On the occasion where the soccer former Japan representative, Maki Seiichiro pierced himself (the first part)
2019年1月15日、Jリーグの舞台から、また1人の個性的な選手が姿を消した。ひたむきなプレーが特徴だったサッカー元日本代表の巻誠一郎(38)だ。ワールドカップ(W杯)ドイツ大会にサプライズ選出された選手といえば、熱心なサッカー・ファンでなくとも、その名前を知っていることだろう。 日本サッカーの一時代を彩った巻の16年間のプロ生活を振り返るとともに、引退を決めたきっかけや、今後どんなキャリアを歩むのかについて、話を伺った。
Taisuke Segawa
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2019/05/24
さっそくですが、引退を決めたきっかけは何だったのでしょうか?
(巻)僕、今年の1月に昨シーズン限りでの引退を発表したんですけど、その引退の会見をする日までかな。ずっと今までと同じようにトレーニングをして、来シーズンも頑張るぞって思いながら辞めたんですよ。変なやつですよね。それくらい体も動いていましたし、熊本に移籍してからは大きな怪我もなく、練習もほとんど休んでいませんでした。まだ若い選手たちには負けられないっていう情熱もあったので、もっと続けるんだろうなと思っていたんですけどね。
はい、私も勝手ながら、長く続けるイメージを持っていました(笑)。それが、なぜ急に?
(巻)僕は、サッカー選手としての自分の価値っていうのをすごく大事にしてきました。自分の存在価値を出せるクラブが、ジェフ千葉であり、東京ヴェルディであり、ロアッソ熊本だったんですね。 プロサッカー選手として、試合に出てピッチ上で表現するというのが一番の目標でしたけど、年齢とともに、出場時間も減っていきましたし、自分が求めるほど価値を発揮できなくなってきたので、これはもう「やめよう」と。それは、プロサッカー選手として絶対譲れない部分だったんですよね。完全に僕の価値観で辞めさせていただきました。ピッチ上で表現できる自分の価値と、ピッチ外で表現できる自分の価値を比べた時に、後者の方が大きいんじゃないかなと考えての決断でした。
トークショーで自身のキャリアを振り返る巻誠一郎さん
昨シーズンはリーグ戦で25試合に出場し、まだサッカーを続けたいという情熱も残っている中で、自分の価値だけを大切にしての引退というのは、とても印象的な引き際のように感じます。
(巻)身体中が痛くてボロボロになって、『もうこれ以上はできない』って言って辞めるのが、プロサッカー選手としては理想の引き際だと思うんですけどね。でも、僕の場合は未練もあったし、もっとプレーしたいと思っていたし、情熱もありました。そんな中での引退なので、正直なところ、燃えきらずに終わってしまったという想いはあります。でも、それは人それぞれですし、僕がプロサッカー選手として大事にしてきた自分自身の価値は、絶対に譲れないものがありました。心のどこかにモヤモヤしたものがある中で、中途半端に続けるより、次のステージへ行こうと。それが僕の引き際だったのかなと思います。
巻さんは、現役の頃から社会との繋がりを持っているという印象でしたが、そのことは引退後に活かされていますか?
(巻)サッカー選手って、プレーだけしていれば良いっていうわけじゃないんですよね。『Jリーグ百年構想』にもある通り、いかにして地域とつながりながら発展していくことができるかを問われている中で、サッカー選手の価値は、ピッチの中だけじゃなくて、ピッチ外でも発揮できると思ってきました。僕も、現役の頃からできる範囲でそれを実践しました。自分の価値を社会に還元しながら、そこで得たことをサッカーにも還元するっていう良い循環を作ろうとしていましたね。
そのように考えるようになったのには何かきっかけがあったのでしょうか?
(巻)海外に出たのが大きかったですね。あまり日本人が行かない国、ロシアとか中国に、エージェントも付けずに1人で行ったんですけど、周りには日本人が全くいないし、現地の人たちは誰も僕のことを知らない。海外に行って、僕自身に社会的価値が全くないということに気がつきました。同時に、日本におけるJリーガーの価値ってすごい貴重なんだなと改めて感じました。その時、Jリーガーの価値をもっと社会に還元しないといけないなと思ったのがきっかけですね。
海外に行ったことは、それほど大きなことだったんですね。
(巻)サッカー選手としては、それほど試合にも出ていないですし、結果も残せなかったので、決して成功ではなかったと思うんですが、身についた価値観や、一人で全てを行なった経験は、すごくポジティブなものでした。
エージェントもつけずに全て自分でやることに怖さはなかったのでしょうか?
(巻)幼い頃から『自分のやることには責任を持つ』と言うスタンスで生きてきたので、それが大きかったんだと思います。現役中から僕はエージェントを付けずに、クラブとの交渉も全部自分でやってきました。誰から教えられたわけでもなく、社会に出てから自分で学んだという感じです。
現役時代から自立していたことが、スムーズなセカンドキャリアへの移行に役立つんですね。
Second partfollowed by
Interview / text / photo:Yasuyuki Segawa
(巻)僕、今年の1月に昨シーズン限りでの引退を発表したんですけど、その引退の会見をする日までかな。ずっと今までと同じようにトレーニングをして、来シーズンも頑張るぞって思いながら辞めたんですよ。変なやつですよね。それくらい体も動いていましたし、熊本に移籍してからは大きな怪我もなく、練習もほとんど休んでいませんでした。まだ若い選手たちには負けられないっていう情熱もあったので、もっと続けるんだろうなと思っていたんですけどね。
はい、私も勝手ながら、長く続けるイメージを持っていました(笑)。それが、なぜ急に?
(巻)僕は、サッカー選手としての自分の価値っていうのをすごく大事にしてきました。自分の存在価値を出せるクラブが、ジェフ千葉であり、東京ヴェルディであり、ロアッソ熊本だったんですね。 プロサッカー選手として、試合に出てピッチ上で表現するというのが一番の目標でしたけど、年齢とともに、出場時間も減っていきましたし、自分が求めるほど価値を発揮できなくなってきたので、これはもう「やめよう」と。それは、プロサッカー選手として絶対譲れない部分だったんですよね。完全に僕の価値観で辞めさせていただきました。ピッチ上で表現できる自分の価値と、ピッチ外で表現できる自分の価値を比べた時に、後者の方が大きいんじゃないかなと考えての決断でした。
トークショーで自身のキャリアを振り返る巻誠一郎さん
昨シーズンはリーグ戦で25試合に出場し、まだサッカーを続けたいという情熱も残っている中で、自分の価値だけを大切にしての引退というのは、とても印象的な引き際のように感じます。
(巻)身体中が痛くてボロボロになって、『もうこれ以上はできない』って言って辞めるのが、プロサッカー選手としては理想の引き際だと思うんですけどね。でも、僕の場合は未練もあったし、もっとプレーしたいと思っていたし、情熱もありました。そんな中での引退なので、正直なところ、燃えきらずに終わってしまったという想いはあります。でも、それは人それぞれですし、僕がプロサッカー選手として大事にしてきた自分自身の価値は、絶対に譲れないものがありました。心のどこかにモヤモヤしたものがある中で、中途半端に続けるより、次のステージへ行こうと。それが僕の引き際だったのかなと思います。
巻さんは、現役の頃から社会との繋がりを持っているという印象でしたが、そのことは引退後に活かされていますか?
(巻)サッカー選手って、プレーだけしていれば良いっていうわけじゃないんですよね。『Jリーグ百年構想』にもある通り、いかにして地域とつながりながら発展していくことができるかを問われている中で、サッカー選手の価値は、ピッチの中だけじゃなくて、ピッチ外でも発揮できると思ってきました。僕も、現役の頃からできる範囲でそれを実践しました。自分の価値を社会に還元しながら、そこで得たことをサッカーにも還元するっていう良い循環を作ろうとしていましたね。
そのように考えるようになったのには何かきっかけがあったのでしょうか?
(巻)海外に出たのが大きかったですね。あまり日本人が行かない国、ロシアとか中国に、エージェントも付けずに1人で行ったんですけど、周りには日本人が全くいないし、現地の人たちは誰も僕のことを知らない。海外に行って、僕自身に社会的価値が全くないということに気がつきました。同時に、日本におけるJリーガーの価値ってすごい貴重なんだなと改めて感じました。その時、Jリーガーの価値をもっと社会に還元しないといけないなと思ったのがきっかけですね。
海外に行ったことは、それほど大きなことだったんですね。
(巻)サッカー選手としては、それほど試合にも出ていないですし、結果も残せなかったので、決して成功ではなかったと思うんですが、身についた価値観や、一人で全てを行なった経験は、すごくポジティブなものでした。
エージェントもつけずに全て自分でやることに怖さはなかったのでしょうか?
(巻)幼い頃から『自分のやることには責任を持つ』と言うスタンスで生きてきたので、それが大きかったんだと思います。現役中から僕はエージェントを付けずに、クラブとの交渉も全部自分でやってきました。誰から教えられたわけでもなく、社会に出てから自分で学んだという感じです。
現役時代から自立していたことが、スムーズなセカンドキャリアへの移行に役立つんですね。
Second partfollowed by
Interview / text / photo:Yasuyuki Segawa