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井上康生さんインタビュー ~柔道のギアへの想いとは~

HEROs AWARD2019にアンバサダーとして出席されていた井上康生さんに、柔道をする上でこだわっていたギアや、監督として臨む東京オリンピックでの目標などを聞かせて頂いた。

Icon 16466945 810048175800857 1247399717 nKoike Kikuchi | 2020/01/22
――柔道で使う柔道衣などのギアについて聞かせてください。 

Inoue:国際柔道連盟に定められた柔道衣のルールがあります。例えば、使用して良い生地や襟の大きさはこのくらいまでなどと色々あります。そのルールに則ったうえで、それぞれがオーダーメイドで作っているのが基本かなと思います。   

個人は別として、全日本柔道連盟としてはミズノさんが昔から多大なるサポートをしてくださっています。   

――柔道衣の他に特に良く使うギアを教えてください。  

Inoue:やはり「柔道衣・帯・畳」がなくては競技としては成り立たないです。練習を終えたら畳を掃除し、柔道衣も使ったら洗い、常にそのものに関する感謝の気持ちを持ちながら使用させて頂いています。   

――学生時代に使用していた柔道衣とオリンピックに出場された際の柔道衣にはどんな違いがありましたか?   

Inoue:レベルが若干、変わったりしますが、何より嬉しかったのは日の丸が付いた道着を着た瞬間というのは、何とも言い難い喜びがありました。   

また、私自身が小学生の時に大会で父がミズノの道着を買ってくれた日のことも覚えています。   

それには日の丸が付いているわけではないですが、一流の選手たちが全員ミズノを着て戦っている姿を見ていましたから、やはりその瞬間というのは子供心の中でも大きな感動とエネルギーを頂きました。   

今、日本代表という立場の中で、あの柔道衣を着て戦うことは、それだけ大きな影響を子供たちや人々に与えているという使命感と責任感を持って戦わねばと常に思っています。

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――井上さんが日本で古くなった柔道衣を海外に送る(プレゼントする)活動をされていますが、やろうと思ったきっかけはなんですか?   

Inoue:リサイクル柔道衣というものをやり始めたのは、山下泰裕先生の恩師の佐藤先生(ロス五輪の柔道代表監督)がリサイクル道着というものを作られて、海外に数多く派遣されていました。   

山下先生のNPOで、その活動が非常に大きくなり、今は世界中の途上国の人達へはもちろん、国内の災害などで柔道着や畳がなくなった道場へも届けております。   

最近では日本財団さん(HEROs)とのタイアップで、被災地の例えば体育館で過ごさねばならない人達に「地べたのフローリングで寝るよりも畳で寝た方が生活しやすいのでは?」ということで、畳を届けるような活動もさせて頂いています。   

――東京オリンピックでの目標を教えてください。   

Inoue:先ほども使命や責任などの話をさせて頂きましたが、日本代表としての誇りと責任をしっかりと自覚したうえで「スポーツとは?オリンピックとは?柔道とは?」という理念を我々は理解したうえで戦っていくことが成功へと繋がっていくと考えています。

そのことにより、オリンピック・スポーツ・柔道の素晴らしさがより引き出されて、皆さんに理解して頂けるものだと思ってます。

競技面で活躍していくことでも、多くの方々にエネルギーを与えられると思っていますし、先ほども言った通り、しっかりと理念というものを理解して戦うことが50年後、100年後にこのスポーツが続いていける大きな要因となるのではないかなと思っています。

――最後に井上さんのギアへの想いを聞かせてください。   

Inoue:野球にしてもサッカーにしても柔道にしても、道具というものをなくして競技はなりたちません。   

根本的にものに対しての想いは、どうしても身近にあるので薄れていくものですが、当たり前じゃないというところの理解をもったうえで戦ってくことが大切です。   

そういうことを表に出していくことで、子供たちがそこから刺激をもらい学び、色んな活動に生かしてもらえたら良いなと思っています。   

全てにおいて皆さんに「スポーツって素晴らしい、柔道って素晴らしい、オリンピック目指したい!」と言ってもらえるような、そういうオリンピックにしていきたいなと思っています。   

【profile】 

Name 井上 康生(いのうえ こうせい)   

Birth 1978年(昭和53年)5月15日 宮崎県出身
   
Profession 
柔道家(六段) 
柔道全日本男子監督 
2000年シドニー5輪 男子柔道100キロ級 金メダリスト   

https://office-kosei.jp/ より引用