復活目指す三笘薫は開幕で圧巻のMOM獲得 初参戦の鎌田大地、菅原由勢はインパクトを残せるか プレミアリーグに挑むサムライたちの現在地
イングランド・プレミアリーグの2024-25シーズンが幕を開けた。新たに迎えたシーズンで注目を集めるのが日本人選手たちの活躍。今夏の移籍市場では2選手が新たにイングランドに上陸し、5人のサムライたちが世界最高峰のスピードと強度を誇るプレミアリーグの舞台でプレーする。今回は開幕を迎えた選手たちの現状とこれからについて触れてみたい。※トップ画像出典/via Getty Images
遠藤航(リバプール)
昨夏の移籍市場でドイツ・ブンデスリーガのシュツットガルトからプレミアリーグの強豪リバプールに電撃加入した遠藤航。ユルゲン・クロップ前監督のもと、前半はカップ戦での起用やリーグでは終盤の途中出場が中心だった遠藤だが、中盤戦から後半戦にかけてはアンカーの主力としてプレーし、チームの3位フィニッシュとチャンピオンズ・リーグ出場権獲得に貢献した。
迎えた今季はクロップ前監督に代わり、オランダ・エールディヴィジのフェイエノールトを率いていたアルネ・スロットが新たな指揮官として招かれた。後ろから繋いでいくポゼッションを志向するオランダ人監督は細かいスペースでボールを受けることができ、最終ラインと前線をつなぎ、配球役を担う選手を好む傾向がある。
開幕戦にはライアン・フラーフェンベルクが起用され好パフォーマンス。アレクシス・マック・アリスターやドミニク・ソボスライ、カーティス・ジョーンズなど足元の技術に長けたスカッドを抱えるリバプールのなかで、遠藤は守備面だけでなく攻撃で違いを出して、新たなポジション争いを勝ち抜いていけるか。
出典:Liverpool FC via Getty Images
三笘薫(ブライトン)
昨季はシーズン序盤は好パフォーマンスを見せながらも、シーズン途中で腰の怪我のため長期離脱。リーグ戦では19試合出場で3ゴールと不完全燃焼に終わった三笘薫にとって、今季は復活をかけた1年となる。
そんななか、怪我からの順調な回復を見せて日本で行われたプレシーズンツアーにも出場した三笘は、開幕戦のエバートン戦に先発出場すると、いきなり先制弾を沈め、試合を通して左サイドからの仕掛けで脅威に。前からのプレスで退場を誘発する決定的なドリブルも見せるなど、圧巻のパフォーマンスで終了間際までプレーした三笘は、マン・オブ・ザ・マッチに輝く活躍をみせた。
ブライトンは今季、ロベルト・デ・ゼルビ監督に代わり、ファビアン・ヒュルツェラーが指揮官に就任。ドイツでキャリアをスタートさせたヒュルツェラーは史上最年少である31歳の若さでプレミアの舞台で指揮をとる。そんなチームにおいて、怪我が癒えた三笘には左サイドからの仕掛けの切り札として期待がかかっており、1シーズン稼働しての2桁得点や2桁アシストといった目に見える結果で飛躍のシーズンにしたい。
冨安健洋(アーセナル)
加入3シーズン目を迎えた昨季は主に左サイドバックとして存在感を高め、守備において貴重なマルチロールとして活躍。リーグ戦で2位と最後までマンチェスター・シティと優勝を争ったチームにおいて、冨安健洋が担った役割は小さくなかった。
日本代表でも大黒柱に成長した冨安だが、毎シーズン悩まされるのが怪我による途中離脱で、今季もキャンプ中の負傷によりウルヴァーハンプトンとの開幕には間に合わなかった。チームにはこれまでレギュラーを争ってきたオレクサンドル・ジンチェンコに加えて、セリエAのボローニャからリッカルド・カラフィオーリを獲得。さらに、昨季早々に離脱していたユリアン・ティンバーも開幕戦に出場しており、今季の優勝候補と目されるアーセナルのポジション争いは熾烈である。
ミケル・アルテタ監督のもと年々完成度を高めてきたチームで冨安自身もプレーの幅を広げて、選手としてスケールアップした姿をみせているだけに、コンディションを保てるかが今後のキャリアを考えても鍵を握るだろう。
出典:Arsenal FC via Getty Images
菅原由勢(AZ→サウサンプトン)
森保ジャパンの右サイドバックとして存在感を高めた菅原由勢は、ステップアップを求めて今夏にオランダから移籍を決断。さまざまなクラブが候補に挙がったなか選んだのは吉田麻也や南野拓実といった選手がプレーしてきたサウサンプトン。
持ち前の明るさでチームにも溶け込みプレシーズンでアピールに成功すると、開幕戦のニューカッスル戦に右ウイングバックで先発出場を果たした。昇格組のサウサウンプトンにとっては格上の相手となった試合で、菅原は前へ仕掛ける場面が見られ相手DFのイエローカードを誘発。さらに、得意のサイドからのクロスで決定機を演出するなど奮闘をみせたが、相手に退場者が出て、かつリードを許した状況で前半戦のみの出場となった。
それでも、上々のプレミアデビューを飾った菅原は、攻撃では右足で得点を演出し、守備では圧倒的なフィジカル、スピードを備えるアタッカー陣との対峙における対応が求められる。サウサンプトンで研鑽を積み、攻守に進化を遂げられるかは注目したい。
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鎌田大地(ラツィオ→クリスタルパレス)
昨季はフランクフルトからラツィオに加わりイタリア・セリエAに参戦した鎌田だったが、前半戦の半ばにかけて徐々にプレー機会を失う苦難を経験。後半は監督交代もありレギュラーでプレーしたものの、1シーズンで新天地をクリスタルパレスに求めた。
イングランド初挑戦となる鎌田にとって心強いのがオリバー・グラスナー監督で、フランクフルト時代に指導を仰いだ恩師との再会となった。プレシーズンからチームに馴染んだ様子が見られ、開幕のブレントフォード戦には2シャドーの一角として先発出場。中盤で何度もボールを引き出し、ボランチと前線をつなぐリンクマンとしての役割を担った。
グラスナー監督にとっても、フランクフルト時代に共闘している鎌田の存在は、上位進出を狙うチームにおいて鍵を握る。シャドーだけでなく中盤でも起用可能な鎌田は今季のクリスタルパレスを支える屋台骨として期待がかかる。苦難のイタリアでの経験を経て、プレミア初挑戦となった鎌田がイングランドで復活を遂げられるか。