「歴史に名を刻みたい」日本代表DF冨安健洋の、“海外リーグ優勝”に向けて考えていたこと
2023-24シーズン、優勝争いを繰り広げるイングランドプレミアリーグアーセナルに所属する日本代表DF冨安健洋選手へのインタビューよりシーズンのリーグ戦でのできごとを振り返りながら、最終節エバートン戦を前に何を思っていたのか、冨安の思考を深掘りしていく。※トップ画像出典/Getty Images
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2年連続優勝争いを繰り広げるチーム“アナーセル”
2024-2025シーズンもリヴァプールにつぎ、ランキング2位につけるイングランドプレミアリーグのアナーセル。今季も優勝争いに食い込むことが予想されるアーセナルに所属する冨安。昨シーズンはマンチェスター・シティが2年連続で優勝、アナーセルはまたも涙をのむことになった。
そんなアナーセルに冨安への2024年5月13日インタビューより彼への優勝にかける想いが読み取れる。
例えばインタビュー前日は第37節マンチェスター・ユナイテッド戦。マンUに1対0で勝利している。この試合について富安は「マンチェスター・ユナイテッドとアウェーで対戦して勝ち点3を取ることは簡単なことではない。その中でクリーンシートに抑えてしっかり勝つことができ、最終節につなげられたのは良かった」と振り返った。
2023年も優勝争いをしていたが最後に失速し、アーセナルは2位に甘んじている。2023-2024シーズンも優勝争いを繰り広げるチームの状態を「ムダなプレッシャーを感じていない。昨年の経験が間違いなく今シーズンに活きている」と話していた。今季も冨安の最終ラインのポジション争いにもさらに注目が集まりそうだ。
2023‐24シーズン印象的だったできごとを振り返る
まずは第2節での退場劇について。スローインの遅延行為にイエローカードをもらったことを「スローインはデザインしながら練習しているので、簡単に投げたくない気持ちがあった」。またサポーターからのブーイングや、今季からプレミアリーグが遅延行為に厳しくなった点も、イエローカードの要因となったと話している。
その後、相手へのファールでイエローカードをもらい、累積2枚で退場。冨安選手はアンラッキーな部分はあったが、過去のことなので気にしていないと笑った。
続いては、驚きのポジショニングでファンを驚かせた第8節のシーン。左サイドバックの冨安選手が前線に入り、ゴールを演出した。ファンの間では、なぜあのポジションに冨安選手がいたのかと話題になった。
冨安自身は「正しいスペースを埋めていたからそこにいた」と試合後のインタビューでは答えている。本来サイドバックの冨安選手がボランチの位置へビルドアップすることで生まれる効果について問われると「マークのズレが生まれてフリーの選手が出てくる」と解説した。ルールというよりはアイデアのひとつで、対戦相手や試合のシチュエーションで変えているそうだ。
アルテタ監督のもと、アーセナルのサッカーを経験してサッカー観が変わった冨安は語る。「より細かいところまで考えさせられる。こういう考え方があるのかという驚きがある」。個人戦術で打開していくサッカーから、11人全体のチーム戦術で勝っていくことは、新たな学びだった。
リーグ戦第10節では、3年目にして待望のプレミアリーグ初ゴール。「時間がかかってしまったが、やっと得点を取れたとホッとした」と初ゴールを振り返った。
ケガに悩まされたシーズン、焦りの感情のコントロール方法とは
昨シーズンはケガに悩まされた冨安。自身のインスタグラムでは「ケガをしてしまったことにうんざりしているけれど、もっと強くなるための機会だと信じている」と英語で投稿している。
ケガをしたときの自分との向き合い方を問われると「難しい。試合に出られないもどかしい気持ちもある。アジカップ後の2ヶ月くらいは、ものすごく長く感じた」。焦りの感情については、コントロールできているのかわからないと話しながらも「体はちゃんと治るし、時間が解決してくれる。ピッチに立てる状態になったときにどれだけ良いパフォーマンスを出せるかということにフォーカスしている」と語った。
元々ネガティブな性格だという冨安は「いままでは、戻った瞬間にハイパフォーマンスを出さないといけないプレッシャーや焦りが、自分の中にあった。自分への期待値が高い分、それができないとより落ち込んで悪循環になってしいた」。あわてずに、今やるべきことをしっかりやると自分に言い聞かせるようにしていると話した。
「チームの一員として歴史に名を刻みたい」優勝への強い思い
アーセナルが優勝したのは2003-4シーズン。実に20年ぶりの優勝を目前にして、冨安は「タイトルをとることができれば、間違いなくチームの一員として、歴史に名を刻むことができる。それが一番大きい」と気合を入れる。まわりからの期待を感じるかとの問いには「いい意味で、今は外に意識を向けていない。自分がチームの中でやるべきことをやるだけ」と答えていた。
先日決勝トーナメント進出を決めたアナーセル。今季こそ王座を獲得できるのかーまだまだ目が離せない。
『緊急取材!冨安健洋 最終節直前インタビュー』(2024年5月19日(日)配信)より
※記事内の情報は放送当時の内容を元に編集して配信しています