩みも整理されるし。

―ランニングが生活の中心になっているとおっしゃいますが、その点でもやはり仲間とのつながりが大きいのでしょうか?

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Photography: Rika Matsukawa (Hige Kikaku)

今ではランニングが完全に僕の生活の中心になっていて、仲間もどんどん増えています。僕が着ている『&MOSS』っていうブランドも、アパレルに勤めていた友人が僕を通じてランニングにハマって、自分で立ち上げたものなんですよ。彼も大きなリスクを背負って起業しましたが、今じゃ3シーズン目に突入しています。

「走ることの楽しさを広げたい」TEAM NASTYの挑戦と仲間との絆

―そういう沢山の出会いを通じて、ランニングコミュニティ「TEAM NASTY」が誕生したんですね。

そういうことです。シンプルに、走る仲間を増やしたいという思いから始まりました。レベルに関係なく、誰でも歓迎しています。メンバーはバラバラで、スーパーでマネージャーを勤めている方もいれば、出版社やwebデザイン、テーラーやタレントもいて、その多様性がとても楽しいんです。

―「TEAM NASTY」としての今後の挑戦や目標はありますか?

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画像提供 / ハリー杉山(本人)

毎年、チームのみんなで日本各地の大会に出場しているんですが、直近では9月末に『TOKYO ROKUTAI FES』に参加しました。僕は『6時間リレー』と『42.195kmリレー』のディレクターを務め、チームメイト19人と力を合わせて戦いました。結果は男女混合で4位!実は、走る前は「緩くやろうか」と話していたんですが、いざスタートすると、全員が自然と全力を出してしまうんです。それがまた、このチームの良さなんですよね。(笑)

さらに、11月には日光のトレイルマラソンも予定しています。メンバーそれぞれが自分の目標に向かって練習を続けていますが、カジュアルに楽しむメンバーも多く、気軽に参加できるのが魅力です。

記録も大事だけど、走ることで新しい自分を発見するのが一番の醍醐味ですね。初心者ランナーが自分のペースで楽しんで走ってるのを見ると、本当に嬉しいです。フルマラソンを2時間半で走れることもすごいけど、それ以上に、ランニングは人生を豊かにしてくれる方法の一つだから、誰にでもおすすめしたいですね。

「感覚が止まった40キロ」サブスリー達成までの壮絶な挑戦と感動の瞬間

―つくばマラソンで初めてサブスリーを達成された時のお話を伺いたいです。どのような思いでその挑戦をされたのですか?

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Photography: Rika Matsukawa (Hige Kikaku)

「ランスマ倶楽部」を始めた頃から、サブスリーはずっと目標でした。でも、半年練習すれば達成できるようなものではなく、道のりは本当に厳しかったです。最初はコロナ禍で大会がなく、江戸川沿いで挑戦しましたが、28キロでリタイアしてしまいました。そこからサブスリーへの挑戦が始まりました。

―その後の挑戦で、特に印象に残っている出来事はありますか?

2022年4月の長野マラソンが一番印象的です。父親が危篤状態の中で出場し、3時間13分を出しましたが、その後に父が亡くなったと聞かされました。そこから父の思いを胸に、さらに走り続けることを決意したんです。2023年3月の東京マラソンで3時間3分台まで来て、昨年のつくばマラソンでついにサブスリーを達成しました。

―サブスリーを達成した時の感覚はどうでしたか?

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画像提供 / ハリー杉山(本人)

周りの景色が止まって見えるような不思議な感覚でした。特に40キロ以降、普通なら足が動かなくなるところで、順調に進めたんです。そして母親が41キロ地点で応援してくれていたのも大きな力になりました。先輩ランナーたちが集団で風よけをしてくれたり、ペースを刻んでくれたおかげで達成できたと思います。

―11月の東北・みやぎ復興マラソンで自己ベストを目指されていると伺いましたが、現時点でのトレーニングの状況や、挑戦に向けた準備はどのような感じでしょうか?

そうですね、10月には「オールスター感謝祭」のレースがあるので、その調整も並行しています。感謝祭のレースは4〜5キロと短距離ですが、フルマラソンに向けての調整と並行して行わなければならない点が少し難しいですね。ただ、毎年のことで楽しみながらやっています。今日は、青学のフィジカルコーチである中野ジェームズさんのジムで肩甲骨や体幹のトレーニングをして、夜は坂道をひたすら上り下りするトレーニングを予定しています。

「一日一日が自己投資」40歳を前に描く10年後の理想の姿

―とても本格的なトレーニングですね。そのストイックさはどこから来ているのでしょうか?


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Photography: Rika Matsukawa (Hige Kikaku)

フィジカルトレーニングには自己投資として積極的に取り組んでいます。お金をかけることに全く抵抗はなく、それだけの価値があると信じています。これからの15〜20年が限界への挑戦だと思っていて、だからこそ毎日を大切に過ごしています。もうすぐ40歳になることもあり、体のケアには特に気を配っています。

「ストイックだね」とよく言われますが、僕にとってはこれが普通のことです。もちろん、プロのアスリートと比べればまだまだ甘い部分があるかもしれませんが、自分なりに努力しています。

今日はフィジカルトレーニングの前にリカバリーソックスを履いて、血行を促進しつつ、むくみ対策もしています。トレーニングウェアとしては、Tシャツの下にアーセナルのオーダーメイドタンクトップを愛用しています。

―ハリーさんが今後描いている理想の未来、例えば10年後や20年後の自分は、どんな姿でありたいですか?

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Photography: Rika Matsukawa (Hige Kikaku)

まずは、いつか父親になって、子供と一緒に父親がしてくれたように皇居の周りを走ったり、ボールを蹴ったりできたらいいなと思っています。それが個人的な理想です。

また、スポーツを通じて老若男女関係なく、誰もが楽しめる活動をもっと広めていきたい。それによって、みんなの「クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)」が上がるんじゃないかと思います。最近知った「ゆるスポーツ」なんかはとてもいい例です。靴下を玉入れのように集めて遊ぶシンプルなものですが、こういった活動が介護施設などで広まれば、人生の晩年ももっと楽しくなると思いますし、子供や孫と一緒に楽しめたら、社会全体が温かくなるはずです。

もちろん、僕自身の記録にも挑戦し続けます。次の東北・みやぎ復興マラソンで2時間55分を切ることが目標ですし、たとえ達成できなくても、来年以降も挑戦は続けます。来年には別府大分毎日マラソンや東京マラソンもありますが、走ることは常に僕の人生の中心であり続けてくれる存在ですね。


ハリー杉山 
2008年にスペースシャワーTVのMCとして芸能活動をスタート。日本語、英語、中国語、フランス語の4か国語を操る卓越した語学力を活かし、2011年よりJ-WAVEのナビゲーター、2012年よりフジテレビ「ノンストップ!」などで司会、リポーター、モデル、俳優としてマルチに活躍中。フルマラソンでサブ3を達成するほどのランニング能力や、サッカーにも精通している。