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英雄たちが愛した歴史的スパイクVOL.47 「ビンテージスパイク修理編」

86年W杯で頂点を極めたマラドーナ選手(神)は、その半年後に当時W杯に出場したことがなかった日本でその雄姿を披露しました。表紙画像のプーマの固定式スパイクは、神がその時実際に使っていたものです。もし、今このスパイクが自分の目の前にあったら、さぞかし興奮するだろうなと思いつつ、実際はソールがボロボロになってどこかに捨てられたのではと心配になります。

Icon 29634314 1815368455432881 1085668874 oHiroaki Konishi | 2020/09/08
今ではありがたいことにW杯優勝経験者が日本でプレーされるのは珍しいことではなくなりました。しかし、プロすらなかった80年代に、半年前のW杯で大活躍した選手たちが日本で試合をする、しかもそのチームの主将がW杯MVPなんてことは、当時のサッカーファンにとっては大事件でした。 写真家の富越正秀さんは日本がサッカー弱小国だった70年代から世界のサッカーを撮り続けてきた名カメラマンです。

 最近、この方の貴重な写真がご自身のSNSで拝見できるのはとてもありがたいことですが、特に名選手のスパイク接写画像は、スパイクおたくには驚きを通り越してため息さえ出ます。

富越さんは神のみならず、皇帝Orネッツァー選手クライフ選手などのレジェンド達のスパイクも接写されています。
こんなことを許してもらえる写真家は世界でも珍しいと思います。
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図1 表紙写真の別角度画像富越さんは、こんなに近くで名選手のスパイク写真を撮らせてもらえ、さらにスパイクの置き方を変えれるほど、様々な名選手と信頼関係を持っておられたんだと思います。 南米選手らしく、神も中敷きは使われなかったようです。 

表紙および図1は87年1月に行われたゼロックススーパーサッカーの2日前の練習で使われた固定式スパイクで、当日試合で使用したのは取替式でした。

Thumb efbc93Figure 2 87年ゼロックススーパーサッカーでの神。南米選抜チームの主将として、日本リーグ選抜チームと対戦されました。右は88年のゼロックススーパーサッカーでナポリの主将として来日された時の写真。どちらも取替式のモデルをお使いでした。 

図1、2のスパイクは当然、神特注品と思われ、図1のスパイクの側面には「DIEGO MARADONA」と記されているようです。 このモデルに最も近い市販品は87年に発売された「MARADONA PROI(固定式)とPROII(取替式)だと思います。 どちらも神の足型で作られたワンサイズのみが販売されたため、現在ではなかなか見つからないモデルです。 特に固定式のPROIはソールの劣化で捨てられてしまった可能性も考えられ、よほどこだわりのある方でないと、30年以上も持ち続けることはないと思われます。

 しかし、そのこだわりをお持ちの方とご縁がありました。 Hereでご紹介した「先生」は未使用のMARADONA PROIをお持ちで、ありがたいことにこんな貴重なものをお譲りいただきました。Thumb efbc94Figure 3 MARADONA PROI。ソールはなく、かかとの内張りもはがれていますが、れっきとした箱入り未使用品です。 

 残念ながらというか、予想通りでしたが、ソールは(劣化のため)なくなっており、内張りも劣化したためかきれいにはがされていました。 当然、復元しました。

まず、内張りは表紙画像の実使用モデルに似せるように、革っぽい生地も考えましたが、純正はパラメヒコのような布生地でしたので、あくまで純正に忠実に再現しようと思いました。 そんな注文にも対応していただけるのがこちらのお店です。Thumb efbc95Figure 4 ご依頼はこちらのホームページからどうぞ。 

 内張りの修理後には、プーマジャパンにパラメヒコのソールを装着していただきました。ちなみに、ソール装着後だとアッパーの修理はしにくいそうです。

Also,Hereでも書きましたが、パラメヒコが生産終了となり、ソール交換サービスもいつまでご対応いただけるかは不明ですので、サイズや状態などを事前にメール等でご確認ください。

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Figure 5 MARADONA PROI(修理後)&II   Thumb efbc97Figure 6 以前、東北地方にあったスポーツ用品店のMARADONA PROI&IIの広告(左)。このモデルのプーマの正式な広告はなく、サッカーショップが独自でスパイクの写真を撮影して広告に載せていたと思います。IもIIも写っていて、専用の中敷きまで外して撮影していたのはこのお店だけで、いつか手にしたいという期待を込めて拙書にも掲載させていただきました。奇遇ですが、「先生」はまさしくそのお店で購入されたようで、当時の値札がついています。また、モデル番号は396であったことを初めて知りました。箱もいろいろな意味で貴重だと思います。 

さて、プーマはパラメヒコという偉大なモデルがつい最近まで製造されていたので、ソール交換の恩恵にあやかれたのですが、アディダススパイクのソール交換は難しいのが現状でした。 コパムンディアル(コパムン)という今も作られ続けている名品があるにもかかわらず、ソール交換は(私が知る限り)メーカーでは対応してもらえないと思います。

私はもともとプーマファンですが、気がつけばコパムンも初代からいろいろ集めてしまいました。中にはソールがひび割れているものもありますが放置状態です。
ただ、私がコパムンよりももっと執着しているのがコパムンの祖先ともいえる「スーパーカップ(SUPER CUP)」です。

Thumb efbc98Figure 7 これまた富越さんの貴重な画像です。釜本選手のスーパーカップが写っています。御大には「どっから撮ってんねん?」と言われそうですが、アキレス腱手術の跡が生々しい黄金の足と、現役晩年の愛用スパイクのカップリングが素晴らしいと思います。 

私よりお若い方はコパムンとの違いがわからないかもしれませんが、皮革からして違うことはHereに記しました。
このモデルは生産時期が短かったためか、今では本当に絶滅してしまったと思うぐらい実物を見たことがありません。

以前、いくつかのスパイクを犠牲にしてアモールさんに復元モデルを作っていただいたことがありましたが、ソールはずいぶん苦労しました。
 

それ以来、アディダスについては特に何もしたことがなかったのですが、SNSのお知り合いの方にこちらのお店を教えていただきました。Thumb efbc99Figure 8 こちらのお店にご用命の際は、まずLINE登録してください。詳しくはhome pageでご確認ください。 

すばらしいコンセプトのもと、ソール交換にもご対応いただけます。また、交換用のソールが素晴らしい。
        Thumb 10Thumb 11Figure 9 ソール交換後のスパイクの一例。もともとはBRESTという90年代の日本製アディダスモデルです。シュータンは当時の西ドイツ製モデルのものをはめ込んでいます。かなりスーパーカップに似ています。 

意識的にそうされたのかはわかりませんが、アディダスの2マテリアルソールとよく似たソールを交換用に用意されているので、コパムンのソールが劣化した場合にはうってつけのお店だと思います。

本来このお店の目的は、プーマジャパンと同様、私のような観賞用のための交換ではなく、実際にプレーするためであり、それにも充分対応しています。 実際の修理例はHerePlease refer to the. 

ところで、スーパーカップとアッパーは同じで、ソールが白1色のアディパンソールのワールドカップウィナーというモデルがありました。こちらも私の中では絶滅危惧種ですが、このモデルについてはかろうじてお持ちのコレクターが存在しますので、画像は拝見できます。
「先生」はなんとウィナーもお持ちでした。

Thumb 12Figure 10 先生からいただいたワールドカップウィナー。オーストリア製です。西ドイツ製との比較等、詳細はHerePlease refer to the. 

皮肉にも、実際のプレーには摩耗に強く、軽量で高級モデルに使われたウレタンソールは、ボンバーなど廉価モデルのソール素材である天然ゴムに比べて劣化しやすいようです。
80年代に限らず、スフィーダやパラメヒコシリーズも劣化してしまったケースを見聞きします。その際はぜひ今回ご紹介したお店にご相談されることをおすすめします。