Baseball team 1529403 1280

ジャイアンツが誇る“新・勝利の方程式”に死角はなし?豊富な投手陣を解析

多くの解説者や野球関係者が優勝予想をしていたが、現在3位(4月25日現在)に甘んじている読売ジャイアンツ。しかし、中継ぎ陣は12球団を見渡してもトップクラスだ。中日ドラゴンズから移籍してきた剛速球ストッパーのライデル・マルティネスをはじめ、昨季新人王に輝いた船迫大雅、WBC日本代表の大勢らがそろう中継ぎは「新・勝利の方程式」と呼ばれている。その豊富な投手陣のすごさを解説するとともに、数少ない不安要素と改善策を挙げていく。※トップ画像出典/Pixabay(トップ画像はイメージです)

Icon setodaiki ph 瀬戸大希 | 2025/04/29

歴代優勝チームには鉄壁の“勝利の方程式”が存在

長いペナントレースを戦い抜いてリーグ制覇をするために欠かせない要素として、中継ぎ投手陣の絶対的な安定感が挙げられる。

2005年の阪神タイガースの大躍進を支えた“JFK”ことジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之、同じく2005年に日本一となった千葉ロッテマリーンズの“YFK”こと薮田安彦、藤田宗一、小林雅英。2010年にリーグ優勝を果たした中日ドラゴンズの髙橋聡文、浅尾拓也、岩瀬仁紀の黄金リレーなどに代表されるように、優勝チームには必ずと言ってよいほど“勝利の方程式”と呼ばれる中継ぎ陣が存在してきた。

イニング終盤のプレッシャーがかかるシチュエーションを無失点で切り抜け、ゲームセットに導く彼らのような存在がいれば、先発投手は5、6回まで投げれば安心といったメリットがあり、早めにギアを入れて投げることができ、試合運びも楽になるのだ。

大型補強でジャイアンツに“勝利の方程式”が誕生

そんな“勝利の方程式”が今季の読売ジャイアンツに生まれた。

中日ドラゴンズから通算303試合登板で166セーブ、42ホールド、防御率1.71の成績をマークした剛腕ストッパーのライデル・マルティネスが2年契約で加入。すでにジャイアンツにはサイドスロー右腕・大勢が守護神として地位を確立。160キロに迫るストレートとフォークを駆使して昨季は1勝2敗、29セーブ、5ホールド、防御率0.88を記録していた。そんな大勢がマルティネスの加入によって8回を担うことになった。さらに、昨季51試合に登板して22ホールド、防御率2.37を挙げる活躍を見せ、新人王のタイトルを獲得した船迫大雅をはじめ、変則サウスポー・高梨雄平、西舘勇陽、助っ人外国人のバルドナード、ケラーらがおり、まさに盤石の“勝利の方程式”が完成したのだ。

“新・勝利の方程式”はココがすごい

では、ジャイアンツに誕生した“勝利の方程式”のすごさは何なのか?

まずは、9回を任されるマルティネスの安定感だ。ここまで9試合に登板し、防御率0.00で1勝7セーブ。外国人投手とは思えない無駄のないフォームで長身から投げ下ろす160キロ近いストレートと低めに決まるスライダー、チェンジアップ、高速スプリットは見極めが難しく、コントロールのよさも抜群だ。ジャイアンツ移籍後も調子を維持しており、相手打者をねじ伏せている。8回に配置転換した大勢も日本トップクラスの投手だ。当初はストッパーから転身を不安視する声もあったが、持ち場が変わった今季も1勝、6ホールドと好成績をマーク。伸び上がるようなストレートは高めでも打者が思わず手を出してしまうボールで、フォークの落差も一級品。昨季は右肩の違和感で2カ月間の離脱があったが、ケガの心配を感じさせない投球を披露している。

昨季の新人王・船迫も好調だ。手元で大きく曲がるスライダーを軸に防御率1.29をマーク。マウンドでの落ち着きもあり、連打を許さないのが魅力だ。また、ここ数年はケガで苦しんでいた中川皓太やシュートが持ち味の田中瑛斗の活躍も目立っている。

不安要素は外国人投手の不振

そんな最強中継ぎ陣に死角はないのか?強いて不安要素を挙げるとするならば、昨季中継ぎを担っていた外国人投手の不振だろう。昨季チーム最多の58試合に登板し、2勝3敗9セーブ、26ホールド、防御率2.44をマークした左のパワーピッチャー・バルドナードが不調で2軍に降格。現在はフォームの改善に励んでいる。また、昨季は被打率.147という驚異的な投球を見せたケラーも制球が安定せず、甘い球を打たれるケースが増えている。ともに昨季50試合以上を投げた外国人投手の不振が“勝利の方程式”に綻びをもたらすかもしれない。

方程式を担う投手を先発から持ってくるパターンも

外国人投手にやや不安要素はあるものの、船迫、大勢、マルティネスがいれば現状では大きな課題はなさそうだ。しかし、夏場にかけてスタミナが落ちる時期のことも考慮しておいたほうがよいだろう。

打たせて取るタイプの横川凱はイニング跨ぎもできる器用さがあり、中継ぎに適任。先発ローテーション入りをしている石川達也は決め球のチェンジアップが効果的で、短いイニングを任せるほうがチームに貢献できそうだ。また、ここまで先発として結果を出す赤星優志も中継ぎ経験が豊富で、配置転換も考えられる。

投手陣の戦力が豊富なだけに、ジャイアンツの“新・勝利の方程式”に死角はなさそうだ。