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「東京のリベンジをパリの舞台で」OWS日本代表・南出大伸が得意の“ラストスパート”で入賞誓う

東京五輪に続いて2大会連続のオリンピック出場権を獲得した、オープンウォータースイミング(OWS)男子日本代表・南出大伸。五輪という大きな経験をもとに、どんな3年間を過ごしながらパリ大会へ準備を進めてきたのか。本戦まで残り約1ヶ月。すぐそこにまで迫ってきたリベンジの舞台に向けて、いまの想いを聞いた。(※トップ画像:木下グループ提供)

Icon 1482131451808Principal Sato | 2024/06/09

パリ五輪への切符は「通過点」


ーー東京五輪を終えた後は、すぐに3年後のパリ大会へ気持ちを切り替えることはできたのでしょうか?
 
そうですね。東京五輪は、自分の足りない部分がはっきりと出た大会でもあったので、次戦に向けてその課題に取り組んでいこうと、スムーズに切り替えることができました。

ただ少しだけ、僕自身そんなつもりはなかったんですけど、燃え尽き症候群に陥っていた時期があったみたいで。コーチといろいろ話をしたおかげで落ち着くことができ、「また頑張ろう」と再出発したこともありましたけど、基本的には問題なくパリ五輪に気持ちを向けることはできたと思います。

ーーどういった課題が見えたのでしょう?
 
やはりスピード面です。単純な「速さ」だけで言ったら、外国人選手にはまだ及びません。スピード面の強化をメインにやりつつ、それを維持するための持久力向上を目的としたトレーニングにも力を入れていきました。

僕も今年で28歳。年齢を重ねるごとに徐々にスピードが遅くなってきている感覚があって、こればかりはどうしても避けられないものとして受け入れています。その中でどうタイムを伸ばしていけるか。いまはそこを意識しながら練習に取り組んでいるんです。

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本人提供
ーー具体的な練習メニューをお聞かせいただけますか?
 
主にスピードを維持し続けながら泳ぐメニューや、海でのレースに近いハードな練習を取り入れています。

たとえば、短距離に設定したサークルでインターバルトレーニングを何十本とこなしたり、5,000メートルという長距離のストレート練習を行ったり。それらをやり終えた後に短い距離を1本、ラストスパートをイメージして泳ぎ切ったら終了、みたいな感じのメニュー構成で日々取り組んでいます。

ーーとてつもない練習量ですね。そういった強化トレーニングの効果もあって、今年2月に行われたドーハでの世界選手権で結果を残し、再び五輪出場を決めることができた。
 
はい。ただ、前回の東京五輪では入賞できず、悔しさが残るレースだったので、今年のパリ大会では入賞以上の成績を残すことが目標。ですから、その通過点としてパリ五輪への切符があるわけなので、出場を決められたことは嬉しいですが、本戦に出るまではまだスタートラインにも立っていない状況として捉えています。


2大会連続での水質問題に不安も「信じて準備するだけ」


ーー現状に満足せず、さらなる高みを目指しているわけですね。南出選手は海外でのレース経験豊富ですが、パリ五輪のコース会場となるセーヌ川で泳いだことはありますか?
 
ありません。セーヌ川のもう少し上流の方ならレースで泳いだことはあるんですけど。ただそのコースについて不安視されていることがありまして……。昨年8月に開催予定だった、パリ五輪のテストケースと位置付けられたセーヌ川でのワールドカップが、数日前から大雨が続いた影響もあって川の水質が基準を下回り、中止となってしまったんです。

僕も出場する予定だったんですけど、レース当日に中止が発表されたので、パリに旅行へ行って帰ってきたみたいな感じになっちゃいました(笑)。

ーー前回の東京五輪のレース会場・お台場海浜公園でも水質汚染問題がありましたよね。
 
そうなんです。当時は正直、「本当にここで泳ぐのかな」と思いながら過ごしていました(笑)。実際のところ泳ぎには影響ありませんでしたが、本番で体調不良になって「出れませんでした」では周りの関係者や選考会で一緒に戦った選手たちに申し訳が立たないので、本戦前にお台場のレース会場で泳いだのは1度だけ。それ以外はすべてプールでの練習に切り替えました。

そういう経験があったので、パリ五輪でも同じようにならないか、そもそも無事にレースが開催されるのか、それだけが心配です。でも僕ら選手は出場できることを信じて準備をするだけ。セーヌ川で泳ぐことはできませんでしたけど、川沿いを歩いてコースの視察はしてきました。

どちらかというと、本当にプールみたいな環境で、前大会のお台場みたいな感じになるのかなとイメージしています。あとは周りの選手を見ながら、しっかりとポジション取りをしていく意識で臨んでいけたらと考えています。


パリの舞台で3年前のリベンジへ

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©木下グループ
ーーパリ五輪では、OWSを初めて見る方もいると思います。競技として「ここを見てほしい」という注目ポイントはありますか?
 
今大会は海ではなく川なので、よりブイ周りでの激しいコース取りが見どころになります。海よりも横幅がない分、密集度の高いレース展開が予想されますし、短時間にブイを2度回ることもあると思うので、さらに激しさを増すレースが繰り広げられるのではないでしょうか。

はじめは後方にいたはずの選手が、気付いた時には先頭に出ていたり、その逆もまた然り。「うわ、この選手いつの間にこんな前に来てたの!?」みたいな感じで、場面によってガラッと変わるような激しい順位争いは、見ていて面白いと思いますよ。

ーー最後に、パリ五輪に向けた意気込みをお願いします。
 
前回の東京大会では13位と入賞を果たせず、悔しい思いをしたので、そのリベンジという意味でも、入賞以上を目指して頑張りたいです。

ラストスパートでの競り合いでは負けない、というのは自分の中でずっと大きな自信として持ち続けています。だから本戦では、いかにその展開に持ち込めるかが重要なポイントになってくると思うので、そこだけしっかり注意しながら挑んでいきたいですね。