田中碧、危機回避能力の高さと豊富な運動量ー積極ミドルシュートを武器に代表で攻守の要に

2020年のJ1リーグ「ベストイレブン」に選出

田中は、神奈川県出身。身長180cm、体重74kgの恵まれた体格を持つMFだ。サッカーキャリアは地元「さぎぬまSC」から始まり、川崎フロンターレの下部組織で育成を受け、U-12、U-15、U-18と順調にステップアップ。2016年、川崎フロンターレに2種登録選手として加入。2017年にプロ契約を結び、トップチームでの活躍を開始した。

プロ初ゴールは、2018年9月15日、20歳のとき。田中は北海道コンサドーレ札幌戦に途中出場し、J1リーグデビューを果たすと、後半アディショナルタイムには相手GKが弾いたボールに素早く反応。GKの股を抜く初ゴールを決めた。「すごい楽しかった」と試合を振り返った田中選手は「きょう以上のパフォーマンスができるように頑張りたい」と決意を述べた。

「Before」とされる川崎フロンターレでの活躍は目覚ましく、2019年にはJ1リーグの「ベストヤングプレイヤー賞」を受賞。翌20年にはJ1リーグの「ベストイレブン」に選出されている。

川崎フロンターレでの田中は、ボランチ（守備的ミッドフィルダー）としての役割を果たしながら、攻撃にも積極的に関与するプレースタイル。とくに危機回避能力の高さと豊富な運動量、積極的なミドルシュートが武器。

チームの中盤強化と日本人ならではの戦術構築を可能にしたリーズ・ユナイテッドFC移籍

田中の「After」は2021年6月、ドイツのブンデスリーガ2部「フォルトゥナ・デュッセルドルフ」への期限付き移籍から始まった。2022年4月には、完全移籍が決定。プレーを通じて、田中はさらなる成長を遂げる。高いレベルのブンデスリーガで経験を積み、国際的な舞台でのプレーに慣れていった。貪欲（どんよく）にボールを追いかけ、こぼれ球にスライディングで反応しゴールを決めるシーンも観られた。

2024年8月、田中の新たな挑戦が始まった。イングランドの名門「リーズ・ユナイテッドFC」への完全移籍が発表されたのだ。移籍金は約400万ユーロ（約6億4000万円）、契約期間は2028年6月30日までの4年間と報じられ、背番号は「22」に決定した。

同クラブは当時「EFLチャンピオンシップ（イングランド2部）」に所属し、プレミアリーグ復帰を目指していた古豪だ。田中の加入により、チームの中盤強化と日本人選手の特性を生かした戦術の構築が可能になったといえる。

守備の安定性を保ちつつ攻撃参加も積極的な“マエストロ”

田中は、早くから日本代表キャリアを積んでいる。2014年にU-16代表として「AFC U-16選手権」に出場を皮切りに、U-22、U-23、U-24と各年代の代表チームで経験を積んだ。2019年、田中はA代表に初選出され、同年12月14日の香港戦でデビューを果たす。以来、田中は日本代表の中心選手として着実に地位を確立。2021年には「東京オリンピック2020」のU-24代表に選出され、国際大会での経験を積んだ。翌22年には、カタールで開催された「FIFAワールドカップ」の日本代表メンバーにも選ばれ、世界最高峰の舞台でプレーした。

印象的なシーンとして、2021年10月の「W杯アジア最終予選」オーストラリア戦での田中の先制ゴールが挙げられる。味方のボール奪取から、素早い攻撃でゴール前に駆け上がった田中に、逆サイドから横にロングパスが通る。フリーで受け取った田中は確実にグラウンダーでゴールを決めていた。

田中は日本代表の中盤の要として、存在感を示し続けている。豊富な運動量と攻守に渡る活躍が求められるボランチにおいて、田中は守備の安定性を保ちつつ、積極的に攻撃にも参加。奪ったボールを効果的に味方FWやMFに配球し、攻撃の起点となっている。日本代表の戦術を左右する“マエストロ”（達人）として、磨きがかかってきた。

 

『DAZN』Before / After#8 田中碧 ～デビューから6年 日本のマエストロへ～より

配信日：2024年12月9日（月）～
content:日本代表選手のJリーグ時代のプレーと現在のプレーを比較し、その進化を振り返る

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