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バドミントン界の至宝・桃田賢斗「人生のどん底から、もう一度世界へ」苦難から這い上がりコートに向かい続ける原動力とは

日本男子バドミントン史上初となる、世界ランキング1位獲得を成し遂げた桃田賢斗。シングルス年間最多勝利数のギネス記録を持つ“無敵の絶対王者”が、配信サービス「Lemino」のドキュメンタリー番組『Number TV』にて、選手生命を脅かした2度の“挫折”について語った。※トップ画像出典/Getty Images

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自らの過ちにより無期限の大会出場停止処分に

桃田選手は、学生時代から早々に、その才能を開花させた。バドミントン界のエースとして頭角を表し、2014年開催の国別対抗戦トマス杯にて、歴史に残る日本男子初優勝に大きく貢献。破竹の勢いで快進撃を続けていった。しかし、2016年に違法賭博問題が発覚。リオ五輪最有力候補として期待されるなか、桃田選手は道を踏み外し、無期限の大会出場停止処分を受けてしまう。

「もうバドミントンできないんじゃないかなと思っていた。自分みたいな人を取ってくれるチームも、ないと思っていましたし。でも、チームがもう一回チャンスをくれたので、ここで本当に変わらなきゃいけない、バドミントンで“恩返ししたい”と思って練習していた」と当時の心境を語った。

もがき続けた謹慎期間に恩師の言葉が新境地を開く

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画像提供/ NTTドコモ Sports Graphic Number

先行きの見えないなか、ひたすら練習に打ち込む日々。どん底の桃田選手は、自らの考え方を改めた恩師として、所属チームNTT東日本元監督・須賀隆弘氏の名を挙げる。

「競技ができることは当たり前ではない。いろいろな方からの支え、応援があるからこそ今がある」。そんな須賀氏の教えに感銘を受けた桃田選手は、自らの人間性を高めるべく、挨拶や掃除といった当たり前の行動を徹底し、ゴミ拾いなどの社会貢献にも積極的に取り組み続けた。

その謙虚な姿勢は、練習法やプレイスタイルをも進化させていく。

「謹慎中は、自分と見つめ合って練習をしていた。ウェイトやフィジカルトレーニングは嫌いで、やらないように逃げていたんですけど、この時は自ら率先してやるくらい気持ちから変わっていた。プレースタイルも、自分が決めて取るよりも、相手が嫌がるまで我慢して我慢して、粘り勝つディフェンス型に変わった」と振り返った。

世界を相手に無双するも…輝きを取り戻した直後の“不運な事故”

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Source: Getty Images

2017年に出場停止が解かれた桃田選手は、復帰戦優勝を皮切りに、世界選手権優勝、世界ランク1位獲得と、向かうところ敵なしの活躍を見せる。地道なフィジカル練習が結果に現れ、自身初となる五輪出場を控えた2020年。桃田選手は、交通事故により右目の眼窩底骨折という重傷を負う。

そこから後遺症を抱えながらも、桃田選手はたゆまぬ努力を続けた。

「思い通りに体が動かなかった。やっていてもいつもと感覚が違う」と歯痒さを感じながら、「感覚が悪いなら、フィジカルで補うしかない。“越えられない試練は与えない”じゃないですけど、なんとかこの事故を乗り越えて復活したい」と、ストイックにバドミントンに向き合った。

事故から11ヶ月後。桃田選手は全日本総合選手権にて復帰し、優勝を飾る。感覚のズレに苦しみながらも、翌年2021年に開催された東京五輪出場を成し遂げた。

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画像提供/ NTTドコモ Sports Graphic Number

桃田選手にとって“挫折”とは“強くなる前の準備期間”

自らの過ちや、不運な事故という窮地を乗り越え、桃田選手は戦い続けてきた。そんな桃田選手にとって“挫折”とは、どのようなものだったのか。

「“挫折”とは、“強くなる前の準備期間”。挫折って、すぐには切り替えられない、何も手につかないぐらいショックで落ち込むものだと思う。けれど、そこで“何が足りないのか”自分を見つめ直していく。自分の弱いところを見つめるのは、しんどいし絶対やりたくないことだけれど、それを達成できた人が本当に強くなれる」

“バドミントン界に貢献したい”。その想いから、桃田選手は日本代表引退を表明した。“後進育成”という新たな境地を見据え、バドミントンを通して“支えてくれる人への恩返し”を続けていく。

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画像提供/ NTTドコモ Sports Graphic Number


『NumberTV』挫折地点~あのとき前を向いた理由~
タイトル:#10 桃田賢斗
配信日:2024年9月26日(木)0:00~ 全24回配信(月2回配信予定)
content: トップアスリートの「挫折」と「復活」をテーマにしたドキュメンタリー番組。過去の写真が飾られた特別な空間(Number Room)で、アスリート本人がこれまでの人生を振り返り、挫折の瞬間や前を向けた理由について語る。

※記事内の情報は配信時点の情報です