
The brilliance that lies beyond difficulties: What "Kasamatsu Masaru" learned from soccer
俳優として日本国内だけでなく、海外でも注目を集める笠松将。その表現力の源に、意外な原点が隠されている。小学生時代、周囲に流される形で始めたサッカー。特別な情熱があったわけでもなく、むしろ友人と過ごすために続けていたというが、ゴールキーパーというポジションを通じて、彼は独自の視点や感性を磨いていった。レアル・マドリードのスター選手たちへの憧れ、困難を乗り越えたチェフやセザールといった選手たちのストーリーに心を動かされた経験は、俳優としての表現にも深い影響を与えている。笠松将が語る、サッカーから得たインスピレーションとその軌跡とは?※メイン画像:撮影/松川李香(ヒゲ企画)

スター選手揃いのレアル・マドリードに心を掴まれて

――スポーツに関わるきっかけは何だったのでしょうか?
サッカーですね。でも、正直なところ、もともとスポーツにのめり込むタイプではなかったんです。小学生の頃、周りの雰囲気で『部活やクラブチームに入らなきゃ』という空気があって。それで、みんながやっているからという理由で僕もサッカーを始めました。ただ、特に得意でもないし、上手でもなくて。当時はサッカーそのものに特別な思い入れはなかったんです。
――それでも続けていらっしゃったんですよね?
そうですね。でも、それはサッカーが好きだったからというより、友人がいたからなんです。友人と一緒に過ごせるのが楽しくて続けていた感じですね。朝練も正直サボりがちで、できるだけ省エネでやってました。『上手くなりたい』と思ったことは一度もありませんでした。
――その頃、観る方のスポーツには興味はありましたか?好きなチームなどは?
観る方ではレアル・マドリードが好きでした。熱烈なファンというほどではないですが、試合を観るならやっぱりレアルでしたね。スター選手が多くて、華やかで見応えがあったんですよ。例えば、スポーツショップに行くとレアルのユニフォームは必ず置いてあるけど、他のチームのものはほとんど見かけない、みたいな状況もあって。それが自然とレアルへの親近感につながったのかもしれません。
――当時、レアル・マドリードは日本でも試合をしていましたよね。
そうなんですよ。僕が小学生の頃、トヨタカップが日本で開催されていて、一度ミスタードーナツのチケットキャンペーンで応募したら当選したことがあったんです。でも、運悪く試合の日が夏の合宿と重なってしまって、行けなかったんです。その時は本当に悔しくて、『絶対に合宿よりレアルの試合を観た方がサッカー上手くなるだろ!』なんて思い込んで、泣きそうでした。
やむなく選んだポジション、それでもゴールを守り続けた理由
――笠松さんがプレイヤー時代に担当していたポジションは?
ゴールキーパーです。ただ、正直言うと、それも他にやる人がいなかったから自然とその役割になっただけで、特にこだわりがあったわけではないです。それほど情熱を持ってやっていたわけではないですね。
――好きなゴールキーパーはいましたか?
僕らの世代だとブッフォン、カシージャス、ファン・デル・サールといった選手たちが挙げられますね。ただ、ゴールキーパーというポジションはどの選手も1つのミスを大きく取り上げられるポジションでした。大事な試合でやらかしてしまったり、イージーミスでキャリアが変わってしまう可能性があります。でも、その中でもブッフォンは別格でしたね。彼のプレーと共にワールドカップではピンクや金色のユニフォームを着ていたのがすごくかっこよかったのを覚えています。

――ゴールキーパー独自の「スタイル」に注目されていたと?
そうですね。見た目やスタイルは確かに気になりました。ただ、それだけでなく、それに見合ったプレーがないと格好悪いですよね。例えば、シュートブロックの能力が高いとしても、足元が下手だとすごい指摘されるし、伝統的な一戦で超ファインセーブでヒーローになることもあるし、僕らの時代は特にそういうゴールキーパーが多かった印象です。特にブッフォンは、ゴールキーパー専用のブランドがある中で、あえてプーマを使っていたのがまた魅力的でした。王道から少し外れた感じがたまらなくかっこよかったですね。
ヘッドギアが生んだ伝説、チェフのストーリーに心奪われて

――チェフについて、印象に残っていることはありますか?
ありますね。チェフと言えば、やっぱりあのヘッドギアのインパクトが強烈でした。しかも、試合中に彼のパントキックでゴールが決まったのを見たことがあるんです。それで試合が逆転して、ものすごく興奮したのを覚えています。それに、彼が頭蓋骨骨折という大事故から復帰した話も感動的でした。チェコ代表としての苦労も含めて、ただの選手ではなく、ストーリーを持った人というところが魅力でしたね。
――ストーリー性のある選手に惹かれるんですね?
そうですね。ただ上手いだけの選手よりも、何か困難を乗り越えたり、個性が際立っている人に心を動かされます。それがチェフであったり、ブッフォンであったりしたんだと思います。
笠松 将(かさまつ・しょう)
1992年生まれ、愛知県出身。2013年から本格的に俳優として活動。2020年『花と雨』で長編映画初主演を果たし、近作ではドラマ『君と世界が終わる日に(Hulu)』、配信作品『全裸監督2(Netflix)』、主演映画『リング・ワンダリング』、日米合作『TOKYO VICE(HBO max)』、『ガンニバル(Disney+)』などに出演。2022年、CAAとの契約を発表し、国内外で活躍する。2023年、個人事務所設立。
Hair&make:Ryo Matsuda
Stylist:Masahiro Hiramatsu
Photo: Rika Matsukawa
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