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Jリーグ新設『月間ベストセーブ賞』GK大迫敬介が象徴するセーブの価値とは?
2025年シーズン、Jリーグに新たに「月間ベストセーブ賞」が設けられることが発表された。この賞は、GKのスーパーセーブに焦点を当て、守備の重要性を称えるものだ。昨季のJリーグベストイレブンにも選ばれたサンフレッチェ広島の守護神・大迫敬介選手のように、GKの重要性が再認識される中でのこの新設。大迫が見せた数々のセービングを振り返りながら、新賞の狙いと効果について考えていく。※画像出典/PhotoAC(編集/キングギア編集部)
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背景ーGKの価値を再評価する流れ
大迫敬介選手が象徴するGKの重要性
昨季のJリーグでベストイレブンに選ばれた大迫敬介選手は、サンフレッチェ広島の堅守を支える中心的存在だ。彼は「選手が選ぶベストイレブン」にも選出されており、同業者からもその守備力が高く評価されていることが分かる。
特に注目すべきは、彼のセービング技術だ。至近距離からのシュートを反射神経で止める場面や、的確なポジショニングで相手のチャンスを未然に防ぐプレーは、ファンだけでなく、選手や監督からも高い信頼を集めている。大迫選手が見せるスーパーセーブは、試合の流れを変える力を持ち、GKの存在意義を改めて示している。
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月間ベストセーブ賞の狙いと意義
1. 守備にフォーカスした新たな視点
Jリーグではこれまで、月間MVPやベストゴール賞など攻撃的なプレーが注目されることが多かった。しかし、大迫のようなGKが見せるセーブは、攻撃に匹敵するインパクトを持つ重要なプレーだ。今回の「月間ベストセーブ賞」新設は、守備の魅力を広め、GKの価値をさらに高める狙いがある。
2. GKのエンタメ性を発信
大迫がピッチ上で見せるようなスーパーセーブは、単なる守備にとどまらず観客を魅了するエンターテインメント性を持っている。PKを防ぐ瞬間や、反応速度だけでゴールを阻止するシーンは、試合のハイライトとして記憶に残る場面だ。月間ベストセーブ賞を通じて、こうしたプレーの魅力がさらに多くの人に伝わることが期待される。
選考体制の充実ーGK経験者を起用
今回の月間ベストセーブ賞では、選考体制も充実している。J1とJ2では、柏レイソルなどで活躍した南雄太氏が、J3ではガンバ大阪の本並健治氏がGK経験者として選考に加わる。彼らのようなGKのスペシャリストが選考を行うことで、スーパーセーブの技術的な凄さや判断力がしっかり評価されることになるだろう。
さらに、選考にはJリーグ選手OBやサッカージャーナリスト、JFA技術委員会など幅広いメンバーが参加。J1、J2、J3それぞれに特任委員も配置され、元なでしこジャパンの鮫島彩氏やミュージシャンのGAKU-MC氏といった多様な視点が盛り込まれている。
月間ベストセーブ賞がもたらすメリット
1. GKというポジションの認知度向上
大迫選手のようなGKの活躍にスポットライトが当たることで、GKというポジションの魅力や重要性が広く知られるようになる。特に若い世代にとっては、「GKを目指したい」と思うきっかけになる可能性もある。
2. 試合の楽しみ方が増える
「どのセーブが選ばれるのか?」と期待しながら試合を見ることで、ファンにとって新たな楽しみ方が生まれる。映像やSNSを通じて話題が広がれば、Jリーグ全体の注目度もさらに高まるだろう。
3. GK技術の奥深さを発信
セーブにはポジショニング、反応速度、判断力など多くの要素が絡む。月間ベストセーブ賞を通じて、GKのプレーの奥深さが伝われば、サッカーの見方がさらに広がる。
海外のGKにフォーカスした表彰や事例
イングランド・プレミアリーグ
プレミアリーグには「シーズンのセーブ賞(Save of the Season)」という表彰がある。シーズン中に記録されたセーブの中から、試合を大きく左右したり、ファンの記憶に残るインパクトのあるセーブが選ばれる仕組みだ。これまでには、リヴァプールのアリソン・ベッカーやマンチェスター・ユナイテッドのダビド・デ・ヘアなんかが受賞している。
特徴
プレミアリーグでは「ゴール・オブ・ザ・シーズン」と同じような形で「セーブ・オブ・ザ・シーズン」を選んでいるが、月ごとに評価するわけではなく、1シーズンを通しての表彰になる。またこういった賞はリーグの公式企画というより、メディアやスポンサー主催でやられることも多い。
ファン投票型の取り組み(アメリカ・MLS)
アメリカのメジャーリーグサッカー(MLS)では「セーブ・オブ・ザ・ウィーク(Save of the Week)」というファン参加型の企画がある。
毎週行われた試合の中から注目のセーブがノミネートされて、ファンがオンライン投票で「週間ベストセーブ」を選ぶ形式になってる。この週間企画が積み重なって、シーズン終了時に「セーブ・オブ・ザ・シーズン」が決まる仕組みだ。
特徴
MLSのようにファンが直接参加して投票できる仕組みは、試合のハイライト映像をシェアする文化が根付いているアメリカらしいやり方。SNSでの拡散力を生かして、より多くのファンに注目される工夫がされている。
海外事例とJリーグの「月間ベストセーブ賞」との違い
Jリーグの月間ベストセーブ賞は、「月間」ごとにGKプレーを評価する点が、海外にはあまり見られない特徴だ。これによって、シーズンをまたぐ長期的な表彰よりも、ファンやメディアが毎月の試合でGKの活躍に注目しやすくなる仕組みになっている。
また、選考にGK経験者や幅広いバックグラウンドを持つメンバーを起用しているのもJリーグのユニークなポイント。専門的な視点をしっかり反映しつつ、GKのセーブの魅力を伝えるアプローチが新鮮だ。
月間ベストセーブ賞が拓く未来
大迫のようなGKの活躍がピックアップされる中で、新たに設けられた「月間ベストセーブ賞」は、GKの価値を再認識させる重要な施策だ。この賞があることで、守備の魅力やGKというポジションの魅力がさらに多くの人に届くだろう。ファンにとっては試合の楽しみ方が増え、若い世代にとっては新しい目標になる。Jリーグがこの取り組みをどう発展させていくのか、今後の展開に期待したい。
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