「ざんげノート」に本音を綴るーー女子ゴルフ“青木瀬令奈”プロが明かす“勝利のマインド”とは?
『U-NEXT GOLF 2025』新ラインナップ発表イベント後、青木瀬令奈選手に独占インタビュー。イベントではゴルフ映像の新たな活用法や、海外選手とのプレー共有の重要性を実感したという青木選手。さらに、競技人生において「過去や未来ではなく、“今”に集中すること」の大切さを語った。コロナ禍での葛藤やメンタル強化の秘訣、そして2025年にかける意気込みとは?青木瀬令奈選手が明かす、勝利へのマインドセットと新たな挑戦に迫る。※トップ画像撮影/松川李香(ヒゲ企画)

優勝の鍵は“振り返り”にあり?試合映像の重要性とは
――今日の『U-NEXT GOLF 2025』新ラインナップ発表イベントに参加された感想をお聞かせください。
そうですね。まず、少し話がずれるかもしれませんが、一番緊張したのは、小栗旬さんにお会いできたことですね。とても緊張しました。
でも、今日改めて感じたのは、海外の選手たちの頑張りを世界中どこでも見られるということ。そして逆に、私たちのプレーも海外の方々に見てもらえるという点です。
特に女子選手は、自分の試合中のスイングを見たいという人がすごく多いんです。そういった意見は、日頃から委員会でもよく取り上げられています。そのため、試合の映像を配信で巻き戻して、自分が見たいプレーを確認できるのはとてもありがたいです。
また、優勝シーンや自分が良かったときのプレーを振り返ることができるのも魅力ですね。例えば、少し調子が悪いときに「前の試合でのパットの打ち方はどうだったかな?」と見直せるのは、本当に助かります。実際、私も最近、エリエルの試合映像を見返していました。
――自己分析のためにも活用されているんですね。
はい。女子選手の多くは、自己分析や研究材料として映像を活用しています。さらに、一緒にラウンドしていない選手のスイングやプレースタイルをチェックするためにも使いますね。
特に、優勝した選手がどこをどうプレーして勝ったのかを分析するのは重要です。自分が予選落ちして悔しい試合でも、勝った選手がどんなプレーをしたのかを振り返ることで、来年の成長につなげられるんです。そういった形で活用することが多いですね。
勝負のカギは“今”にある!ミスを引きずらない思考法
――青木選手が本番で良いパフォーマンスを発揮するために、日々心がけていることはありますか?
そうですね。これは一般のアマチュアの方にも参考になると思うのですが、ゴルフで一番大切なのは、「過去と未来を考えないこと」。つまり、“今に集中する”ということです。
なぜかというと、過去のミスショットやOBを気にしたり、「さっきのパットを外してしまった…」と後悔したりすることは、良いプレーにつながりません。逆に、「このパットが入ればベストスコア更新だ」とか、「このショットが良ければ優勝できるかも」など、未来の結果を気にするのも良くないんです。
例えば、同じ2メートルのパットでも、それがバーディーパットであろうが、ダボパットであろうが、やるべき準備は同じはず。でも、「バーディーパットだから気合を入れなきゃ」とか、「ボギーパットだから慎重に…」と考え方を変えてしまうのは違います。大事なのは、その瞬間の“一打”に最善を尽くすこと。その積み重ねがスコアにつながり、ゴルフの本質である「いかに少ない打数で上がるか」という部分につながるんです。
――“今に集中する”という考え方に至った、何かきっかけはありましたか?
私にとって大きかったのは、2020年と2021年のコロナ禍のシーズンです。2020年は試合が13試合しかなく、ステイホームの時間が増えました。そんな中で、「これからどうしよう」と不安になる選手が多く、私自身もモチベーションの持ち方に悩んでいました。
試合が少ないと、「3年後、5年後に向けて資格でも取ろうかな」とか、先のことばかり考えてしまうんですよね。実際、当時の私はランキング65位で、このままシーズンが終わればシードを失う状況。「QTを受けるべきか」「何歳までゴルフを続けられるのか」「いっそ引退もありか」…そんなことばかり考えていました。
そんな時、大西コーチから言われた言葉が転機になりました。
「レギュラーツアーにいることは、小さい頃から夢見ていた場所。自分の足で降りる必要はない。落ちてから考えたらいい」
確かに、その通りだと思いました。過去のことを悔やんだり、起こるか分からない未来を不安に思ったりするより、「まずはここから1年間、ゴルフだけに集中しよう」と決意しました。そして、美容室やネイル、好きだった宝塚や漫画、ゲームも一切やめて、すべての時間をゴルフに費やしました。
すると、わずか1ヶ月後に優勝できたんです。
この時、「トップ選手たちはこういうマインドでプレーしているんだ」と気づきました。たとえば、上田桃子さんや申智愛さんのような選手は、やっぱり一線を越えたマインドを持っている。自分のプレースタイルやメンタルの持ち方を見つめ直した結果、“今に集中する”ことの大切さが見えてきたんです。
「ざんげノート」に綴る本音。誰にも見せない自己対話の重要性
――そこから、さらにメンタルが強くなったんですね。
そこからは自分なりの「勝ち方」が見えてきました。たとえば、ゴルフを楽しみながら勝つ選手もいますが、私はどちらかというと「苦しみながら勝つタイプ」。だからこそ、修行僧のように自分を追い込むことが必要だったんです。
実際、私は「何かを犠牲にしないと何かを得られない」というタイプ。遊びを削り、趣味を断ち、ゴルフにすべてを注ぐ。ゴルフは保証がない世界なので、ケガをすれば収入はゼロ。来年どうなるか分からない状況だからこそ、“今やるべきこと”をやるしかない。引退後にできることは、その時にやればいい。
それに気づいたのが、ちょうど2021年頃でした。その結果、毎年優勝できるようになりました。
――凄いですね!考え方がひとつ変わるだけで、劇的な変化となったんですね。
私は「ざんげノート」という日記をつけているのですが、これは一般的なゴルフノートとは違い、“人には見せられない”ような本音を書くノートです。女子選手はよくゴルフノートを書いていますが、それは誰かに見せられる内容。でも、本当に自分と向き合うためには、ぐちゃぐちゃでもいいから、誰にも見せないノートを書くことが大事なんです。
また、私は移動中の3時間も、音楽を一切流さず、「どうやったら勝てるのか?」をずっと考えています。毎日そのサイクルを続けていると、優勝に近づいている感覚が生まれてくるんです。
大事なのは、「近道はない」ということ。でも、努力を積み重ねることで、確実に勝利が近づいてくる。そして、それは自分の周りにいる人にも影響します。自分が変われば、周囲の人も変わり、良い流れができてくるんです。そうやって自分自身と向き合い続けた結果、今があります。
課題は“結果につなげること” 2025年の挑戦が始まる
――2025年が始まったばかりですが、どのような一年にしたいと考えていますか?意気込みをお聞かせください。
そうですね。昨年は久しぶりに優勝を逃してしまい、悔しい一年となりました。しかし、その中でもスタッツ(成績データ)を見ると、10項目以上で自己ベストを更新しており、自分自身の成長を実感しています。
周りの選手たちのレベルがますます上がる中で、優勝というのはタイミングも大きく影響するもの。それでも、確実に前進していることがデータとして表れているのは大きな収穫でした。
あとは、この成長をしっかり結果につなげることが課題。2025年は、複数回の優勝を目指し、全力で挑戦していきたいと思います!
青木瀬令奈(あおき・せれな)
1993年2月8日生まれ、群馬県出身。7歳でゴルフを始め、2008年「全国高校選手権」で優勝。2011年にプロテストに合格し、17年「ヨネックスレディス」でツアー初優勝。20年にはプレーヤーズ委員長に就任し、23年には「大王製紙エリエールレディス」で5勝目をあげる。国内女子ツアーの顔として『JLPGAブライトナー』に2022年から4年連続で選出されている。趣味はピアノ、阪神タイガースのファン。
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