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Mizuno Sports Promotion Foundation commends sports instructors and writers who made great achievements in 2018!

(公財)ミズノスポーツ振興財団は、(公財)日本スポーツ協会、(公財)日本オリンピック委員会との共催で、1990年度に「ミズノスポーツメントール賞並びにミズノスポーツライター賞」を制定した。4月23日に、平成最後となる2018年度の両賞の表彰式(第29回目)が、グランドプリンスホテル新高輪にて開催された。

Icon aff20898 d2d2 431d 8b05 0f3c5e5ae91bHidemi Sakuma | 2019/04/30
スポーツメントール賞は、日本の競技スポーツおよび地域スポーツにおいて選手の強化・育成ならびに地域スポーツの普及・振興に貢献した指導者を顕彰するとともに、優秀な指導者の育成を目的に制定したものとなる。

またスポーツライター賞は、スポーツに関する報道・評論およびノンフィクション等を対象として、優秀な作品とその著者を顕彰すると共に、スポーツ文化の発展とスポーツ界の飛躍を期待し、これからの若手スポーツライターの励みになる事を願い制定したものとなる。


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水野  明人氏(公益財団法人ミズノスポーツ振興財団会長)

「スポーツメントール賞では特に過去から継続して優秀な選手の育成に努められた指導者、並びに長年に渡り地域スポーツの振興にご尽力された指導者を表彰します。ライター賞はスポーツに関する報道・評論およびノンフィクション等を対象として優秀な作品とその著者を顕彰する とともに、スポーツ界の発展を期待して制定いたしました。」


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今里  
氏(スポーツ庁 次長)


「スポーツは人々に夢と感動を与えるものであります。本日受賞されましたお一人お一人の活動は、国のスポーツに対する理解を深めると共に、スポーツ文化をさらに豊かで実り多いものにしてくださる素晴らしい御功績であり、今後の日本を益々元気にしてくださるものと信じております。 」


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竹田  恆和氏(日本オリンピック委員会 会長)

「日本の若い選手達が2020年に向けて大活躍をしております。選手が全力で取り組む姿、国民の皆様に夢と感動、そして勇気を湧き起こし、スポーツの大きな力となって、明るく豊かな社会の更生に貢献しているものと思います。 地域社会におけるスポーツの活動の重要性は、益々見直されておりまして、豊かな人間性や社会性の育成に着実な効果が現れていると思います。


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ミズノ スポーツメントール賞受賞
藤森  善弘氏

「受賞に驚いていますし、光栄なことです。指導をする上で大切にしているのは、考えて動くことですね。練習するにしても、休養するにしても、食事をするにしても、何か動くことに対してよく考えるように伝えています。」  


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【ミズノ スポーツメントール賞 ゴールド】
 ブライアン オーサー(Brian ORSER)氏
57
歳(1961.12.18生) (日本スケート連盟/フィギュアスケート コーチ)
2006
年より韓国のキム・ヨナ選手をはじめとする世界各国のトップレベルの選手のコーチを務 め、世界選手権及びオリンピックにおいて多数のメダリストを輩出。羽生結弦選手のコーチとし て、2014 年ソチ、2018 年平昌でのオリンピック 2 連覇に貢献した。


【ミズノ スポーツメントール賞 シルバー】
今村 文男(いまむら ふみお)氏 52歳
(1966.11.5生) (日本陸上競技連盟/富士通株式会社 陸上競技部競歩コーチ)
自身の競歩競技経験を活かし日本代表競歩コーチとして、競技レベルを世界トップレベルまで 高め、2015 年及び 2017 年世界陸上競技大会、2016 年リオオリンピックで日本代表競歩コーチと して連続してメダル獲得に貢献した。また 2018 年度世界競歩チーム選手権において、日本代表競 技コーチとして史上初となる、男子 50km 及び 20km 競歩の団体優勝に貢献した。

林 正岳(はやし せいがく)氏 68歳
(1950.12.10生) (福井県スポーツ協会/陸上競技等 スポーツドクター)
1996
年広島国体から福井県選手団帯同ドクターとして国民体育大会に参加して以来、これまで 23 年間にわたり、様々な現場にて指導され、医学分野と科学分野の一元的な指導体制の確立に尽 力した。 帯同ドクターとして、選手の健康管理だけでなく障害予防プログラムを浸透させるなど、選手 サイドに立ったスポーツ医・科学サポートに務め、2002 年からはアンチ・ドーピング研修会開催 を主導し、選手・指導者をはじめ広くアンチ・ドーピングの普及・啓発に力を注いできた。また、2018 年福井国体に出場する選手に対し、より高いレベルのスポーツ医・科学サポートを 行うため、福井県スポーツ協会スポーツ医・科学委員会が認定するアスレティックトレーナー、 スポーツ栄養士及びスポーツ心理士の育成に取り組み、さらに 2017 年には、女性産婦人科医の協 力を得て女性アスリートへのサポートをスタートさせた。 これらの活動を通じ、福井県スポーツ界にスポーツ医・科学の知見とその重要性を広め、充実・ 定着させた功績は多大なものであり、特に 2018 年福井国体では、その充実を主導したスポーツ 医・科学サポートは、男女総合優勝(天皇杯)・女子総合優勝(皇后杯)に大きく貢献した。


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【ミズノ スポーツメントール賞】

藤森 善弘(ふじもり よしひろ)氏 54歳
(1964.4.3生) (日本水泳連盟/日本体育大学 体育会水泳部 ヘッドコーチ)
長年にわたり、世界トップレベルの選手を多数輩出し、オリンピック及び世界選手権等の国際 競技大会に代表コーチとして帯同し、2018 年度は、指導する小関也朱篤・清水咲子両選手の、パン パシフィック選手権及びアジア競技大会、また短水路の世界選手権においてのメダル獲得に貢献し ている。

丸山 章子(まるやま あきこ)氏
45歳(1973.7.18生) (日本体操協会/金沢学院大学クラブ女子監督、
金沢学院大学監督、金沢学院高等学校コーチ)
2010
年からナショナルチームを率いて、女子の改革・強化に尽力してきた結果、史上初のメダ ル獲得に繋がる指導を行った。特に女子本部長に就任してからの 2 年で、世界選手権での史上初 のメダル獲得は大きな功績である。

細野 茂之(ほその しげゆき)氏
50
歳(1968.9.17生) (日本馬術連盟/有限会社八王子乗馬倶楽部 ディレクター)
2018
年のアジア大会では日本代表選手チームの監督として金メダル獲得に貢献した。また 2018 年世界選手権では、総合馬術競技団体 4 位入賞(過去最高成績)に貢献した。

吉田 一祐(よしだ いちゆう)氏
53
歳(1965.7.26生) (日本トライアスロン連合/吉田鍼灸院 院長)
トレーナーとして創世記から関わり、トライアスロン日本代表チームトレーナーとして、シド ニーからリオのオリンピックまでの 5 大会に至る期間帯同し、選手をサポートした実績は大きい。 また国内・国際大会において、トレーナーとして、医・科学面からトライアスリートの活躍をサポ ートし、2018 年のアジア大会でも金メダル獲得に貢献している。

今井 美子(いまい よしこ)氏
57
歳(1961.11.21生) (群馬県スポーツ協会/健康体操等 スポーツプログラマー)
1986
年に群馬県スポーツ協会の健康スポーツ指導者として、県内市町村、企業、幼稚園や 保育園等において、健康体操、レクリエーション、軽スポーツ等の指導に携わり、以来、33 年間指導してきた。
幼児から高齢者まで、楽しく気軽にできる体操の普及を目指し、親子の触れ合いを目的と した親子体操、高齢者の健康づくりに役立つ「生き生きストレッチ」、企業の社員が元気に 働くための健康教室など、看護師や栄養士と協力・連携したスポーツ指導を進めている。
また、群馬県民の健康づくりの一環として、県内テレビ局の番組に出演し、中高年を対象とした「健康体操」を指導、気軽にできる軽スポーツを幅広く紹介する活動にも従事してきた。
群馬県スポーツ協会では健康スポーツ指導者バンクの中心的立場で活躍、登録指導者に対 する研修会で健康・運動指導法等を指導するなど、スポーツ指導者の資質向上に対する取組 が評価され、県内大学の講師を務めるなど、後進の育成にも尽力している。

大村 邦英(おおむら くにひで)氏
68
歳(1950.4.4生) (東京都体育協会/陸上競技 コーチ)
1973
年に東京高等学校陸上競技部の指導に携わって以来、これまで 46 年間指導活動を実 施し、この内 11 年間は地域でのスポーツ指導を実践してきた。
勤務先の高校や大学では所属選手の育成・強化を進め、1993 年から東京陸上競技協会強化 委員として、東京都における陸上競技の普及・強化の中心的な役割を果たしてきた。
2008
年から東京陸上競技協会の「小学生陸上競技体験教室」開催を主導し、小学生を対象 に走り方・投げ方・飛び方を指導、都内 17 区 17 市において、これまで 9 年間で 40 回以上開 催、10,000 人以上が参加し、体験教室経験者の中から東京都のジュニア強化選手や国体選手 を輩出している。さらに、体験教室参加クラブの指導者を対象に「地域スポーツ指導者との 連絡会」を実施し、スポーツ指導者間の連携作りに貢献している。
また、都内に限らず各地で陸上競技教室の講師を務め、講演や指導を継続しており、東日本大震災の被災地ではボランティアとして指導するなど、競技力向上だけではなく、全国各地における陸上競技の普及にも努めている。

山田 かづき(やまだ かづき)氏
72歳(1946.4.5生) (山梨県体育協会/卓球 指導員・スポーツ少年団認定育成員)
白州町卓球スポーツ少年団では 1983 年の設立以来、これまで 36 年間にわたりスポーツ少 年団指導者として、地域の子どもたちを対象に卓球や栄養の指導を行うとともに、練習会場等の美化活動を推進し、青少年の健全育成に尽力している。
併せて、山梨県卓球協会役員を務め、県下全域の小学生を対象とした強化練習会の運営に参画、同協会レディース委員会やホープス委員会においても各種研修会・大会等の運営に尽力し、県内での卓球の普及と振興に貢献している。
1996 年に山梨県スポーツ少年団常任委員に就任し、「山梨県スポーツ少年団フェスティバ ル」、「山梨県スポーツ少年大会」などの諸事業において運営役員として活動するほか、活 動促進部会員としてリーダー育成を担当し、リーダーが主体となり交歓交流活動を運営でき るよう指導を進めてきた。 また、日本スポーツ少年団認定育成員資格を取得し、山梨県スポーツ少年団認定員養成講習会の講師を務めるなど、スポーツ少年団指導者の資質向上にも尽力し、スポーツ少年団活動の促進と地域における活動の活性化を図ってきた。

森下 さと子(もりした さとこ)氏
68歳(1950.3.16生) (三重県体育協会/バドミントン コーチ等)
笹川ジュニアバドミントンスポーツ少年団では 1987 年の設立以来、これまで 32 年間にわ たりバドミントンを指導してきた。スポーツ少年団リーダー育成に積極的に携わり、四日市市のみならず県域においてリーダ ー育成の中心的な指導者として活動し、2002 年、三重県で開催した第 40 回全国スポーツ少 年大会では、リーダー会をまとめる指導者として大会運営に活躍するとともに、三重県スポーツ少年団本部や指導者協議会の役員等を歴任し、スポーツ少年団指導者の育成にも取り組 んできた。 また、三重県バドミントン協会では講習会講師を務めるなど指導者の育成にあたるとともに、同協会が進める高等学校を拠点とした一貫指導体制の中でも小学生から大学生まで幅広く指導を行い、三重県スポーツ少年団バドミントン交流大会をはじめ、その他県大会や東海ブロック大会の開催・運営に尽力している。
近年では、三重県バドミントン協会小学生連盟理事長や東海小学生バドミントン連盟理事 長を務め、ジュニア世代におけるバドミントンの幅広い普及に尽力している。

亀山 幹生(かめやま みきお)氏
65
歳(1953.11.8生) (島根県体育協会/剣道 スポーツ少年団認定育成員)
1974
年に温泉スポーツ少年団での指導に携わって以来、これまで45 年間にわたり剣道を指導してきた。
同少年団設立時から代表指導者として活動し、現在の単位団の基盤を確立するとともに、小学生団員と指導者をつなぐ調整役として、中学生団員の育成を推進するなど、リーダー・指導者の育成に積極的に取り組んできた。
スポーツ少年団の国際交流活動にも取り組み、「日中青少年スポーツ団員交流」における 団員と指導者の派遣、「日独スポーツ少年団同時交流」における 4 度のドイツ団受入など、スポーツ少年団員を中心に国際交流の機会を提供し、団員や地域住民の国際感覚を育み地域の活性化に貢献している。
2001
年に島根県スポーツ少年団本部委員会委員に就任し、県内でのスポーツ少年団活動の 普及、育成及び活動の活性化に取り組み、2011 年には雲南市スポーツ少年団本部長に就任。 行政、地域、学校、保護者及び指導者と連携し、団員交流及びリーダー・指導者の育成を目 的とした宿泊研修会並びにスポーツ体験会などを継続的に実施し、指導者の資質向上や育成 母集団の充実に取り組むなど、地域における青少年の健全育成に尽力している。

荒木 雅信(あらき まさのぶ)氏
67
歳(1951.7.25生) (日本障がい者スポーツ協会/アイススレッジホッケー等 科学委員会 委員長)
2001
年から日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)に就任し、以来、これまで18 年間にわたり、様々な現場にて指導されてきた。
2002
年から日本障がい者スポーツ協会科学委員会委員に就任、パラアスリートの国際競技 力の向上を目的とした科学サポートに参画した。また、各専門分野の委員を取りまとめ、メ ンタル指導、栄養指導、動作解析、映像分析、映像技術、体力測定などパラアスリートの科学的なサポート体制の構築と充実に尽力してきた。
2005
年からアイススレッジホッケー日本代表チームのメンタルサポートを開始。頻繁に合 宿や競技会場に出向き、チームや選手のサポートを行った結果、2006 年トリノ冬季パラリン ピックでは 5 位、2010 年バンクーバー冬季パラリンピックでは銀メダルを獲得した。
また、アイススレッジホッケー競技以外に対する科学サポートでは、2006 年トリノ冬季パ ラリンピックのバイアスロン競技選手による金メダルと銀メダル獲得、2008 年北京パラリン ピックのパラ水泳チームによる金メダル 1 個、銀メダル 2 個、銅メダル 2 個の計 5 個の獲得など、パラリンピックや国際大会での日本代表選手のメダル獲得や入賞に大きく貢献してきた。 さらに、2009 年から同協会科学委員会委員長、2011 年から日本パラリンピック委員会医・ 科学・情報サポート事業統括リーダーとして活躍するなど、パラスポーツに対する科学的サ ポート体制を充実・推進してきたことは、パラスポーツの競技力向上に大きく貢献している。


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【ミズノ スポーツライター賞 最優秀賞】
『氷上のドリアン・グレイ』-美しき男子フィギュアスケーターたち-
(
アーツ アンド クラフツ)
鈴木 ふさ子(すずき ふさこ)

「美しき男子フィギュアスケーターたち」という副題にあるように、フィギュアスケート で世界的に注目された内外5人の男子選手を取り上げ、その活躍ぶりと魅力を「文芸批評」 の方法を駆使して描いた、これまでに類書を見なかった「アート視点のスポーツノンフィ クション」である。 5人のスケーターの代表的なプログラムをめぐり、その選曲、テーマとなる物語をそれぞ れがどう解釈し、それを自分のスケーティングとどう一致させるのかという表現者として の思索、フィギュアスケートの芸術的側面とスポーツ的側面(競技的側面)をいかにバラ ンスよく両立させるのかというスケーターとしての価値観の模索からフィギュアスケート の奥深さを改めて知らされる。 フィギュアスケートは、意図を持って表現することを点数化して優劣を競う。自分なりの表現を「プログラム」として観客とジャッジに提示するという難しさがある。それゆえ技 術的に高度な様々な要素をこなすことばかりでなく、演技に物語性を持たせ、個性と芸術 性を加えねばならない。本書はこれまでほとんど顧みられなかった文芸的視点による分析 と解説が加わることで、フィギュアスケートの複雑な世界に新たな奥行きが付加された新 境地の意欲作である。


【ミズノ スポーツライター賞 優秀賞】
『挑戦者たち』―男子フィギュアスケート平昌五輪を超えて―(新潮社)
田村 明子(たむら あきこ)氏

本書は羽生結弦の連覇で平昌五輪が幕を閉じた後、今の男子フィギュアスケート界を支えて いる国内外のスター選手や、その礎を築いた往年の名選手や指導者を、「挑戦者」として群像 的に紹介するものである。各章一人ずつとりあげ、「役者」がひととおり揃ったところで、最 終章(第9章)で平昌五輪男子フィギュアスケートの試合場面が再現される構成となっている。
本書のオリジナリティは、選手がどのような言葉で自分のスケートを語るのか、それを引き 出す役割を著者が果たしていることにある。選手の話す一言一句を噛み砕いて、別の言語にで きる限り忠実に変換していく通訳の過程そのものが、ライブのインタビューのようでもあり、それはリンクやTV画面上で目にすることのできる選手の身体パフォーマンスを通じたメッセ ージと同じくらい強く訴えかける彼らの言葉のメッセージとして貴重である。著者は日本選手 を通してのみフィギュアスケート界を見てはいない。常に世界トップのフィギュアスケートが 興味と関心の対象であり、日本選手は徐々にその円のなかに入って来たということだろう。 トリノ、バンクーバー、ソチ、平昌と4大会連続で新潮社から出版しており、そのたゆまぬ取 材とライティングの継続性も評価したい。


『東欧サッカークロニクル』-モザイク国家に渦巻くサッカーの熱源を求めて― (カンゼン)
長束 恭行(ながつか やすゆき)氏

本書は、2001年からザグレブに住み、その後はリトアニアに居を定め、サッカー取材を続けるライターの短編集である。 著者は、1997年24歳のとき初めてひとり旅で向かったクロアチアで、ディナモ・ザグレブの試合に感銘を受け人生観が変わった。銀行を辞めクロアチアに留学して言葉を身につけ、 悪名高いサポーター集団BBB(バッドブルーボーイズ)にも入会する。BBBの活動を通じ て若者たちの鬱屈と、その背後にある大国の思惑で国が分断され民族同士が排除し合い、憎し み合う救いのない政治の現実を知るのである。サッカーは対立感情のはけ口になることが多い が、そのようなサッカー特有の歴史や地域ごとの立場に著者の理解は深く、手際よく経緯と現 状を解説する。
著者は、サポーター軍団の一員として、または取材証を得ての取材や撮影として、これらの 地域やそこでのサッカーをみてきた。政治や歴史の紹介はとても手際がよく、興味深く読ませる。政治とスポーツのナマな関わりを競技場の喧騒と白熱の試合の展開から浮かび上がらせ、 日本ではあまり知られていない東欧諸国の実情をいきいきと描いている。


取材協力/公益財団法人ミズノスポーツ振興財団