勝てば出場決定、負ければ窮地の最終予選で2ゴール！三苫薫、日本を7大会連続W杯出場に導いたドリブル突破力

J1初ゴールに「左隅にというのはイメージ通り」

「フワッとした感覚というか、実感がなかったんですけど、6連勝に貢献できてよかった。（DFの）股を開かせて（ゴール）左隅にというのはイメージ通りでした」J1初ゴールを決めた三苫選手はインタビューに落ち着いて答えた。

2020年7月、川崎フロンターレのホーム・等々力陸上競技場での湘南ベルマーレ戦。後半に途中出場の三苫選手は、左サイドの高い位置で相手DFのトラップミスからボールを奪うと、一気にドリブルでエリア内に侵入。最後は、フェイントでDFの股を抜くシュートを放ちゴールを決めた。同年に川崎フロンターレへ入団、ルーキーイヤーに大活躍を見せた三苫選手は、このとき23歳。新人とはいえ年齢的には決して早くないJ1での活躍の裏には、あえて筑波大学に進学するという“回り道”があった。

選んだのはプロ昇格ではなく大学進学の“回り道”

幼少期から卓越した才能を発揮し、川崎フロンターレの下部組織に加入。ユース時代を通じて才能を着実に開花させたが、高校3年間プレーしたのち、選んだのはプロ昇格ではなく、大学進学だった。学業とサッカーの両立は、三苫選手のキャリアに独特の魅力を付与することになる。三苫選手の「Before」は、大学2年生の夏。JFA・Jリーグ特別指定選手に選出され、筑波大学蹴球部所属のまま川崎フロンターレでJリーグ公式戦に出場する異例の機会を得るところから始まった。

国内トップレベルでの競争で固めた「天才ドリブラー」としての地位

Jリーグでのプレーを通じて、三苫選手の実力は急速に認知されていく。スピードと技術を兼ね備えたドリブルは、チーム攻撃の要として機能した。番組では、2020年10月のFC東京との“多摩川クラシコ”で、中村憲剛選手の決勝ゴールをアシストしたシーンが映し出される。後半29分、左サイドから切り込んだ三苫選手はDF2人を引き付けたところで折り返す。そこに中村選手が左足ダイレクトでシュートを叩き込んだ。

川崎フロンターレ時代のドリブル突破経験は、三笘選手のキャリアにおいて重要な基盤となった。国内トップレベルでの競争を通じて、「天才ドリブラー」としての地位を固めていった。

イングランドのサッカーファンからも高評価

2021年8月、三笘選手の海外挑戦が具現化。世界最高峰ともいわれるイングランドのプレミアリーグであるブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFCに完全移籍。2021～22年シーズンは、ユニオン・サン・ジロワーズ（ベルギー1部）に期限付き移籍。ここから三苫選手の「After」が始まる。

同年9月、ベルギー・カップ5回戦で初先発した三苫選手は、得意のドリブルから切り込んで移籍後公式戦初得点をマーク。徐々にチームの重要な一員としての地位を確立し、ドリブルテクニックと知的なプレーは、2022～23年シーズンに復帰したブライトンでも発揮。イングランドのサッカーファンからも高い評価を得た。

W杯カタール大会の「三苫の1ミリ」は語り草に

U-24日本代表を経て、A代表にも選出された三笘選手。2022年FIFAW杯カタール大会では、日本代表の重要な戦力として注目を集めた。W杯での活躍は、日本代表チームに新たな可能性をもたらし、世界のトップレベルで戦える選手としての地位を確立。特に12月1日に行われたグループE第3戦のスペイン戦で、日本が2点目を挙げた直前の三笘のライン際プレーは「三苫の1ミリ」として語り草になった。

番組では、勝てば本大会出場決定、負ければ窮地に立たされる3月の最終予選オーストラリア戦で2ゴールを挙げ、日本を7大会連続出場に導いたシーンを紹介。2点目は、自らドリブルで切り込んでいくシュートと持ち味を十分に発揮した。シンデレラボーイとなった三苫は「行くしかないと思ったので、全部出し切りました」とコメント。ゴールを決めた瞬間の感想を求められると「覚えてないですけど、自然とベンチのほうに行って！」と喜びを表現。代表メンバー全員で勝ち取ったW杯への切符だと強調した。

2025年現在、三笘選手は27歳。キャリアの絶頂期を迎えつつあり、プレミアリーグでの経験と日本代表での中心的な役割は、彼のドリブル突破力をさらに成長させることだろう。

DAZN『Before / After』
タイトル：#2 三笘薫 ～川崎で誕生した天才ドリブラーの軌跡～
配信日：2024年12月9日（月）全10回を一挙配信
content:日本代表選手のJリーグ時代のプレーと現在のプレーを比較し、その進化を振り返る

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