“加藤美優”、女子卓球“黄金世代”が登ったトップ選手への階段ーライバルやレジェンド・石川佳純らと築いた歴史
卓球女子の加藤美優は東京都武蔵野市出身。1999年生まれの加藤はジュニア時代から将来を嘱望されて国内外の大会で活躍し、2017年、2019年には世界選手権に出場するなど、一学年下の伊藤美誠、平野美宇らとともに“黄金世代”と呼ばれ、卓球界をけん引してきた。今回そんな加藤にキングギア がインタビューを実施。これまでの競技生活について聞いた。※メイン画像:撮影/松川李香(ヒゲ企画)

福原愛超えを達成し全国区へ
加藤は父親と興じていた温泉卓球がきっかけで楽しさに目覚め、本格的に競技を始めたのは6歳のころ。吉祥寺の祖父母のガレージに卓球台を持ち込み父と打ち合いを続け、美鷹クラブなどで腕を磨いた。
ジュニアの世代で頭角を現していたなか、小学生で出場した2012年の全日本卓球選手権の一般の部では福原愛以来となる5回戦進出で、1回戦からの4勝は“福原超え”。中学生となり迎えた2013年の全日本選手権でも福原以来となるベスト16まで勝ち進むなど、その名を全国に轟かせた。
「割とすぐに成績が出ていたので、どんどんステップアップしていく感じがありましたし、成績が出ていたので頑張ろうという感じ。一般の部もありましたが、各カテゴリーの大会があったので、そこで優勝していたという感覚が当時は強かったです」
若くして全国区で名を知られ始めていた加藤にとって、比較の対象になったのが、後の五輪メダリストたち。1学年下の2000年生まれには伊藤美誠、平野美宇、早田ひなという3選手がおり、幼いころから各大会で顔を合わせる存在だった。
「卓球を始めたタイミングからずっと戦っていた感覚で、幼稚園で私が始めた時には伊藤選手や平野選手はもう何年も卓球を続けていた。小学生による全日本選手権に出ていたので、私が本格的に成績が出始めた時にはずっとやっていた感じです」
リオ五輪でメダルを獲得した伊藤
シニアの舞台で若くして世界トップへの階段を登り始めたのが伊藤で、2015年の6月には14歳7カ月でトップ10入りを果たし、同年9月には翌年のリオ五輪の団体戦メンバーに選出された。そして迎えた2016年のリオ五輪では福原、石川佳純とともに団体戦銅メダルに輝いた。
「(伊藤選手は)勝負勘が自分より優れている感覚がありました。貼っているラバーの種類が違うので技術的には自分で真似はできなかったんですけど、思い切りがよくて、スマッシュにも向いているラバーだった。見ていて楽しい選手だったと思います」
伊藤と同学年である平野も2016年のリオ五輪ではリザーブメンバーに回ったものの、スタイルチェンジを図るなど自らの戦い方を模索。2017年には“ハリケーン・ヒラノ”と称された高速卓球を武器にアジア選手権で中国3選手を破っての21年ぶりのアジア制覇を果たす。さらに、世界卓球でもシングルスで48年ぶりのメダルを獲得するなど女子卓球界を席巻した。
「(平野選手は)最初は基本に忠実なタイプでしたけど、中学生の半ばくらいから攻撃的なプレースタイルに変わってきていて、そこから強くなった印象がある。(その辺りから)かなりいい選手になったと思います」
さらに、2017年には世界選手権に初出場を果たした加藤と同じ時代をともに過ごしてきたのが石川。ロンドン、リオ、東京五輪で3大会連続メダルに輝いた女子卓球界のレジェンドと加藤はコート外でも親交があり、石川が現役時代から行う卓球教室「47都道府県サンクスツアー」にゲスト出演もしている。「仲良しの先輩」と慕う石川は加藤にとってどんな存在だったのか。
「常に前向きな発言をする方で、そこは自分にはなかったこと。もちろんプレーは自分にできないプレースタイルができたりしたので、そこは凄いなと思っていましたし、前向きな行動や考え方は今でも素晴らしいと思って、真似するようにしたりしています」
慌ただしい日々のなか襲ったコロナ禍
タレントの宝庫となった日本女子卓球界のなかでも加藤は2度目の出場を果たした2019年の世界卓球の女子シングルスでベスト8入りするなど、トップ選手として最前線で存在感を示していた。2016年のリオ五輪の閉会式では次世代を担うアスリートとして映像が流れるなど、大きな期待がかけられていた一方で、切れ目がなく続く卓球選手としてのスケジュールに追われる日々でもあった。
「普段の練習が忙しすぎて、あまり一つひとつの物事にフォーカスする時間がなかったので、すぐに次の目標、次の目標という感じでした。この時期はいろんな大会に追われていました」
2018年の秋に始まった国内のTリーグにも日本ペイントマレッツの一員として参戦するなど充実の時を迎えていた加藤。そんななか、新型コロナウイルスによる中断期間を経験することに。家族が持病を抱えていたこともあり、新たなストレスが自らを襲うことになった。
「今までは遠征に行っていて、何かについて考える時間はほとんどなかったんですが、急に時間ができるといろいろ考え始めて不安になった。『お母さんにうつしてはいけない』となり、かなりパニックになって、すごく苦しかったです」
幼いころから「五輪や世界選手権に出たい」と希望を抱いていたなか、卓球選手として置かれた境遇やコロナ禍という特殊な状況を経験したことで、加藤自身の考え方には変化が生まれ始めた。東京五輪を終えて、パリ五輪への争いが繰り広げられている最中で、ひとつの決断を下すことになる。
加藤美優(かとう・みゆ)
1999年4月14日生まれ、東京都武蔵野市出身。父の影響で6歳から本格的に卓球を始める。2006年に全日本選手権大会 バンビの部 ベスト8、2012年1月の全日本卓球選手権大会女子シングルスでベスト32(5回戦)に進出し、当時史上最年少記録を確立。2016年に世界ジュニア卓球選手権のメンバーに選出され、団体で優勝、女子シングルスで銅メダル、ダブルスでは早田ひなとのペアで銀メダルを獲得。2019年世界選手権ブダペスト大会ではベスト8を記録した。2020年コロナ禍の中で行われたTリーグでは、シングルス13勝をあげ、後期MVPに輝いた。
Hair&make:Anri Toyomori (PUENTE.Inc)
Photo: Rika Matsukawa
FC Machida Zelvia's Souma Yuki: "Don't be afraid of challenges, enjoy the differences" - Moving forward with determination
FC Machida Zelvia's Yuki Souma: "The doubts and suffering are all for the sake of moving forward"
FC Machida Zelvia's "Soma Yuki" "If the ball goes to this player, something will happen" - The belief of this unorthodox dribbler

Ayumi Kaihori: "Women's soccer is a place where everyone can be the protagonist" - A place where everyone can get involved freely. This is what the WE League is aiming for now.

Beyond the world's best. Ayumi Kaihori talks about passing on the baton of Japanese women's soccer
