Collaboration between the BC League's strongest pitcher and strongest catcher! “Mid-term test” for each NPB draft candidate BC selection vs. Seibu Lions second team
The Route Inn BC League will be comprised of eight teams starting in 2022. The BC League selection team, selected from eight teams, played an exchange game against the Seibu Lions second team on June 9th. Due to the coronavirus pandemic, it was only held at the end of the season for the past two years, but this year it was held at the CAR3219 field in June, making it a showcase for NPB scouts to gather.
井上 尚子
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2022/07/27
シーズン途中での選抜戦について、チームを率いた角晃多監督(埼玉武蔵)は「9月が学期末テストなら、今回は中間テスト」という言葉を使った。
「一発で合否が出るというよりは、中間テストで見てもらえたということ。選手によってはプラスになったりマイナスになったりする。でもやれること自体が良い経験です」
選抜された選手は、チームからの推薦枠1名ずつも含め、スカウトから名前の挙がった選手が名を連ねている。リーグの村山哲二代表は、この日選手たちに挨拶で伝えた。
「みんながこの日を目指して来た。出られなかった選手たちも代表して、君たちが戦うということ。それから、18、19歳の選手と、25、26歳くらいの選手では圧倒的に見られ方が違う。23歳以上の選手は、二軍の選手に打ち勝つ・抑えるのではなく、18時に隣のベルーナドームにいる選手たちを打ち・抑えることを期待されている。それを意識してやって欲しい」
3年ぶりに有観客試合となった選抜戦。多くのファンが見守る中、それぞれの選手が持ち味を発揮してアピールした。
◆6月9日 西武ライオンズ二軍 対 ルートインBCリーグ選抜(CAR3219フィールド)
(※スコアブックはページ最後に掲載)
【西武二軍】 赤上、黒田ー古市、中熊
【BCL選抜】 荒西(信濃)、又吉(福島)、楢崎(茨城)、鈴木(信濃)、高木(埼玉)、大宅(栃木)、上村(新潟)、長尾(埼玉)、西濱(群馬)ー叺田(栃木)、町田(埼玉) 投手は年齢順に継投
試合前半は投手戦となった。西武は育成の先発赤上が6回まで投げて2失点。二番手には18歳のルーキー黒田が3回を投げて2失点。対するBCリーグ選抜は投手9人が年齢順に継投を見せる。
荒西祐大
元オリックスの荒西祐大(信濃)が先発し1回を無失点。今季状態の良い鈴木駿輔(信濃)が無失点1奪三振、楢崎塁(茨城)が無失点2奪三振と、印象に残るピッチングを披露した。また四球は出したものの、最後に登板した19歳の西濱勇星(群馬)は最速152キロを154キロに更新した。高卒2年目で注目される長尾光(埼玉武蔵)は8回42球を投じて3失点。
藤原大智
打線で目立ったのは、まず1安打2盗塁を決めた藤原大智(新潟)と途中出場ながら2安打2盗塁とアピールした樋口正修(埼玉武蔵)の俊足コンビ。昨年の選抜にも選ばれた樋口は、よりタイムが上がっているという足を披露した。
幸田風揮
幸田風揮(福島)もタイムリー2本と勝負強いバッティングを見せる。奥村光一(群馬)はフェンス上直撃のタイムリー二塁打でパワーを感じさせた。中でも注目されるのは、捕手二人だ。
叺田本気(かますだもとき・※後述)は昨年も名前の挙がった強肩強打の捕手。BC選抜戦の段階では打率が.371長打率が.565、OPS1.008と絶好調だった。この日は最後の打席でレフトオーバーのタイムリー三塁打を放ち、気を吐いた。投手5人を受けた際には「投手の良い球を引き出す」ことに重点を置いた。
捕手としての存在感の大きい叺田に対して、町田隼乙(埼玉武蔵)は高卒ルーキー。チーム事情により毎試合スタメンフル出場でマスクを被り、異例の経験を積む19歳だ。セカンド送球にはまだまだ難があるものの、キャッチングもバッティングも驚く程の成長スピードを見せている成長株。この日も最後に西武の同い年ルーキー黒田から二塁打を放った。
1回無安打1奪三振 最速147キロ 福島時代に二桁勝利で投手三冠。ドラフト候補ともなったが指名されず。信濃に移籍して2年目の今年を最後の挑戦と定めている。
「今年変えた部分でいえば、体以外で一番変わったのは、荒西さんが移籍されてきたことです。気持ちの部分ですごく色々教えて頂いて、独り相撲になりがちだったところ、結果に対しての割り切り方などが今シーズンすごく変わったと思います」
この日は先頭が源田とあって「久しぶりに、少し緊張しました」というが、3ボールからショートゴロに打ち取った。続く仲三河は見逃し三振に斬る。
「変化球でもベストスイングしてくる。BCリーグにはいないタイプのバッターだなと思いました。あ、NPBに行ったらこういうバッターと対戦出来るんだとワクワクしました」
NPBまで手の届く距離にいることは、実感している。選抜戦ではレベルの高い選手が集まり、一時の交流ながら刺激を受けることも多い。鈴木も色々な選手と話をした。
「聞かれることが多かったです。例えば西濱投手は力投派で、自分と似ている部分もある。先発での意識などを聞かれたんですが、自分は今年つねに100%で投げるのではなく、力の加減を変えることが上手くなってきたと思っているので、そういう会話をしました」
「中間テスト」を終え、シーズン後半に向けて更に気を引き締める。「シーズンの目標としては防御率1点台と15勝。真っ直ぐでもっと空振りをとれるように。球速もそうですが、球の質にこだわっていきたいです」
1回15球無失点被安打0奪三振2 最速148キロ「徳島の山本由伸」とも呼ばれた右腕。速球と制球力を持ち、変化球も多彩。
「今シーズンは最初中継ぎで調子もあまり良くないスタートだったんですが、やっと良くなってきて、選抜戦ではいい感覚がありました」
ジョセフ、川野を連続三振に取り、山村を一塁ゴロに打ち取った投球は、全く危なげなかった。
「三振を狙いにいって取れたというのが良かったと思います。フォークで決めたかったところで二つ取れたので。感覚的な部分なんですけど、その面ですごくコントロールが安定してきたので、このままこのコントロールを無くさないようにしながら、スピードをもう少し上げていきたいです」
角監督もこの日目立った選手として名を挙げた。今後こだわっていくのは、スピードもコントロールも球の質も「全部」だという。
1回14球被安打1奪三振1最速147キロ
今年はセットアッパーとして頭角を現している右腕。ストレートが持ち味。
「去年はやっと野球人生1年目というところ。オフも含めて今年のためにスピードと質を求めてしっかり練習をしてきました」
選抜に入れたのは「成績ではない」と自分を分析している。今後もこだわるのは数字よりも、「球の質」だ。
「ストレートで選抜に入ったと思っていますが、選抜戦で抑えたのは全部変化球だった。ストレートで抑えることが出来なかったので、今後は球の強さで押していけるようにしたいと思います。それから、どんなときも調子が悪くても毎回同じ質を出せるようにしなければ」
1回42球3失点 被安打4与四球2奪三振1 高校時代から注目されていた本格派右腕。昨年も選抜に選ばれドラフト候補となったが指名されず。今季は先発から中継ぎとなり、球速と球の質に磨きをかける。150キロも達成した。
「去年は球速がまず出ていなくて、やっぱり力不足でした。今年は球速はだいぶ上がってきたんですが、やっぱりまだランナーが出てからや、エラーがあったときなど、修正が出来る時と出来ない時の差があるかなと思います」
選抜戦でも強いストレートを意識して投げたが、エラー出塁をきっかけに苦しいピッチングの連続となった。3失点と不本意な内容。その後の登板では迫力のあるピッチングも戻ってきた。8月には154キロを出そうと前を向く。
「いつでも同じ球を投げられるということ、コントロールも良くしないといけない。もっと出力を上げて、球速を上げて、調子が悪いということがないように。そういうピッチャーになれるようにします」
4打数1安打1打点 昨年もドラフト候補として名が挙がった強肩強打の捕手。もともと強肩には定評があったが、黒羽根コーチのもと、捕手として全てにおいてレベルを上げてきた。選抜戦では先発マスクを被り、5投手の球を受けた。
「ここに来ているのはリーグで成績を残している投手。誰と組んでもいいように情報と映像でしっかりと振り返って、特徴をある程度掴んで臨みました」
この日受けるのを楽しみにしていたというのは信濃の荒西と鈴木。鈴木の方でも「今までも受けてもらってたんじゃないかと思うくらい、自分の持ち味を理解してくれていて、『ここでこれを投げたい』という時にそういう配球をしてくれました。チームに帰ってからも『叺田くんめちゃくちゃいいキャッチャーだった!』と話しましたよ」と語る。
バッティングでは最終打席にレフトオーバーの三塁打を打って長打力を見せた。
「やはり相手がNPB選手だと、投げミスは1打席に1球あるかどうか。3打席目まではそれを見逃したりファールにしてしまったりしていたんですが、最後は甘くなったボールをしっかり叩けた。そこまでの3打席を修正出来たことが結果につながったと思います」
選抜チームからは多くの刺激を受けた。
「選ばれた選手はみんなすごい。足が速かったりスイングが強かったり。全てが勉強になります」
選抜戦翌日のBCリーグ公式戦でさっそく3ランを放つなど存在感が増している。ますます楽しみな選手だ。
2打数1安打1二塁打 成長著しい19歳捕手。6回から4人の投手を受けた。
「ベアーズにいないタイプのピッチャーもいたので、緊張というよりは楽しみの方が強かったです」
ルーキーながらリーグでは毎試合スタメンフル出場を続ける。失敗の数も並ではないが、そこからプラスに向けるメンタルは持っている。叺田の存在に学ぶものも大きい。
「今までやったことのない試合数をやってきて、体力も気持ちも疲れがあったんですけど、最近は慣れてきて、自分の考えもまとまり始めています。
当日は栃木の叺田さんと一緒に練習が出来ました。自分にとっては追いつかなければいけない存在の人。色々な話をしましたが、技術的な部分でも成長出来る話が聞けました」
2打席目には二塁打を放ち、長打力もアピール出来た。後半戦では本塁打を見せるなど、伸びしろを感じさせるバッティングも魅力の一つだ。
4打数1安打1三振 広角にホームランが打てるスラッガー。走力・守備力も武器。
「自分は長打を打つことをずっとテーマにしています。ホームランだったら最低20本。あとは打点で、この二冠を獲れるようにやっています」
信濃時代は怪我があり、試合に出ることもままならなかった。茨城に移籍してからは実力を発揮してきており、強打のチームの中でも存在感が光る。
「自分は結構NPBが相手だと硬くなることが多いので、監督やコーチからは『リラックスして楽な気持ちでいけ』という話がありました。シーズン中やっていることと変わらず、自分のパフォーマンスを出すということを一番に考えて打席に入りました。自分のスイングは出来たと思います」
正直、アピールしきれたとは思っていない。やがて「期末テスト」を迎えるまで、100%のパフォーマンスを出していけるようにシーズンを戦う。
2打数無安打 守備のファインプレーあり
「アマチュアで野球をやっていたので、連戦で試合が続くというのも初めての体験ですし、同じチームと何回も対戦するというのも初めてでした。最初こそ勢いよくいけたんですけど、途中から相手にも研究され、インコースを攻められる形になってきた。思うように成績を残せないこともありますが、駄目でもすぐ次が来るので、どんどん前に進んで行かなきゃならない。生き甲斐になっているというか、すごく面白くやらせて頂いています」
体格が目を引く大型ショートだ。この日は守備でファインプレーがあり、身体能力の高さを見せた。
「目先の結果というよりは、自分のスケールというか、体が大きくて思い切ったプレーが出来るというのが長所なので、そこをしっかり見てもらえればと思っていました」
打席も少なく結果としての数字は残せなかったが、堂々としたプレーは印象に残る。自分の課題に対する思考も明確だ。
「相手チームを見ていても、カウント球を早いカウントで仕留めるコンタクト率がすごく高かった。追い込まれてからの勝負というよりは、ストライクを取りに来た球を、どれだけ確率高く捉えるか。そこをやっていきたい」
3打数2安打2盗塁 40盗塁の記録を残し、ドラフト候補に踊り出た昨シーズンから、さらに磨き上げた俊足をアピール。
「去年の選抜は緊張の方が強かった。今年は最初から持っているものを全部出そうと決めています。打席に入る時は、あまり塁に出ようとすると縮こまってしまうので、NPBの強い球を強く打ち返すことだけを考えました」
現在打率と安打数でリーグトップを走る藤原大智(新潟)には「左投手の時の盗塁」について訊かれたという。ほかにも宜保、南出、奥村など年下の選手たちにも色々と訊かれた。
「あんまり教えたくないんですけど(笑)」と笑うが、このようなチームを超えた交流も選抜戦の大事な部分だ。
「去年は波が大きくて、8月になると体がバテて力が出なかった。今年は瞬発力を持続させるトレーニングを取り入れたり、夏場バテないようサプリも多めにとったりしてシーズンの状態を保つようにしています」
後半戦ではさらに「走る」と決めている。
5打数1安打1盗塁2三振 打率・安打数・得点は前半戦リーグトップ。盗塁でもトップ争いをする俊足のヒットメーカー。
「シーズンだったら試合前にデータを取るんですけど、選抜戦ではデータがない中でどれだけ出来るのかなというのはありました。相手投手についても情報は入れていません」
2打席は三振。その後ファールで粘ったあとの右安打。さらに初球で盗塁成功。続く打者の一塁ゴロの間には三塁を陥れるそつのなさを見せた。隙があれば逃さない。
「バッティングはまだまだという感じです。結果は出たらいいですけど、出なかった結果に対してどれだけ修正が出来るかが大事なので、これからのシーズンで修正して、またNPBとの交流戦があれば、初見の投手から結果を出せるように練習していきたいと思います」
角晃多監督は選抜戦を振り返って述べた。「良かった選手、目立った選手は、パッと出てくるのは茨城の楢崎、信濃の鈴木。この二人という印象です。野手はやれることはみんな頑張ってやった。でも『もっとやれたよね』とも思ってます。
失敗したのをどう伸びるかっていうのもスカウトの方は見るんです。いいところだけじゃなく、悪い癖も探すそうです。それを考えれば失敗しても、それをプラスと思えばいい。9月のもう一回あるテストでどれだけ伸びるか。気持ちの強さは絶対出ます。それをアピールできる最高のチャンスじゃないでしょうか」
昨年、一昨年とシーズン終盤の1回しか行われなかったBC選抜対NPB戦だが、今年は複数予定されている。「学期末テスト」までに修正して見せ、抜きんでた活躍を見せる選手はいるのか。あるいは今回選抜に選ばれなかった選手が新たに台頭してくるのか。それを見ることが出来るのはファンにとっても楽しみだ。状況にはよるだろうが、次回の選抜戦も是非ファンの前で行って頂きたい。
NPBに最も近いところにいる選手たちの競演を、実際に見て楽しめる。スカウトならぬファンであれば、楽しみ方も多様だ。もっと広くも深くも知ることが出来る。気になる選手を見つけたら、是非ともリーグ戦に足を運んで見て欲しい。
◆6月9日 西武ライオンズ二軍 対 ルートインBCリーグ選抜(CAR3219フィールド) スコアの詳細
埼玉西武ライオンズホームページより転載
URL:https://www.seibulions.jp/cmn/items/farm/2022score/pdf_220609_01.pdf
「一発で合否が出るというよりは、中間テストで見てもらえたということ。選手によってはプラスになったりマイナスになったりする。でもやれること自体が良い経験です」
選抜された選手は、チームからの推薦枠1名ずつも含め、スカウトから名前の挙がった選手が名を連ねている。リーグの村山哲二代表は、この日選手たちに挨拶で伝えた。
「みんながこの日を目指して来た。出られなかった選手たちも代表して、君たちが戦うということ。それから、18、19歳の選手と、25、26歳くらいの選手では圧倒的に見られ方が違う。23歳以上の選手は、二軍の選手に打ち勝つ・抑えるのではなく、18時に隣のベルーナドームにいる選手たちを打ち・抑えることを期待されている。それを意識してやって欲しい」
3年ぶりに有観客試合となった選抜戦。多くのファンが見守る中、それぞれの選手が持ち味を発揮してアピールした。
◆6月9日 西武ライオンズ二軍 対 ルートインBCリーグ選抜(CAR3219フィールド)
(※スコアブックはページ最後に掲載)
【西武二軍】 赤上、黒田ー古市、中熊
【BCL選抜】 荒西(信濃)、又吉(福島)、楢崎(茨城)、鈴木(信濃)、高木(埼玉)、大宅(栃木)、上村(新潟)、長尾(埼玉)、西濱(群馬)ー叺田(栃木)、町田(埼玉) 投手は年齢順に継投
試合前半は投手戦となった。西武は育成の先発赤上が6回まで投げて2失点。二番手には18歳のルーキー黒田が3回を投げて2失点。対するBCリーグ選抜は投手9人が年齢順に継投を見せる。
荒西祐大
元オリックスの荒西祐大(信濃)が先発し1回を無失点。今季状態の良い鈴木駿輔(信濃)が無失点1奪三振、楢崎塁(茨城)が無失点2奪三振と、印象に残るピッチングを披露した。また四球は出したものの、最後に登板した19歳の西濱勇星(群馬)は最速152キロを154キロに更新した。高卒2年目で注目される長尾光(埼玉武蔵)は8回42球を投じて3失点。
BCリーグ最高レベルのスピードスターと二人の捕手
藤原大智
打線で目立ったのは、まず1安打2盗塁を決めた藤原大智(新潟)と途中出場ながら2安打2盗塁とアピールした樋口正修(埼玉武蔵)の俊足コンビ。昨年の選抜にも選ばれた樋口は、よりタイムが上がっているという足を披露した。
幸田風揮
幸田風揮(福島)もタイムリー2本と勝負強いバッティングを見せる。奥村光一(群馬)はフェンス上直撃のタイムリー二塁打でパワーを感じさせた。中でも注目されるのは、捕手二人だ。
叺田本気(かますだもとき・※後述)は昨年も名前の挙がった強肩強打の捕手。BC選抜戦の段階では打率が.371長打率が.565、OPS1.008と絶好調だった。この日は最後の打席でレフトオーバーのタイムリー三塁打を放ち、気を吐いた。投手5人を受けた際には「投手の良い球を引き出す」ことに重点を置いた。
捕手としての存在感の大きい叺田に対して、町田隼乙(埼玉武蔵)は高卒ルーキー。チーム事情により毎試合スタメンフル出場でマスクを被り、異例の経験を積む19歳だ。セカンド送球にはまだまだ難があるものの、キャッチングもバッティングも驚く程の成長スピードを見せている成長株。この日も最後に西武の同い年ルーキー黒田から二塁打を放った。
NPBに最も近い投手:鈴木駿輔投手(青山学院大中退ー福島ー信濃)
1回無安打1奪三振 最速147キロ 福島時代に二桁勝利で投手三冠。ドラフト候補ともなったが指名されず。信濃に移籍して2年目の今年を最後の挑戦と定めている。
「今年変えた部分でいえば、体以外で一番変わったのは、荒西さんが移籍されてきたことです。気持ちの部分ですごく色々教えて頂いて、独り相撲になりがちだったところ、結果に対しての割り切り方などが今シーズンすごく変わったと思います」
この日は先頭が源田とあって「久しぶりに、少し緊張しました」というが、3ボールからショートゴロに打ち取った。続く仲三河は見逃し三振に斬る。
「変化球でもベストスイングしてくる。BCリーグにはいないタイプのバッターだなと思いました。あ、NPBに行ったらこういうバッターと対戦出来るんだとワクワクしました」
NPBまで手の届く距離にいることは、実感している。選抜戦ではレベルの高い選手が集まり、一時の交流ながら刺激を受けることも多い。鈴木も色々な選手と話をした。
「聞かれることが多かったです。例えば西濱投手は力投派で、自分と似ている部分もある。先発での意識などを聞かれたんですが、自分は今年つねに100%で投げるのではなく、力の加減を変えることが上手くなってきたと思っているので、そういう会話をしました」
「中間テスト」を終え、シーズン後半に向けて更に気を引き締める。「シーズンの目標としては防御率1点台と15勝。真っ直ぐでもっと空振りをとれるように。球速もそうですが、球の質にこだわっていきたいです」
楢崎塁投手(日本経済大ー徳島ー茨城)
1回15球無失点被安打0奪三振2 最速148キロ「徳島の山本由伸」とも呼ばれた右腕。速球と制球力を持ち、変化球も多彩。
「今シーズンは最初中継ぎで調子もあまり良くないスタートだったんですが、やっと良くなってきて、選抜戦ではいい感覚がありました」
ジョセフ、川野を連続三振に取り、山村を一塁ゴロに打ち取った投球は、全く危なげなかった。
「三振を狙いにいって取れたというのが良かったと思います。フォークで決めたかったところで二つ取れたので。感覚的な部分なんですけど、その面ですごくコントロールが安定してきたので、このままこのコントロールを無くさないようにしながら、スピードをもう少し上げていきたいです」
角監督もこの日目立った選手として名を挙げた。今後こだわっていくのは、スピードもコントロールも球の質も「全部」だという。
高木結大投手(東京学芸大ー埼玉武蔵)
1回14球被安打1奪三振1最速147キロ
今年はセットアッパーとして頭角を現している右腕。ストレートが持ち味。
「去年はやっと野球人生1年目というところ。オフも含めて今年のためにスピードと質を求めてしっかり練習をしてきました」
選抜に入れたのは「成績ではない」と自分を分析している。今後もこだわるのは数字よりも、「球の質」だ。
「ストレートで選抜に入ったと思っていますが、選抜戦で抑えたのは全部変化球だった。ストレートで抑えることが出来なかったので、今後は球の強さで押していけるようにしたいと思います。それから、どんなときも調子が悪くても毎回同じ質を出せるようにしなければ」
長尾光投手(ノースアジア大明桜ー埼玉武蔵)
1回42球3失点 被安打4与四球2奪三振1 高校時代から注目されていた本格派右腕。昨年も選抜に選ばれドラフト候補となったが指名されず。今季は先発から中継ぎとなり、球速と球の質に磨きをかける。150キロも達成した。
「去年は球速がまず出ていなくて、やっぱり力不足でした。今年は球速はだいぶ上がってきたんですが、やっぱりまだランナーが出てからや、エラーがあったときなど、修正が出来る時と出来ない時の差があるかなと思います」
選抜戦でも強いストレートを意識して投げたが、エラー出塁をきっかけに苦しいピッチングの連続となった。3失点と不本意な内容。その後の登板では迫力のあるピッチングも戻ってきた。8月には154キロを出そうと前を向く。
「いつでも同じ球を投げられるということ、コントロールも良くしないといけない。もっと出力を上げて、球速を上げて、調子が悪いということがないように。そういうピッチャーになれるようにします」
西濱勇星投手(関東学園附高ー群馬)
1回 12球 無失点 与四球2 最速154キロを計測
後半戦さらに注目されるBCリーグ最強捕手: 叺田元気選手(中京学院大ー栃木)
4打数1安打1打点 昨年もドラフト候補として名が挙がった強肩強打の捕手。もともと強肩には定評があったが、黒羽根コーチのもと、捕手として全てにおいてレベルを上げてきた。選抜戦では先発マスクを被り、5投手の球を受けた。
「ここに来ているのはリーグで成績を残している投手。誰と組んでもいいように情報と映像でしっかりと振り返って、特徴をある程度掴んで臨みました」
この日受けるのを楽しみにしていたというのは信濃の荒西と鈴木。鈴木の方でも「今までも受けてもらってたんじゃないかと思うくらい、自分の持ち味を理解してくれていて、『ここでこれを投げたい』という時にそういう配球をしてくれました。チームに帰ってからも『叺田くんめちゃくちゃいいキャッチャーだった!』と話しましたよ」と語る。
バッティングでは最終打席にレフトオーバーの三塁打を打って長打力を見せた。
「やはり相手がNPB選手だと、投げミスは1打席に1球あるかどうか。3打席目まではそれを見逃したりファールにしてしまったりしていたんですが、最後は甘くなったボールをしっかり叩けた。そこまでの3打席を修正出来たことが結果につながったと思います」
選抜チームからは多くの刺激を受けた。
「選ばれた選手はみんなすごい。足が速かったりスイングが強かったり。全てが勉強になります」
選抜戦翌日のBCリーグ公式戦でさっそく3ランを放つなど存在感が増している。ますます楽しみな選手だ。
町田隼乙選手(光明相模原ー埼玉武蔵)
2打数1安打1二塁打 成長著しい19歳捕手。6回から4人の投手を受けた。
「ベアーズにいないタイプのピッチャーもいたので、緊張というよりは楽しみの方が強かったです」
ルーキーながらリーグでは毎試合スタメンフル出場を続ける。失敗の数も並ではないが、そこからプラスに向けるメンタルは持っている。叺田の存在に学ぶものも大きい。
「今までやったことのない試合数をやってきて、体力も気持ちも疲れがあったんですけど、最近は慣れてきて、自分の考えもまとまり始めています。
当日は栃木の叺田さんと一緒に練習が出来ました。自分にとっては追いつかなければいけない存在の人。色々な話をしましたが、技術的な部分でも成長出来る話が聞けました」
2打席目には二塁打を放ち、長打力もアピール出来た。後半戦では本塁打を見せるなど、伸びしろを感じさせるバッティングも魅力の一つだ。
土田佳武選手(和歌山大ー信濃ー茨城)
4打数1安打1三振 広角にホームランが打てるスラッガー。走力・守備力も武器。
「自分は長打を打つことをずっとテーマにしています。ホームランだったら最低20本。あとは打点で、この二冠を獲れるようにやっています」
信濃時代は怪我があり、試合に出ることもままならなかった。茨城に移籍してからは実力を発揮してきており、強打のチームの中でも存在感が光る。
「自分は結構NPBが相手だと硬くなることが多いので、監督やコーチからは『リラックスして楽な気持ちでいけ』という話がありました。シーズン中やっていることと変わらず、自分のパフォーマンスを出すということを一番に考えて打席に入りました。自分のスイングは出来たと思います」
正直、アピールしきれたとは思っていない。やがて「期末テスト」を迎えるまで、100%のパフォーマンスを出していけるようにシーズンを戦う。
高橋拓也選手(星槎道都大ー千葉自衛隊ー茨城)
2打数無安打 守備のファインプレーあり
「アマチュアで野球をやっていたので、連戦で試合が続くというのも初めての体験ですし、同じチームと何回も対戦するというのも初めてでした。最初こそ勢いよくいけたんですけど、途中から相手にも研究され、インコースを攻められる形になってきた。思うように成績を残せないこともありますが、駄目でもすぐ次が来るので、どんどん前に進んで行かなきゃならない。生き甲斐になっているというか、すごく面白くやらせて頂いています」
体格が目を引く大型ショートだ。この日は守備でファインプレーがあり、身体能力の高さを見せた。
「目先の結果というよりは、自分のスケールというか、体が大きくて思い切ったプレーが出来るというのが長所なので、そこをしっかり見てもらえればと思っていました」
打席も少なく結果としての数字は残せなかったが、堂々としたプレーは印象に残る。自分の課題に対する思考も明確だ。
「相手チームを見ていても、カウント球を早いカウントで仕留めるコンタクト率がすごく高かった。追い込まれてからの勝負というよりは、ストライクを取りに来た球を、どれだけ確率高く捉えるか。そこをやっていきたい」
樋口正修選手(駿河台大ー埼玉武蔵)
3打数2安打2盗塁 40盗塁の記録を残し、ドラフト候補に踊り出た昨シーズンから、さらに磨き上げた俊足をアピール。
「去年の選抜は緊張の方が強かった。今年は最初から持っているものを全部出そうと決めています。打席に入る時は、あまり塁に出ようとすると縮こまってしまうので、NPBの強い球を強く打ち返すことだけを考えました」
現在打率と安打数でリーグトップを走る藤原大智(新潟)には「左投手の時の盗塁」について訊かれたという。ほかにも宜保、南出、奥村など年下の選手たちにも色々と訊かれた。
「あんまり教えたくないんですけど(笑)」と笑うが、このようなチームを超えた交流も選抜戦の大事な部分だ。
「去年は波が大きくて、8月になると体がバテて力が出なかった。今年は瞬発力を持続させるトレーニングを取り入れたり、夏場バテないようサプリも多めにとったりしてシーズンの状態を保つようにしています」
後半戦ではさらに「走る」と決めている。
藤原大智選手(創価大ー新潟)
5打数1安打1盗塁2三振 打率・安打数・得点は前半戦リーグトップ。盗塁でもトップ争いをする俊足のヒットメーカー。
「シーズンだったら試合前にデータを取るんですけど、選抜戦ではデータがない中でどれだけ出来るのかなというのはありました。相手投手についても情報は入れていません」
2打席は三振。その後ファールで粘ったあとの右安打。さらに初球で盗塁成功。続く打者の一塁ゴロの間には三塁を陥れるそつのなさを見せた。隙があれば逃さない。
「バッティングはまだまだという感じです。結果は出たらいいですけど、出なかった結果に対してどれだけ修正が出来るかが大事なので、これからのシーズンで修正して、またNPBとの交流戦があれば、初見の投手から結果を出せるように練習していきたいと思います」
角晃多監督「失敗しても、それをプラスと思えばいい」
角晃多監督は選抜戦を振り返って述べた。「良かった選手、目立った選手は、パッと出てくるのは茨城の楢崎、信濃の鈴木。この二人という印象です。野手はやれることはみんな頑張ってやった。でも『もっとやれたよね』とも思ってます。
失敗したのをどう伸びるかっていうのもスカウトの方は見るんです。いいところだけじゃなく、悪い癖も探すそうです。それを考えれば失敗しても、それをプラスと思えばいい。9月のもう一回あるテストでどれだけ伸びるか。気持ちの強さは絶対出ます。それをアピールできる最高のチャンスじゃないでしょうか」
昨年、一昨年とシーズン終盤の1回しか行われなかったBC選抜対NPB戦だが、今年は複数予定されている。「学期末テスト」までに修正して見せ、抜きんでた活躍を見せる選手はいるのか。あるいは今回選抜に選ばれなかった選手が新たに台頭してくるのか。それを見ることが出来るのはファンにとっても楽しみだ。状況にはよるだろうが、次回の選抜戦も是非ファンの前で行って頂きたい。
NPBに最も近いところにいる選手たちの競演を、実際に見て楽しめる。スカウトならぬファンであれば、楽しみ方も多様だ。もっと広くも深くも知ることが出来る。気になる選手を見つけたら、是非ともリーグ戦に足を運んで見て欲しい。
◆6月9日 西武ライオンズ二軍 対 ルートインBCリーグ選抜(CAR3219フィールド) スコアの詳細
埼玉西武ライオンズホームページより転載
URL:https://www.seibulions.jp/cmn/items/farm/2022score/pdf_220609_01.pdf