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『勇気と信念が世界を変える』挑戦し続ける高橋藍の原動力

イタリア・セリエAで3シーズンを過ごし、今シーズン、日本で新たに発足したSVリーグに電撃参戦したバレーボール選手・高橋藍。国際大会での躍進と並行して、彼は自己のスタイルを模索し続けてきた。挑戦の舞台は変われど、一貫していたのは“自分を信じること”へのこだわりだった。※トップ画像提供/ NTTドコモ Sports Graphic Number

Icon kinggear iconKING GEAR Editorial Department | 2025/04/09

海外挑戦と“ポジション変更”がもたらした気づき

高校時代に全国制覇を経験し、大学進学後すぐに日本代表入りを果たした高橋は、さらなる成長を求めてイタリア・セリエAに挑戦。世界トップレベルのリーグで、自身のプレースタイルを模索する日々が始まった。

当初はスパイカーとしてプレーしたものの、結果が出せず、途中から守備専門のリベロへの転向を打診された。「もちろん複雑でした。自分はスパイカーとして来ていたので。でも“何か経験して帰ろう”と思って、『やります』って言いました」と高橋は振り返る。

リベロとして出場する中で実感したのは、プレー技術以上に“自己肯定感”の大切さだった。高橋は、「海外だとアジア人が少し下に見られる感覚はある。でも、自分を強く持っていないと海外では戦えない。そういう意味でも、自分という選手に自信を持つことが大事だと気づかされました」と語っている。2年目にはアウトサイドヒッターとしてレギュラーを掴み、チーム2位の300得点をマーク。前年の評価を覆した。

結果を残すことで“信頼される選手”へ

代表戦でも結果を重ね、ネーションズリーグでは銀メダルを獲得。翌年のパリオリンピック出場権も掴んだ。セリエAでの3年目はモンツァへ移籍。当初は3番手としての契約だったが、代表での活躍をきっかけにプレーの評価が一変。レギュラーに定着し、チームを準優勝に導いた。「特にモンツァの場合は、最初は出られないかもしれないと思っていました。でも代表で結果を出したことで、監督の見方が変わった。そこから試合で結果を出せるようになった」と高橋は語る。

ファイナルで得た経験は「勝ち方、メンタルの持ち方を含めて、すべて代表で活かせる」と話し、国内復帰後もさらなる成長へとつなげている。現在はSVリーグのサントリーサンバーズでプレーしながら、「日本のリーグのレベルを証明したい」と意欲を見せる。

「失敗はない」―挑戦し続ける姿勢が支えに

高橋は「勇気と信念が世界を変える」というドラマの言葉を座右の銘としている。イタリア挑戦の際も、「失敗はない」と自らを鼓舞しながら新たな環境に飛び込んだ。「やれることはすべてやろう。常にチャンスをつかみにいく姿勢でいたい」と語るように、今後も国内外を問わず挑戦を続ける覚悟だ。本人は「まだ“挫折”というものには出会っていない」と話す。

「でも、自信が失われた瞬間こそが本当の挫折だと思っている。そのときに強い自分でいられるように、常に新しい自分を求めている」と語った言葉は、未来に向けての明確なビジョンを示していた。日本のエースとして、そしてバレーボール界の未来を背負う存在として―高橋藍の挑戦は、まだ続いていく。

"NumberTV" The point of failure - The reason I looked forward at that time
title:#17 髙橋藍
Release date:September 26, 2024 (Thursday) 0:00 ~ 24 episodes in total (scheduled to be distributed twice a month)
content:This documentary program focuses on the "failures" and "comebacks" of top athletes. In a special space (the Number Room) decorated with old photos, the athletes themselves look back on their lives and talk about moments of failure and the reasons they were able to move forward.

*The information in this article is current as of the time of publication.