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Randy Bass talks about Hiroki Makihara, "He's a wonderful person to me" and the "fateful showdown" that came true in the dream match was decided with a smile

1985年から2年連続で三冠王に輝いた元阪神の“史上最強の助っ人”ランディ・バースが8月5日、プロ野球OBが集う年に1度の“夢の球宴”『サントリードリームマッチ2024』に登場した。阪神やオリックスで活躍した能見篤史との“元虎戦士対決”や、元巨人・槙原寛己との“バックスクリーン3連発”の因縁対決など、夢のマッチアップが実現。その都度、観客からの凄まじい大声援が球場を包み込んだ。※トップ画像撮影/井上尚子

Icon 1482131451808Principal Sato | 2024/09/19

現役時代の盟友やライバルとの再会心待ち「今もいい関係」

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試合前にインタビューに応じるバース(撮影/白鳥純一)

今年で28回目の開催となったサントリードリームマッチだが、そのうち27回とほぼ毎年出場しているバース。試合前には、見慣れた背番号「44」のユニホームを身にまといながら、ヒゲを蓄えた優しい表情でインタビューに応じてくれた。

コンディションについては「最近はまったく練習してないんですけど、昨年と今ちょっと練習したので、あとは記憶で頑張っていきます」とコメント。続けて「いつも一生懸命やっていますし、僕も今回もまたヒットが打てるように頑張ります。そしてチームが勝てるように」と意気込みを語った。

毎年、1983年から6年間在籍した阪神時代のチームメイトや、当時対戦した投手たちとの再会を心待ちにしているバース。この日も「阪神で一緒にプレーをした田尾安志さん、(元広島の80年代最強の4番)山本浩二さん、(現役時代に対戦した元大洋・横浜の投手)齊藤明雄さん」の名前を挙げ、喜びの表情で「今もいい関係が築けている。一緒にプレーして毎年会えることを嬉しく思います」と話した。

最後に「皆さん、必ず楽しい時間を過ごせると思いますので、どうぞ楽しんでいってください」とメッセージ。「Thank you!」と記者ひとりひとりに丁寧にあいさつをしながら、取材エリアを後にした。

“元虎戦士”同士の真剣勝負に見たリスペクトの精神

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2回裏に打席に立つバース(筆者撮影)

試合が始まり、注目の対決は1打席目から実現した。2回裏、ザ・プレミアム・モルツ球団の攻撃、「4番DH・バース」のアナウンスが場内に響き渡ると、観客のボルテージは一気に最高潮に。その大歓声のなか、かつての“最強助っ人”は、左バッターボックスへゆっくりと歩みを進めていった。

相対するのは、現役時代は阪神のエースとして2ケタ勝利を5度記録した、能見篤史。時代は違えど、阪神で一時代を築いたレジェンドのふたり。タイガースファンにはたまらない“元虎戦士対決”が幕を開けた。

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バースを相手に全力で勝負を挑む能見(筆者撮影)

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空振り三振に倒れたバース(筆者撮影)

能見は代名詞でもある美しいワインドアップでの投球を披露。その豪快な投げっぷりは、現役さながらだ。それに対し、バースは積極的にスイングを仕掛けるもバットは空を切る。

その光景を見た実況からは「容赦ありませんね、能見篤史さん」と思わず心の声が漏れる。さらに「能見さん、バースですよ?神様ですよ?能見篤史さん。よろしくどうぞ」と冗談交じりに問いかけた。そのまさかの“イジリ”に、観客からは笑いと歓声が飛び交った。

それでも能見は集中した表情を崩さず、黙々とキャッチャーミットへ投げ込んでいく。真剣に、全力で勝負する姿勢は、相手へのリスペクトがあるからこそ。その力強いボールから、能見の思いを感じたバースも、3球すべてをフルスイングで応える。結果は3球三振に終わったものの、両者の魂のこもったプレーに、球場からは大きな拍手が送られた。

因縁の対決、再び!そして笑顔の結末

4回裏の第2打席では、「バッターは、4番バースが足が痛いので、バッターは古田(敦也)」とアナウンスされ、代打を送られ交代。場内は大爆笑に包まれた。バース本人も、笑いながらベンチでチームメイトとグータッチ。山本浩二監督も「ナイスパフォーマンス」と言わんばかりに拍手で讃えていた。

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6回裏にマウンドに上がった槙原(筆者撮影)

6回裏には、“ミスターパーフェクト”こと槙原寛己がマウンドに上がった。巨人同期で長年バッテリーを組んだ村田真一がマスクをかぶる。

すると、ザ・プレミアム・モルツのベンチが慌ただしくなり、再びアナウンスが鳴り響く。

「4番古田が足が痛いので、バース」

その瞬間、割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こった。その時の会場を包み込んだ熱気と大声援は、この日1番と言っても過言ではない。バースもその独特の空間を噛み締めつつ、第1打席同様ゆっくりとバッターボックスへと向かっていった。

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槙原との“因縁対決”に臨むバース(筆者撮影)

このふたりと言えば、1985年4月17日の伝統の一戦(甲子園)で生まれた、球史に残る名シーンである“バックスクリーン3連発”を思い起こす人は多いだろう。その1本目を打ったのがバースで、打たれたのが槙原だった。

「あのホームランはすごく覚えていますし、あれがあったから1985年は優勝できました」

あれから約40年。当時の三冠王はいまでも「槙原とはいつも対戦したいと思っている」という。試合前には「最後に対戦してからもう4〜5年経っちゃったので、久しぶりにやりたい」と話していたが、その願いが、数年ぶりに“因縁の対決”を引き寄せた。

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2球目を捉えるもピッチャーゴロに倒れたバース(撮影/井上尚子)

その初球は高めのストレート。バースはボールを見逃しストライクを奪われる。そして2球目、ストレートを弾き返し、その打球はセンターへ抜けるかと思われた。しかし、槙原が見事なフィールディングを見せ、因縁の相手をピッチャーゴロに仕留めた。

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ピッチャーゴロに倒れ、笑顔で槙原(右)にタッチされるバース(左)(撮影/井上尚子)

そのまま槙原が自ら走り寄り、バースに直接タッチ。ふたりは​​満面の笑みを浮かべながら、ガッチリと握手を交わした。観客からも温かな拍手が送られ、ふたりの“時を超えた再戦”は幕を閉じた。

槙原への想い、来年への期待

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最後の打席を終え、ベンチに戻るバース。ファンからは温かく出迎えられた(筆者撮影)

この日はヒットこそ生まれなかったものの、プレーを通じて感動や笑顔を生み出したバース。ひとつひとつのスイングにファンは沸き、そのサービス精神によって会場は笑いにあふれていた。

なにより、バース自身がこの日の“夢の時間”を満喫していた。とくに槙原と1対1で向かい合った最終打席は、何にも代えがたい最高の瞬間だっただろう。

試合前には「槙原を有名にしたのは、僕たちのバックスタンドへの3連続ホームランだと思うので、槙原は僕にもっと敬意を払っていいはずなんだけど(笑)」とジョークを挟みつつも、「すごい良いピッチャーだったし、僕にとってももう素敵な人です」と特別な存在として親しみ、尊敬の気持ちを口にしていた。

すでにバースは、次回の対決に向けて、槙原の球を打ち返すイメージを膨らませながら日々を過ごしているのかもしれない。果たして来年は、この日の“リベンジ”を果たす打席になるのだろうか。期待は高まるばかりだ。