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大谷翔平が見せた衝撃 「40-40」に三冠王も視界、ドジャース1年目で過ごした史上最高の前半戦

今季からドジャースに加入した大谷翔平投手がシーズン前半戦を戦い抜いた。10年総額7億ドル(約1015億円)という日本人スポーツ史上最高額、北米4大プロスポーツにおいても最高の契約金で加入したスーパースターは、打者専念となっているシーズンで過去最高と呼んでいい打撃成績を残した。後半戦にかけては自身初のトリプルスリーや史上6人目となる「40-40」、また打撃3部門でのタイトル獲得など期待は膨らむばかり。特大のインパクトを放った大谷の前半戦を振り返る。※トップ画像 出典/Getty Images

Icon 30716468 1048529728619366 8600243217885036544 nYoshitaka Imoto | 2024/07/16

MVPトリオで上位打線を形成

大谷は6年を過ごしたエンゼルスから、11シーズン連続プレーオフに進出しているナ・リーグの常勝軍団ドジャースへ移籍した。大谷にとっても、ドジャースにとっても相思相愛で実現したこの移籍の先にあるのはワールドシリーズに進出しての世界一だった。

大谷は開幕からムーキー・ベッツ内野手の後ろの2番を任され、3番を担ったフレディ・フリーマン内野手と並んだ3人はいずれもMVP経験者。MLBの全30球団のなかでも最強のトリオが打線の軸となった。

そんなドジャース打線で、昨季自身初の本塁打王に輝いた大谷の打撃に注目が集まったなか、目立ったのがつなぎのバッティング。

これまでの大谷に見られた豪快な長打力は変わらずに、ベッツとともにチャンスメイク役も担い、フリーマン、ウィル・スミス捕手、テオスカー・ヘルナンデス外野手といった後ろの強打者へチャンスを広げていくことでチームの勝利につながった。4月は月間打率.352、7本塁打、17打点を記録するなど開幕から首位打者争いに参戦した。

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打者専念で見られた走塁の進化

今季の大谷にとってひとつのポイントとなったのが打者専念のシーズンであること。2021年以降は投打二刀流でほぼフルシーズンを戦ってきたなか、昨季負った右ひじ靭帯の怪我による手術の影響で、投手としての復帰は25年以降になる。これまでとは違う「打者・大谷」という日々を過ごすなかでどう変化が見られてくるかはカギを握った。

そんな大谷の2024年シーズンを語る上で外せないのが走塁面での進化。エンゼルス時代の21年に26盗塁、23年に20盗塁を記録するなど、スピードには定評のあった大谷だが、投手としての稼働がない今季は、打撃に加えて走塁にもよりフォーカスする余裕が生まれた。

5月に8盗塁を記録するなど例年以上のペースで積み重ねると、7月に入ってからはそのペースを加速させる。5日(同6日)のブルワーズ戦から4試合連続盗塁を記録し、シーズン20盗塁を前半戦でクリアした。オールスターブレイク前までの12試合で7盗塁の荒稼ぎで、14日(同15日)終了時点でナ・リーグ3位の23盗塁をマークしている。

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新1番で放った抜群の存在感

また、大谷の前半戦において分岐点となったのが、開幕から1番としてドジャースをけん引してきたベッツの負傷離脱。不動のリードオフマンだったベッツだが、6月16日(同6月17日)のロイヤルズ戦で左手付近に死球を受けて途中交代を強いられた。検査の結果骨折が判明したベッツは、復帰まで6〜8週間の故障者リスト(IL)入りすることになった。

空席となった1番にデーブ・ロバーツ監督が指名したのが大谷。日本ハムやエンゼルスでも経験していたリードオフマンを担うと、調子を落としかけていた6月中旬までの流れが一転し、上昇気流に乗ることになる。

6月はエンゼルス時代に2度月間MVPに輝くなど縁起のいい月ではあったが、ドジャースにおいてもその流れを引き継ぐ形で本塁打を量産。6月は月間12本塁打、24打点を記録した。大谷はその後も好調を維持したままオールスター前までで94試合に出場し、打率.316、29本塁打、69打点を記録し、OPSは1.035だった。

2021年、23年に記録したオールスター前の大台超えはならなかったものの4年連続の30本塁打に王手をかけており、日本人選手では史上初となるメジャー通算200本塁打にも到達した。打撃3部門で上位につけ三冠王も視界に入れており、打者専念となるシーズンで最高の前半戦を過ごした。

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歴代の名スラッガーのみが記録

後半戦の大谷に期待がかかるのが自身初のトリプルスリーである。このまま故障なくシーズンを乗り切ることができれば2021年に記録した26盗塁の更新は確実で、打率を3割台でキープして、30本塁打にも王手をかけている現状で、トリプルスリー達成は大谷にとっては現実的に達成可能な数字と見ていい。

さらに、本塁打、盗塁を順調に積み重ねることでMLB史上5人しかいない「40本塁打40盗塁」も視界に入る。これまで1996年のバリー・ボンズ氏(当時ジャイアンツ/42本塁打40盗塁)や98年のアレックス・ロドリゲス氏(当時マリナーズ/42本塁打46盗塁)などスピードを併せ持つ歴代の名スラッガーのみがこの数字に到達した。

投手としての登板がない今季、そのアスリート能力を存分に見せつけている大谷がこのリストに名を連ねられるかは、指名打者では史上初となるMVP獲得を狙う上でも大きな後押しとなる。

10年7億ドルという契約にふさわしいスーパースターぶりを見せつけた大谷。後半戦にかけては自身のタイトル争いや記録達成とともに、ドジャースのリーグ優勝やプレーオフ進出、ワールドシリーズ制覇をかけての激しい戦いが待ち受けることになる。世界一を目指すチームにおいても中心を担う大谷の2024年シーズン後半にも期待が高まる。

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