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広島の絶対的守護神“大迫敬介”、東京五輪での雪辱を果たしワールドカップ日本代表へ
瞬きすら忘れボールの軌道を追い、貪欲にボールに食らいつく。ゴールを守った名キーパーのまぶしい笑顔に光る汗が滴った。熾烈な優勝争いを繰り広げる中、広島の絶対的守護神としてゴール前に立ちはだかる大迫敬介選手。今J1で至近距離からのシュートへの反応に定評のある名ゴールキーパーだ。今回はその名選手の魅力あふれるスーパーセーブを特集した。※トップ画像出典/Getty Images
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大迫敬介、第一線で光る圧倒的存在感
大迫は、1999年生まれの25歳。鹿児島県出水市出身のゴールキーパーだ。
江内サッカースポーツ少年団、フェリシドFC、サンフレッチェ広島ユースを経て、2017年に昇格し、サンフレッチェ広島とプロ契約と手結した。広島に育てられたホームグロウン選手だ。
188cm87kgの恵まれた体格と長い手足で、広島のゴールを守る守護神として2019年から2024年までJ1に計171試合、リーグカップに計14試合に出場している。今や広島にとって無くてならない存在だ。
目標としていた2021年東京オリンピックの日本代表メンバーに選出される。そして2023年に始まった2026 FIFAワールドカップ・アジア2次予選に代表として招集。さらなる大迫の躍進にさらに期待したい。
質の高い守りと攻め、表裏一体
パンチング、キャッチング、ロングキック…。シュートの軌道を見極め、的確にボールを弾く様はまるで1秒先の未来を見てきたかのようだ。手足だけでなく、体全体を使ってボールを止めようとする姿には凄まじい気迫を感じる。
2024年シーズンの試合から彼の名セーブを振り返る。
例えば、対FC町田ゼルビアとの試合では、自慢のジャンプ力を活かしクロスバーまで手が届くほどの跳躍でシュートを拳で弾いた。
また対東京ヴェルディとの一戦では、大迫選手の処理したボールが高く伸び、相手のペナルティーエリア付近まで届いた。一瞬で的確に味方の位置を把握し、チャンスを生むエリアを狙う。加藤陸次樹選手、ピエロス・ソティリウ選手へとボールを繋がり、手薄な守備の隙を突いてピエロス選手がスピーディーにシュートを決め1点を追加。守りだけのキーパーではなく自ら攻める姿勢も忘れない。この守備から攻撃へと瞬時にゲームを変えたひと蹴りは、「質が高いですね」と解説者に言わしめたほど、だ。
対アビスパ福岡では、あわやゴールかというギリギリの所を、開脚した左足のつま先で軌道をずらしポスト外へボールを弾いた。もはや反射ともいえるナイスセーブに、会場も大きな歓声に包まれた。
名セーブには時には危険も伴う。ジュビロ磐田戦で、ゴール前に送られたクロスを弾き、こぼれたボールを止めようと前に出た瞬間、ボールをゴールラインに押し込もうとした相手選手らと接触しフィールドに倒れ込んだ。
飛び出した大迫は、きっとボールを自分がどうにか止めようとすることしか考えていなかったことだろう。それほどの気迫こそが、大迫選手が広島の守護神と呼ばれる所以といえるだろう。
自分の判断があと1秒遅れていたら。指先がボールにあと1cm届かなかったら。たったそれだけのことでも試合の流れが大きく変わってしまう、まさに最後の砦であるゴールキーパーというポジション。
広島の絶対的守護神という名誉ある重圧を背負った大迫の活躍にこれからも目が離せない。
参考:DAZN「Jから代表へ大迫敬介 -J1優勝争いで光る圧倒的存在感-」
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